歳をとっても人間の本質は変わらないという良い見本がここに居た「金田一37歳の事件簿」さとうふみや/天樹征丸/感想

あと二ヶ月ほどで41歳を迎える私は、もう兎に角あちこち中年で仕方ないのだが、1番歳老いたことを実感するのは、もう自分の誕生日や年齢はどうでも良くなったと他人に嘯いている瞬間だろう。店主の気分で店を開ける古本屋のようなこのブログでも、アホみたいにしょっちゅう加齢を嘆いているものだから、本当にみっともない大人になったものだと思ってしまう。ほらまた嘆いている....


もっと圧倒的に老け込んでしまえば、また一味違う感傷があるのかもしれないが、とりあえず今は人生のど真ん中で足掻くしかないのが実情なので、金田一少年が金田一中年になってしまった世界も割と楽しめてしまった。

金田一37歳の事件簿(1) (イブニングKC)
金田一37歳の事件簿(1) (イブニングKC)






髭を整え電車で会社に向かい、歩きながら朝食を済ませてようやく辿り着いたら嫌な上司に小言を言われ、何処まで逃げても追ってくる事件相手に”もう謎は解きたくない”と口にする金田一一。すっかり何処にでも居る社畜の一人である。一応会社では主任になっている辺り、いつものやろうと思えばやれる男の変わらない怠惰と非凡さは感じるし、主人公が一気に老け込んでも(見た目は大した老けていない)事件が起こるシチュエーションが少々変わった程度でノリは変わっておらず、今のところ(3巻までだが、もう直ぐ4巻が発売される)同窓会気分で楽しめている。これまでヒロインであった美雪をLINEだけの存在へと追いやり、現在の二人がどんな距離感なのかはぐらかしつつ新ヒロインとして会社の後輩を据えている点や、お隣に美人のシングルマザーを配置するなどしていることも実に中年の夢想を擽って実に狡猾だ。この上自らが草臥れる中年になったことで、犯人達に対する態度が変わって来たりしているような描写(自分もそうなっていたかもしれない)があったりすると、更に”大人になったものだ”と感慨が湧きそうだが、この先どうなってゆくのか?




某宗教組織の立ち上げた政党から選挙に出馬したのをきっかけに、正直”さとうふみや”さんの作品と距離を置いていた。色眼鏡無しに読めそうになかったからだ。今も彼女の作品に妙な違和感を抱く瞬間はあるが、逆にそれが人間の闇を扱うミステリーに活きているのも確かなこと。


主義主張はそれぞれ好きにやれば良い。誰かに押し付けない限り僕はそれで良いと思っている。それはそれ、これはこれ。面白いものは面白いで良いのだ。また続編で御茶を濁す気だと言う人もいるかもしれないが、絵がどんどん変わっていく作家が多い中、それほど(金田一少年の1巻と比べちゃ嫌ァ)変わらずに”その後”をやってくれているのは良いことなのではないだろうか?


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posted by lain at 20:50北海道 ☔漫画

思わず連呼するほど悩ましい”ちんぽ”「夫のちんぽが入らない 1巻」こだま(原作)/ゴトウユキコ(漫画)/感想

僕は昔から“エッチ”な漫画が好きだった。


たまたま学校帰りに道端で見つけた漫画雑誌で、婦警さんが強盗犯にあられもない格好をさせられていた(のちに“八神ひろき”さんの「2人におまかせ!」だったことに気づく)のを読んでしまったのを皮切りに、週刊誌のエッチな漫画や、子供向け漫画のエッチなシーンを当然のように通り、中学生になった頃にはエロ本というエロ本を読むようになっていた。


そうこうしているうちに高校になると、男がただ性欲を満たす作品ではなくフェティシズムを求め出していた。姉の影響でハマった“森園みるく”さんのインモラルな世界観や、“柏木ハルコ”さんの女性ならではな性表現の仕方に夢中になったものだった。わざわざ言うのも憚られるが、あれから性欲は減退した。エッチな漫画を毎日のように求めていたのが嘘みたいに、どうしようもなくムラムラするようなことも減り、そんじゃそこらのネタでは“ちんぽ”は立ち上がらない。


でも、ゴトウユキコさんの漫画ほどのネタになると、僕のちんぽも黙っていない。羞恥と本能がローションまみれになりながらも、それを冷静に見つめているような独特のエロ描写がたまらなくツボに入るのだ。今回読んだ「夫のちんぽが入らない」でも、原作付きであるのを感じさせないくらいゴトウユキコさんの持ち味が出ていた。もしかしなくとも原作者の”こだま“さんと相性ぴったりなのではなかろうか?あとがきで繰り広げられた“ちんぽ”合戦も微笑ましい限りだった。









田舎出身の女性が、ずけずけと自分の領分に入り込む男を好きになり、男女の関係に及ぶようになるも、何かが邪魔するかのように”ちんぽ”が入らないというタイトル通りの話なのだが、笑いとエロと切実な悩みのバランスが絶妙で、エロをちゃんと描いた純愛物といった雰囲気が実に良い。純愛物というのは案外濡れ場をスルーしたり、綺麗なセックスシーンにしたがるものだが、これくらい泥臭い方が子供の教育に良いような気すらした。


そもそも子供向けは潔癖すぎて教育によくない。根性があればなんとかなったり、頑張れば夢が叶ったり、具体的な根拠が一切ないサクセスストーリーが多過ぎる。もっと必要なこと、そして避けられない事実こそ子供には提示すべきだ。そしてそのために何が必要なのかまでやらないと無責任でしかない。それでなくとも自分の至らない面を他人に転嫁する人が増えている昨今、死刑にして欲しかったとか、誰でも良かったとか、はた迷惑でしかない理由で周囲を害するニュースで溢れている。もうちょっと本当のことを子供に届けた方が、将来何者にもなれない凡人になっても、それを受け入れられる強さが身につくのではなかろうか?





ちんぽの話から一気に説教臭くなったが、言いたいのは”ゴトウユキコ”さんと”こだま”さんのちんぽは最高だというだけである。


ちんぽが有る人も無い人も是非読んでみて欲しいものだ📖



夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)
夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)



ゴトウユキコTwitter https://twitter.com/gotouyukiko

こだまTwitter https://twitter.com/eshi_ko

posted by lain at 10:03北海道 ☔漫画

訃報で思い出す“黒岩よしひろ”

仕事以上に人へ気を使うことで草臥れた一日が終わり、ぼんやりTwitterを眺めていたら懐かしい名前が飛び込んできた。漫画家”黒岩よしひろ”の名である。



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何故か手元に残しておきたくなる作品だった




正直熱心なファンでもなく、すっかり忘れていた。「鬼神童子ZENKI」が月刊での連載だったこともあって(当時ジャンプの月刊はたまにしか読んでいなかった)、自然と彼の漫画を読まなくなり、不思議ハンターも段ボール箱の奥底に仕舞い込んでいた

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今読むと非常に苦しい設定だし、不思議ハンターと名乗るのも非常にダサい。孔雀王のようなバケモノ退治物の流行が伸び切った時期の作品だから、独自の色を出すのも大変だったに違いない。

何処と無く特撮物を匂わせる装い(表紙だけ描き込みに力が入ってる)の脳筋主人公と、そのお守役で健康的な可愛さの妹とのコンビが、なんだか分からないけど好きで、ちょいちょいお色気があったのも嬉しかった。最近はアダルト向けや表紙の段階でアウトだろと言いたくなるような漫画を描いていたようで、絵柄はだいぶ変わっているものの、趣味全開の大味な作りは相変わらずで意外と楽しめた。






久々に見かけた名前が訃報を知らせるものだったのは残念だが、同窓会気分で新旧作品を読めたのは良かったかもしれない。

このご時世に頑張っていたベテランが還暦も迎えず亡くなるのは寂しい限り。お疲れさまでした...





黒岩よしひろTwitter https://twitter.com/kuroiwa_yoshi
posted by lain at 06:55北海道 ☔漫画