僕の瞳は無い物しか映らない鏡「少年は荒野をめざす」吉野朔実/集英社/感想
幼い頃の僕の世界は、バスで往復する幼稚園までの道程と、自宅から半径100mだった。
近所に店もなく、唯一のお隣さんも田んぼ越し。もう少し離れたところに祖母の家があることを除けば、実に静かな場所だ。
そうなってくると、遊び相手も必然的に身内へ求めるようになるもので、二人いる姉にべったり張り付き遊びに入れて入れてといつも必死。やっと仲間に入れて貰えても、男である僕の感性が姉達には気に入らなかったのか、最後にはのけ者にされ一人遊びばかり上手くなっていった。ぬいぐるみも人形も大好..