2017年09月26日

我が青春のOVA1987 #10「破邪大星ダンガイオー」平野俊弘(原案・監督・キャラデザ)/大貫健一・大張正巳(作画監督)/會川昇(脚本)

高校の頃、何故か仲間内で大張正巳ブームが起きていた。

来る日も来る日もアホみたいにアニメを観ていたあの時代、気づけば釘付けになる格好の良いシーンのほとんどが大張演出だったからだ。


俺はダンクーガが好きだ!

いやいやテッカマンブレードのOPでしょ!

お前らは甘ちゃんだな。デトネイター・オーガンが一番格好良いんだよ!!



みたいな会話をしたかどうかはよく覚えていないが、それぞれ違う大張絡みの作品に思い入れがあって面白かった。その中でも僕らと感覚が少しズレていた友人の1人が大のお気に入りだったのが破邪大星ダンガイオーだった。
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なんかちょっと当て字がダサい

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冒頭から名前以外思い出せない超能力者な主人公達に...

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お前達は私が作った兵器だから海賊に売っぱらうと言い出すジジイと髭面のマスコット

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海賊なんぞに売られてたまるかと逃げだした4人に
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怒り心頭の海賊の親玉
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彼女らに次々と刺客を差し向ける








とにかく彼は熱心にダンガイオーを布教していて、皆不承不承見る羽目になったものの、これが思っていたよりは面白くて意外だった(そいつのオススメするアニメは大抵微妙だったから) 今観るとまとまりの悪い内容も斬新と言えば斬新だし、スーパーロボット物な定番展開も30年経た結果、逆に新しく見えるような気もした。

ただ、今では大御所と呼ばれる人たちが大勢参加している割には微妙な仕上がりではあるから、彼らにも勢いばかりで若く未熟な時代があったんだよなぁと思うのと同時に、僕らが大張正巳アクションだと思っていたところが、大貫健一氏の仕事だったのではないか?という受け手である自分の未熟さも痛感させられ苦笑いしてしまった。

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ロボット物で重要な主役メカ
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1話と3話でかなりディティールが違う
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ロボットのくせにサイキックパワーが決め技というのも独特だった



それはそうと、平野俊弘さんの考える女の子はちょっぴりエッチで可愛い。体つきもそうだだ、顔の表情がまたなんとも言えない。女の子の可愛さについては、ダンガイオー発売の翌年公私ともに過ごすようになる垣野内成美さんのサポートも相当大きかったろう。僕はメインの女の子より、ガサツで気性の荒いパイ・サンダー(ネーミング最悪)や、1話目でさっさと退場してしまう敵が好きだった。

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垣野内成美氏が手掛けたED絵のパイ・サンダーは最高だ

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完全に端役だが、血の涙が忘れ難い





一分の隙さえ与えないような完成度の作品も良いが、未熟ゆえに語り種となる作品も良いものである。監督の降板劇で大騒ぎの「けものフレンズ」だって、正直出来栄え自体は褒められたものではない。それは監督が一番わかっているだろう。それでも心にとまる何かがあったのだ。

人気ロボットアニメのバロメーターとも言えるスーパーロボット大戦シリーズにダンガイオーが参戦するなど微塵も予測出来なかったし、何時何処で何がどう評価されるか分からないものだなぁと改めて思う。

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もうお眠りダンガイオー......









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2017年09月25日

男が女でアイドルだったら面白いじゃない「AKB49〜恋愛禁止条例〜」宮島礼吏(作画)/元麻布ファクトリー(原作)/感想

僕はこれまでアイドル相手に泣いたことなど無い。


人並みに「可愛いなぁ」と短期的に夢中になったことはあるが、パフォーマンスの凄さや引退の報を聞いて泣くほど感情を揺さぶられたことなど一度たりとも無かった。


なのに、たかが漫画の架空のアイドル、しかも”女装”で”女性”アイドルを続けた男に40歳手前で泣かされてしまったのである…





男が女装をして女性アイドルになる話というと、"やぶうち優"先生の「少女少年」シリーズを思い出すが、本作のキャッチーなところは実在するAKB48を巻き込んだ形でストーリーが進んで行くところだろう。残念ながら僕はAKBをまるで知らないので、どこまで本作が実際のAKBメンバーの特長を表現出来ているかは分からないものの、僕でさえ名前を知っているメンバー相手に真っ直ぐ立ち向かい、本物のアイドルへと生まれ変わってゆく主人公の姿は本当に胸熱だった。


もしも僕が誰かの熱心なファンならば『憧れの存在そのものに自分がなれたなら....』と、心の片隅で考えるだろう(本作のメインヒロインは前田敦子に憧れている)でもその対象が女性であったなら男という性別でまず諦めざるえない。だから、元々AKBのファンでもなく、大好きな女の子がAKBのファンでオーディションを受けるというから少しでも近くでサポートしてあげたいと女装してまでオーディション会場に入り込んだ結果、秋元Pの気まぐれで合格してしまう主人公のありえない幸運に、どれだけの人が「それで叶うなら苦労しねえよ...」と嫉妬混じりに呟いたかしれない。まさか、この作品の影響で実際に女装した人や性転換した人が自分もAKBになりたいとオーディションを受けに来たりしているのだろうか?そろそろ女の子に飽きて、男の中の女の子成分に秋元康が目を付けるなんて未来があったら面白そうではあるけれど....

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まるでAKBなど眼中に無かった男の子が
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大好きな女の子のために一肌脱ごうと暴走
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結果まさかの合格....


なんにせよ純粋に熱い少年漫画だった。秋元康の放つ試練を何度と無くクリアし、最後には性別など関係なくAKBとして認められステージに立ち、潔く去っていくことになる生き様に何度と無く胸が締め付けられた。この広いようで狭い世界で、あっという間に消費されてしまうアイドルのうち、一体どれだけの人たちが本気でアイドルとしての自分と向き合っているか分からないが、この漫画を読むように彼女彼等の努力が見れたなら、もっともっとファンの心は熱く燃え上がるに違いない。本音が見えて逆効果かもしれないが.....

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根性だけのアイドルから

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一生懸命な仲間達に感化され

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心身共に本物のアイドルへと成長していく




彼女(彼)の頑張りを読み終わり、こんなにも打ちのめされている自分がいて驚いた。今日1日自律神経をやられたのではないかと思うくらいフラフラだった。ここまで打ち込める何かを自分は持っていないことが残念であると同時に、似たような経験をちょっぴりしているせいかもしれない。その昔、ゲームで女性のアバターを使っていたがために、僕を女性だと思った人がいて、出来心で女の子っぽい文面でメッセージをやり取りをするようになり、どんどん男だと言いだせなくなっていたとある日、その人からしばらくゲームが出来なくなると聞いて、このままじゃ駄目だと思い自分は男であると告白した時の苦い思い出が、最後の最後で追い込まれファンに男だと告白せざるえなかった主人公とダブってしまうのだ...

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皆にバレてもなおアイドルとして在りたい自分の気持ちを吐露する良いシーン



しかも嫌ぁ〜な連中に仲間の将来を脅かされ、ファンへの誠意も込めて告白した彼とは違い、僕のはただ自分が楽になりたかっただけだった。それがこの漫画を読んで僕が苦しむ本当の理由なんだろう。僕に彼ほどの勇気や仲間の支えがあったなら、男だなんて告白せず墓まで嘘を持って行けただろうか?そんなどうしようもないタラレバに溜息を吐いてしまう情けない自分に、力なく笑う以外の術を僕は持たない。

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いつも狡い登場の仕方をする秋元Pのような支えがあったら心強いことだろう





フィクションとは誠に甘美で残酷なものだなぁとしみじみ思う






マガメガ AKB49〜恋愛禁止条例〜

吉永寛子Twitter





タグ:宮島礼吏
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2017年09月19日

楽しいばかりが世界じゃないから、愛おしい命がある「この世界の片隅に」片渕須直(監督)/BD/感想

つい先日、広島カープが優勝した。気づけば2年連続である。

めっきり野球など観なくなったから普通に「2連覇か、すごいな」と思っただけだった。



それはそうと、広島と聞いたら未だに苦難の土地のように思ってしまう。理由は言うまでもなく原爆が落ちた土地だからである(長崎もそうなのだけど、2番目で若干被害が少なかったために印象が薄い)しかし、福島の痛ましい事故以来、その印象も和らいだかもしれない。少なくとも原爆による汚染が土地にほとんど残らなかったのは救いだったろう。でなければ、広島カープそのものが存在しなかったはずだから。

人は、様々な物を引き継いで生きていく。それこそ物かもしれないし、意志かもしれない。案外忘れがちな生命そのものだってそうだ。親がいて、親の親がいて、更に親の親の何世代遡れば良いのか分からないほど昔から紡がれた縁によって僕らはこうして生きている。そう考えると自分自身が神秘的な存在に思えて笑うしかない。


僕は自分と直接的に繋がりのある生き物を残す気は無いのだけれど、精神的繋がりや思想は残したい気持ちがある。特に良い創作物に出会った時の感覚は他の誰かにも味わって貰えたら幸いだなと思ってしまう。「この世界の片隅に」も、間違いなくそんな語り継ぎたい作品の一つで間違いなかった。




あの大戦時、戦っていたのは何も前線の兵士だけではない。それを支える人達や、どんな状況でも生き残ろうと知恵を絞って家庭を支えた女達だって戦っていたのだ。慣れない土地に嫁ぎ、十円ハゲが出来るほどのストレスを感じつつも、目の前の生を全うしようと歯を食いしばる本作の主人公”すず”もその1人だった。

周囲が勝手に縁談を進め、恋愛結婚などほぼ皆無だった当時、女性は夢を見る権利さえ無かった。すずは運良く、良い旦那と家族に恵まれ(少々口の悪い義理の姉はいるが)たものの、戦時下ならではの心に深手を負うような出来事に見舞われてしまう。そんな彼女を目撃した僕ら観客が痛感したのは当たり前の日々の大切さであった。衣食住に困らず、子供が子供らしく笑い、空襲警報に悩まされることのない僕らの当たり前が、実はどれだけ貴重な物であったことだろう.....

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これほど胸を締め付けられる戦争映画は10年以上ぶりな気がする。オーディオコメンタリーでの視聴であっても、劇場で観た時と同じシーンで泣いてしまった。それもこれも、原作者でさえ舌を巻く片渕須直監督と大勢のスタッフ達の拘り抜いた仕事のお陰だろう(一度は売れないとレッテルを貼られた作品なのに、クラウドファンディングで多くの人が信じて支えたのも頷ける手腕だった)BDの豊富な映像映像でもそれが見て取れた。「君の名は。」の特典も見応えたっぷりだったが、こちらはこちらで流儀を貫く監督を愛でるドキュメンタリーとして断然面白い。

また日本は苦境にある。あの国のおかげで鳴り響くJアラートに"もしかしたら...."という気持ちが拭い去れない時代であればこそ、小さな幸せの有り難みを実感させてくれるこの映画の価値は計り知れないなと思った。
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posted by lain at 06:53 | 北海道 ☔ | アニメ 劇場版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする