訃報で思い出す“黒岩よしひろ”

仕事以上に人へ気を使うことで草臥れた一日が終わり、ぼんやりTwitterを眺めていたら懐かしい名前が飛び込んできた。漫画家”黒岩よしひろ”の名である。



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何故か手元に残しておきたくなる作品だった




正直熱心なファンでもなく、すっかり忘れていた。「鬼神童子ZENKI」が月刊での連載だったこともあって(当時ジャンプの月刊はたまにしか読んでいなかった)、自然と彼の漫画を読まなくなり、不思議ハンターも段ボール箱の奥底に仕舞い込んでいた

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今読むと非常に苦しい設定だし、不思議ハンターと名乗るのも非常にダサい。孔雀王のようなバケモノ退治物の流行が伸び切った時期の作品だから、独自の色を出すのも大変だったに違いない。

何処と無く特撮物を匂わせる装い(表紙だけ描き込みに力が入ってる)の脳筋主人公と、そのお守役で健康的な可愛さの妹とのコンビが、なんだか分からないけど好きで、ちょいちょいお色気があったのも嬉しかった。最近はアダルト向けや表紙の段階でアウトだろと言いたくなるような漫画を描いていたようで、絵柄はだいぶ変わっているものの、趣味全開の大味な作りは相変わらずで意外と楽しめた。






久々に見かけた名前が訃報を知らせるものだったのは残念だが、同窓会気分で新旧作品を読めたのは良かったかもしれない。

このご時世に頑張っていたベテランが還暦も迎えず亡くなるのは寂しい限り。お疲れさまでした...





黒岩よしひろTwitter https://twitter.com/kuroiwa_yoshi
posted by lain at 06:55北海道 ☔漫画

僕にとってのピアノの神様は彼女のことだった「神童」さそうあきら/双葉社/感想

この春から放送を開始したアニメ「ピアノの森」は、天才的なピアノの才能を持つ野生児のように元気の少年が、その素質を見出されピアニストとして成長していく物語で、とても素直なドラマ作りなのにピアノに関しての描写も細やかだから面白い。原作は書店の平積みでしか眺めたことがなかったが、評判の良さも頷ける内容だと思った。



ただ、この手の天才的子供のピアニストの話になると、僕は”さそうあきら”氏「神童」について触れずに居られなくなる。正直初めて絵で音楽を感じた作品だったと思うから。

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耳だけは良い音大を目指す浪人生”和音”が、野球のボールを探しにきた少女”うた”と出会い、野球以上に上手い彼女のピアノを知って弟子入りまでしてしまう話で、”うた”の物怖じしない姿から、ぽろりとこぼれ落ちる子供らしい一面であったり、彼女と関わっているうちに生き方そのものが変わって来る和音の泥臭さであったり、二人の身の回りのドラマが展開していく。

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淡い恋心の描写も痺れる



うたのお母さんの苦労話や音楽業界の嫌らしい面であるとか、”さそうあきら”さんらしい生活感溢れた脚色が個人的に凄く好みで、終盤の辛い展開だけでなくピアノに関係無さそうな野球ネタで埋め尽くされた序盤ですら大好きだった。うたの前に現れる巨匠たちがピアノのこととなると子供っぽくムキになってはしゃぐ様子なんかも最高に面白かったものである。


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ピアノの森の阿字野先生とはえらい違い





漫画なのだから実際にはピアノの音など聴こえないし、ぶっちゃけショパンの革命エチュードがどうのとか言われても、どんな曲だったか直ぐに分からない(知らない)

でも、確かに何かが聴こえた気がした。

うただけが奏でる音楽が


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posted by lain at 07:20北海道 ☔漫画

和風ハンバーグって洋風?「魔法使いの娘」那州雪絵/新書館/感想

魔法使いって和風なイメージがまるでない。ハリーポッターや指輪物語に登場するベタな人たちばかり頭に浮かぶ。

じゃあ和風な魔法使いってどういう人たちのことを言うのか?


そう考え出すと確かに陰陽師こそ和風な魔法使いにぴったりに思えてくる。





身の回りのことは一切出来ないが凄腕の陰陽師である父を持つ少女”鈴の木初音”の元に二人組が現れ、二人のどちらかが弟子で、また一方は鬼だから見極めてみろと父親は言う。素質はあるが跡を継ぐ気などない初音は、アホな父親に憤慨しつつも”なんとか”しようとする....

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傍迷惑な父親に振り回されているうちに少しずつ陰陽道へ慣れてゆき、普通の少女の普通の日常が微妙に壊れてゆくという話なのだけど、主人公の所帯染みた設定や開き直りの精神で陰陽道の暗部を蹴散らす感じが心地良い作品になっている。

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化け物の作画などは那州さんそれほど上手いわけではないけれど、生々しい不気味さを表現するのは上手い方なので、この手の魑魅魍魎が絡むシリーズを今まで長期連載して来なかったことの方が意外だったかもしれない。続編である「魔法使いの娘ニ非ズ」も完結し、そろそろ纏めて読もうと思いつつ数冊しか読めていないが、この世界観ならば「ここはグリーンウッド」の手塚忍にも出番がありそうだなと思った。まあギャラが良くないと彼は出ないだろうけれど



僕の勝手な感覚としては、女性漫画家は男性漫画家よりフェードアウトするのが早い印象がある。結構人気のある人でもあっという間になんの情報もなく消えてしまったりする。せめてSNSで近況を教えてくれるとか、出版社が何かしらのアナウンスをしてくれれば、こちらもモヤモヤせずに済むのだが、そう上手くはいかないことがまだまだ多い。

しかし作品で健在ぶりをアピールしてくれることが1番ではある。その点では那州雪絵さんに感謝の気持ちしかない。これからも肩こりや目のかすみと闘いながら頑張ってもらいたい。


posted by lain at 07:21北海道 ☔漫画