変態出来ない変態が羨む青い変態「ぼくらのへんたい 10完」ふみふみこ/COMICリュウ/徳間書店/感想

父親は居るものの、日頃留守がちで母や姉二人と過ごすことが多かった僕は幼い頃普通に気弱で、よく「逆(姉と性別が)だったら良かったのに」と周囲から言われたものだった。

徐々に体が大きくなり、男友達と遊ぶようになれば流石にやんちゃな男の子になっていったものの、少し年の離れた長女の膨らんで来た胸を見ながら、いつか僕も大きくなって来るんじゃないかと本気で思うくらい、性別への違和感に苦しんだ時期もあって、こんな物さえ無ければ良いのにと股間を叩いたり切ってはどうか?と考えたこともあった。

人間と暮らすうちに自分を人間だと勘違いしてしまう犬と同じような感覚だったのかもしれない。性的な物への目覚めに対する戸惑いも相俟って、男であることに激しい自己嫌悪を抱いてしまっただけなのだと今なら思える。間違ってもハサミで切らなくて良かった........


「ぼくらのへんたい」は三人三様の切実さで女装せざる得ない少年達の泥沼青春話だったわけだけど、7巻以降の笑顔な表紙そのままに笑い合える関係に最終的には落ち着いて本当に良かった。作者が最終巻のあとがきで、どうしても好きになれない3人の主人公に「こいつら全員不幸になれ・・・!」と呪いながら描いていたという言葉通り、前向きになれそうでなれない彼らを見守るのは辛いことが多かったから、それぞれに救いがある
収束には感慨深いものすら感じてしまった。男でも女でもいい、僕らはみんな"へんたい"で良いんだと笑う彼ら全員を祝福したくて仕方ない......







まだ、女性に対する憧れはある。

それは性交渉の相手としてもそうだし、自分が女になって可愛らしい服を着たり、旅行をしたり、女性ならではの視点でこの世界を楽しんでみたいという気持ちも大きい。

男(僕)は世界をつまらない物にしか出来ない。短絡的な性や暴力を心の何処かで求め、諦めと道義の利口さを盾に一歩を踏み出さない。少々思慮が足りないくらいの方が、絶対人生を楽しめるに違いないのに。

あ、けして女性が考え足らずだと言ってるわけでは無いけどね(言ってるなこれ)










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posted by lain at 07:18北海道 ☔漫画

面白い。ただひたすら面白い。それが全てだ。「人形の国(月刊少年シリウス2017年4月号)」弐瓶勉/講談社/感想

遅ればせながら、弐瓶さんの新連載を読んだ。

有り体に言って集大成に感じた。

クソ面白い。






それでなくとも分かり難い世界観(シドニアは非常に親切な設計だった)が多い弐瓶作品だからなのか、冒頭の世界観説明が若干野暮な気がしたものの、あっという間に惹き込まれる空間造りは流石としか言いようが無い。

あと、「BLAME!」の舞台になった果てしない階層都市の成れの果てのような建造物から物資を手に入れている主人公達を見て、思わず「これはナウシカだ」と頭に浮かんだ。フード付きの服のデザインも何処となくナウシカの服に似ているし、もしかすると弐瓶勉さんもナウシカのSF部分に惚れ込んだ一人なのかもしれない。

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本作でも安全帯が大活躍

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シドニアに引き続き輪郭を強調した効率の良い描き込みは健在




ナウシカというと、巨神兵のグロさや王蟲の群の気持ち悪さ、そして自己犠牲の大幅な美化が良くも悪くも話のネタになるけれど、ナウシカが腐海を探索する冒頭のシーンが僕は大好きだったりする。あの探索の日々だけを抽出した作品があっても良いくらいにわくわくせざるえない。そう考えると、まさにBLAME!とは僕にとって痒いところに手が届く作品だったんだなと、今更になって合点がいった。

弐瓶作品に付き物のキーワードが次から次へと登場するし、個人的な印象としてはBLAME!の続編的な位置に見える「人形の国」。シドニアより本来の弐瓶作品に近づいているようにも思う。シドニアから弐瓶さんを好きになった人たちがどれだけ付いて来るのか、少々意地の悪い古参ファンの心も疼く作品になりそうで楽しみである。


早くBLAME!の映画やノベライズ&短編アンソロが見たくて仕方ない............



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posted by lain at 07:09北海道 ☔漫画

愛されているから愛すのか?愛したいから愛すのか?「花にくちづけ」阿部あかね/ディアプラス/BL/感想

少々早めに仕事が終わり帰宅。

グダグダとしているうちに居眠りをして夜中に目を覚まし、やめておけば良いのに人妻物の軽いエロ漫画を読んだせいで寂しさスィッチを押してしまったせいか、そのまま男同士が普通に粘膜を交わし合うBLを読んでしまった。





冒頭、いきなり友人が半裸でゲイを告白し、童貞を奪っていくという高三の過去シーンから始まり、それから三年経ってヤリ逃げしていった友人がふらっと女の格好で自分の前に戻って来て、さあこれからどうなるんだ?どうするんだ?と物語は始まるのだけど、まるで寂しさを紛らわせる為に、気まぐれで男を抱いたような感覚(そんな経験はこれっぽちもない)になるほど人妻物よりイケナイエロスで、それでいてプラトニックな愛がしっかりあり、確かな温もりが手のひらに残るような作品でとても良かった。

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作中の濡れ場にしても、男のままで絡む場合もあれば、女性にしか見えない格好の時も多く、ガチムチ作品より口当たりが優しいBLで読み易かった。実際にこういうシチュエーションでカップルになってしまった男達もいるんじゃないかと思わされた。

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多くの男女が思い遣りをもって上手に愛し合えなくなった今の時代、たとえ男同士でもお互いを尊重する想いがあるなら、無い胸を張って愛し合って欲しいし、それを理解できない人々も広い心で生暖かく見守って欲しいものです。


女装した可愛らしいひとならアリだな、と、考えてしまうようなゲスい私は、女性にも男性にも愛されそうに無いけれど.......











posted by lain at 07:08北海道 ☔漫画