ハイハイ この指止〜まれ〜♪ 「Live tour『PLACE 2019』Sound Schedule|09.28(土)|札幌 BESSIE HALL」/感想

改めて言うことでもないが、自分は本当に意気地が無い。昔から失敗を恐れ”挑戦”ということをして来なかった。お陰様で小学生の頃は授業で習う跳び箱や鉄棒の逆上がりは勿論のこと、友達から野球に誘われても直ぐに戦力外通知を受け取ったものだった。

そんな自分が少し変わって来たのは高校に入ってから。家が貧乏なのに私立へ入った負い目を感じ、奨学金を受け取れるよう成績を維持しようと、それまでロクにやって来なかった勉強を少しはするようになって、やればやっただけ成果が出るものだと知ったことが転機になったように思う。就職してからは更に”やれば出来る”ことを実感した。これまで自分を器用と思ったことは無かったが、気が付けば周囲に器用と錯覚される程度には頼りになる人間になっていた。どんな人間でも粘り強くやっていれば身に付くことの一つや二つあるようだ。



そんな昔話がSound Scheduleとどう結びつくのか?と言われそうだが、ほんの数年前までライブに怖くて行けない人だったと言えば「あぁ」と思って貰えるかもしれない。お洒落に疎いくせに昔から人目が気になって気になって仕方ないところがあって、対人恐怖症かよというほど人前に出ると緊張で失敗しかしなかった。去年も仕事で大勢の前でデモンストレーションをしなければならない時、致命的な失敗を犯し未だに思い出しては凹んでいる....兎に角、ライブ会場など以ての外だったのだ。でも、それでも諦められない相手が居た。安藤裕子さんである。



役者としても活動する彼女の表現力にぞっこんだった僕は、2009年のベスト盤発売に合わせたツアーに意を決して参加することにした。その時はまだ独りは怖くて友人を巻き込んでしまったものの、翌年からはソロでも逢いたいアーティストに逢いに行くようになった。他人からしたら馬鹿馬鹿しいかもしれないが、自分にとっては大きな扉を開ける思いだった。そしてまたもベスト盤が後押しになり、ようやくSound Scheduleにも逢いに行く気持ちが固まって今回の参加となったわけであります(一度チケットだけ取って行かなかった前科があります....)




初めてSound Scheduleというバンドを意識した曲がこれだった。実際それなりに売れ、その後のシングルもそれなりに売れた。ところが僕がライブを怖がっているうちに解散してしまったのだ。これは本当に心残りだったから、その後の再結成と大石くんのソロ大成功のお陰で、こうして20周年の節目のツアーを北海道で目にすることが出来たことを心底嬉しく思う。彼らが上陸する度盛り上げてきた熱心なファンの方々にも感謝o┐ペコリ 

しっかし女性客は多かった。男女比は3:7くらいだったろうか?年齢層は幅広く流石自分と同年代の男たちのバンドだとは思ったけれど、アウェー感は拭い去れなかった。会場内でも若くはない(失言)女性二人がノリノリで僕の居場所を後ろへと徐々に追いやり勘弁して欲しかった。まあ、早いうちから、まるで何かのアトラクションかのように客を煽り倒してくるし、お笑い要素も仕込んでくるので、我を失い周囲のことなど御構い無しではしゃいでしまうのも無理はない。個人的には面食らってそこら辺は楽しみ切れなかったが、熱心なファンたちにとっては最高の夜になったことだろう。僕は縄跳びの輪に上手く入れずとも、大好きな曲達を生で聴けただけで十分幸せだったしね。

にしても大石昌良くんの喉管理は素晴らしい。冒頭から終盤まで全くスタミナの落ちを感じさせなかった。昔より今の方が若く見えるし、仕事を仕事と感じない瞬間があるほど、今が充実しているのだろう。ちょいちょいベースの沖くんにちょっかいを出して腐女子に燃料を投下したり、アンコールの”幼なじみ”の冒頭のギターの入りでメンバーの不意を突こうとする大石くんの悪戯っ子な顔は忘れられそうにない。





Sound Scheduleの音楽をこのまま埋もれさせたくないという気持ちが、自分だけのものでは無かったことが実感出来る良い夜だった。もうこの先これ以上は望めないほどのセットリストだから、行ける人、行きたい人は行った方が良い。腐れ縁の友達に逢いに行くみたいに。



ただ、川原さんは喋り始めると長いから気をつけろ(真顔







セットリスト

 1.IQ兄弟

 2.世直しブッダ

 3.グッドタイムコミュニケーション

 4.さらばピニャコラーダ

 5.運命の人へ

 6.フリーハンド

 7.わけあり

 8.燃やせ煩悩

 9.花火

 10.太陽の国

 11.シチューが飲みたくなる唄

 12.アンサー

 13.タイムマシーン

 14.言葉以上に

 15.君という花

 16.コンパス

 17.ピーターパン・シンドローム

 18.今ココにあるもの


アンコール

 19.幼なじみ

 20.スペシャルナンバー

 21.同じ空の下で




公式HP https://soundschedule.net

ビル・ゲイツも人の子だと痛感した「天才の頭の中:ビルゲイツを解読する」Netflix/ドキュメンタリー/感想

iPhoneを使うようになって興味を持ち、一番安いノートブックを試しに買って以来手放せなくなったMacだが、勿論それまではWindowsばかり使って来たわけで、良い思い出も悪い思い出も山ほど掘り起こせる。あの頃に比べたら今のPCは快適過ぎて物足りなさを覚えるくらいだ。


そんなことはさておき、MacとWinと言えば長年競い(OSに関してはワンサイドゲームではあるけれど)あって来たが、今では上手く共存出来ている。これもひとえに両社の伝説であるスティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの愛憎関係のなせる業であったろう。良い物をいち早く見つけブラッシュアップし、さも自分達が発明したかのように売る達人であったジョブズに対し、ビル・ゲイツは技術者として他の追随を許さない卓越した才能を持っていた。こういった現場に詳しい人ならば分かると思うが、この手の人間同士は水と油と言える。技術的なことをよく分からないまま”何故?”を並べる人間を、”最適化”が信条の技術が好きになれるわけがないのだ。ただ、ジョブズのようなやり方で物事が進んだ面もあるから、それが一概に駄目というわけではない。ゲイツ本人もそういった面を認める発言をしている。F1でいうならセナとプロストみたいな関係で、端から見ている分には本当に面白い二人であった。





そんな二人のうち一人は鬼籍に入った。病魔のせいではあるが、正直頑固を通り越した愚かさで死んだようなものだった。残された者たちが未だにジョブズの呪縛から逃れられていないのも全部彼の責任だろう。一方、ゲイツは実に充実した生活を送っている。仕事でもパートナーである妻との関係も良好だし、持ち前の頭脳を駆使して後進国のトイレ事情から世界のエネルギー問題まで多岐に渡るプロジェクトに関わっている。人間の器が本当にでかい男だ。



大自然の中を散策するビル・ゲイツの孤独な後ろ姿が印象的な本作を見る限り、その器を大きくする手助けになったのは家族の存在が大きかったらしい。天才故に気づけないことを母親や周囲が根気よく教えたからこそ今の彼があるというのだ(残念ながらジョブズには"それ"が足りなかったのかもしれない) そんな教育の賜物なのか、歳をとって絶妙に角が取れてきたゲイツの仕事は慈善事業に見える物が多いが、その実とても野心的な分野で間違い無く、趣味と実益を叶えつつ働いているのがよく分かる。彼以外に誰が好き好んで世界中の下痢の統計を調べるというのか。一度”何故”と思ったら行くところまで行き、誰かの命も救えるならいうこと無しに違いない。

序盤のインタビューに一番恐ろしいのは「脳が動かなくなること」だと彼は答えていたが、そうなる前に是非人類が抱える問題を少しでも最適化して貰いたいものである。感情に流され視野が狭くなった人には気づけない解答があることを、上手く証明して大勢に伝えることが出来る人間はほんの一握り。無論ビル・ゲイツもその一人だ。テクノロジーで全てを解決出来るわけではないが、このままの中途半端なテクノロジーを駆使した生活を続けても待っているのは破滅だけなのである。ならとことん足掻いてから滅亡しようじゃないかと考えるのも人生だろう。火を手にしてから後戻りが許されなくなった人類。大昔から謳われる滅びの道を辿るのか、それとも......



今のビル・ゲイツのイメージを操作したい作為を感じる為、純然たるドキュメンタリーとは言い難いが、それほどに世界へ訴えたい何かを彼は持っているのだろう。そもそも僕のような手取り十数万の男が人生を何周しても稼げない金を貧しい国のために使うのは悪い話ではない。なかなか興味深いドキュメンタリーである。




posted by lain at 21:35北海道 ☔てれび

不幸ばかりが世界じゃないが、幸福ばかりじゃ味気ない「進撃の巨人」諫山創/感想

ここ数日、期間限定無料で読めることを良いことに、夜更かしして進撃の巨人を読み耽っていた。信じていた正しさがガラガラと崩れ落ち、泥沼へと沈んでいく登場人物達を眺めながら、嘘の世界なのに本当のことばかり描かれている漫画だなと改めて溜息が出た。日本が、そして世界が古来より延々と解決出来ずにいる物が、これほどぎっしりと詰め込まれている少年漫画はなかなか例がない。進撃は難しいからと敬遠する人が少なからずいるのも分かる話である。



いつ頃からそうなのかは思い出せないほど、今では”べったり”心に張り付いている持論なのだが”愛は世界など救わない”と常々思っている。進撃の巨人に登場する多くの者達もそうだが、愛故に自分達の世界以外を壊す者と、そうでない者の比率は圧倒的に前者へ傾いている。それでも全てを愛せれば解決するはずだと言う人もいるかもしれないが、それは愛されるのを迷惑に思う人間を殺すのと同義だろう。逆に、誰もが誰(自他共に)のことも深く愛さないで生きられたなら、”復讐”の2文字などその言葉の意味ごと世界から消えるに違いない。


進撃は生々しい残虐描写で子供に悪影響があると感じている人も居るだろうが、個人的には進撃を日本の教育に活かすべきでは無いかと思うほど子供に良い教訓を提示しているように感じている。いっそ学校になど行かなくとも進撃の巨人を読んでいるだけで成熟した人格形成が可能なのではなかろうか?今回のキャンペーンにしても、既に多くの人が読んでいるにも関わらず、まだまだ本作に内包された”何か”が拡まって欲しいと大勢が思っているからこそ実現したようなものだ。娯楽成分だけの作品ならここまで人を熱く出来るはずがない。


まあ兎に角だ。今更追い付いておいて言うのも恥ずかしいけれど、ド派手な部分に気を取られ本質を見誤る人間の横槍で着地点がズレたりしないことだけは心から祈っている。止まることを赦されない人気漫画家というのは相当しんどいでしょうが、もう暫し頑張って頂きたい。


”休むのは死んでからです”と、言っていた人は、元気にしてるかな?




【今日の編集部】『進撃の巨人』28巻まで“無料”の神キャンペーンは明日(9/18)までだぞ!

  https://app.famitsu.com/20190917_1513135/

posted by lain at 19:56北海道 ☔漫画