不幸ばかりが世界じゃないが、幸福ばかりじゃ味気ない「進撃の巨人」諫山創/感想

ここ数日、期間限定無料で読めることを良いことに、夜更かしして進撃の巨人を読み耽っていた。信じていた正しさがガラガラと崩れ落ち、泥沼へと沈んでいく登場人物達を眺めながら、嘘の世界なのに本当のことばかり描かれている漫画だなと改めて溜息が出た。日本が、そして世界が古来より延々と解決出来ずにいる物が、これほどぎっしりと詰め込まれている少年漫画はなかなか例がない。進撃は難しいからと敬遠する人が少なからずいるのも分かる話である。



いつ頃からそうなのかは思い出せないほど、今では”べったり”心に張り付いている持論なのだが”愛は世界など救わない”と常々思っている。進撃の巨人に登場する多くの者達もそうだが、愛故に自分達の世界以外を壊す者と、そうでない者の比率は圧倒的に前者へ傾いている。それでも全てを愛せれば解決するはずだと言う人もいるかもしれないが、それは愛されるのを迷惑に思う人間を殺すのと同義だろう。逆に、誰もが誰(自他共に)のことも深く愛さないで生きられたなら、”復讐”の2文字などその言葉の意味ごと世界から消えるに違いない。


進撃は生々しい残虐描写で子供に悪影響があると感じている人も居るだろうが、個人的には進撃を日本の教育に活かすべきでは無いかと思うほど子供に良い教訓を提示しているように感じている。いっそ学校になど行かなくとも進撃の巨人を読んでいるだけで成熟した人格形成が可能なのではなかろうか?今回のキャンペーンにしても、既に多くの人が読んでいるにも関わらず、まだまだ本作に内包された”何か”が拡まって欲しいと大勢が思っているからこそ実現したようなものだ。娯楽成分だけの作品ならここまで人を熱く出来るはずがない。


まあ兎に角だ。今更追い付いておいて言うのも恥ずかしいけれど、ド派手な部分に気を取られ本質を見誤る人間の横槍で着地点がズレたりしないことだけは心から祈っている。止まることを赦されない人気漫画家というのは相当しんどいでしょうが、もう暫し頑張って頂きたい。


”休むのは死んでからです”と、言っていた人は、元気にしてるかな?




【今日の編集部】『進撃の巨人』28巻まで“無料”の神キャンペーンは明日(9/18)までだぞ!

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posted by lain at 19:56北海道 ☔漫画

歳をとっても人間の本質は変わらないという良い見本がここに居た「金田一37歳の事件簿」さとうふみや/天樹征丸/感想

あと二ヶ月ほどで41歳を迎える私は、もう兎に角あちこち中年で仕方ないのだが、1番歳老いたことを実感するのは、もう自分の誕生日や年齢はどうでも良くなったと他人に嘯いている瞬間だろう。店主の気分で店を開ける古本屋のようなこのブログでも、アホみたいにしょっちゅう加齢を嘆いているものだから、本当にみっともない大人になったものだと思ってしまう。ほらまた嘆いている....


もっと圧倒的に老け込んでしまえば、また一味違う感傷があるのかもしれないが、とりあえず今は人生のど真ん中で足掻くしかないのが実情なので、金田一少年が金田一中年になってしまった世界も割と楽しめてしまった。

金田一37歳の事件簿(1) (イブニングKC)
金田一37歳の事件簿(1) (イブニングKC)






髭を整え電車で会社に向かい、歩きながら朝食を済ませてようやく辿り着いたら嫌な上司に小言を言われ、何処まで逃げても追ってくる事件相手に”もう謎は解きたくない”と口にする金田一一。すっかり何処にでも居る社畜の一人である。一応会社では主任になっている辺り、いつものやろうと思えばやれる男の変わらない怠惰と非凡さは感じるし、主人公が一気に老け込んでも(見た目は大した老けていない)事件が起こるシチュエーションが少々変わった程度でノリは変わっておらず、今のところ(3巻までだが、もう直ぐ4巻が発売される)同窓会気分で楽しめている。これまでヒロインであった美雪をLINEだけの存在へと追いやり、現在の二人がどんな距離感なのかはぐらかしつつ新ヒロインとして会社の後輩を据えている点や、お隣に美人のシングルマザーを配置するなどしていることも実に中年の夢想を擽って実に狡猾だ。この上自らが草臥れる中年になったことで、犯人達に対する態度が変わって来たりしているような描写(自分もそうなっていたかもしれない)があったりすると、更に”大人になったものだ”と感慨が湧きそうだが、この先どうなってゆくのか?




某宗教組織の立ち上げた政党から選挙に出馬したのをきっかけに、正直”さとうふみや”さんの作品と距離を置いていた。色眼鏡無しに読めそうになかったからだ。今も彼女の作品に妙な違和感を抱く瞬間はあるが、逆にそれが人間の闇を扱うミステリーに活きているのも確かなこと。


主義主張はそれぞれ好きにやれば良い。誰かに押し付けない限り僕はそれで良いと思っている。それはそれ、これはこれ。面白いものは面白いで良いのだ。また続編で御茶を濁す気だと言う人もいるかもしれないが、絵がどんどん変わっていく作家が多い中、それほど(金田一少年の1巻と比べちゃ嫌ァ)変わらずに”その後”をやってくれているのは良いことなのではないだろうか?


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posted by lain at 20:50北海道 ☔漫画

思わず連呼するほど悩ましい”ちんぽ”「夫のちんぽが入らない 1巻」こだま(原作)/ゴトウユキコ(漫画)/感想

僕は昔から“エッチ”な漫画が好きだった。


たまたま学校帰りに道端で見つけた漫画雑誌で、婦警さんが強盗犯にあられもない格好をさせられていた(のちに“八神ひろき”さんの「2人におまかせ!」だったことに気づく)のを読んでしまったのを皮切りに、週刊誌のエッチな漫画や、子供向け漫画のエッチなシーンを当然のように通り、中学生になった頃にはエロ本というエロ本を読むようになっていた。


そうこうしているうちに高校になると、男がただ性欲を満たす作品ではなくフェティシズムを求め出していた。姉の影響でハマった“森園みるく”さんのインモラルな世界観や、“柏木ハルコ”さんの女性ならではな性表現の仕方に夢中になったものだった。わざわざ言うのも憚られるが、あれから性欲は減退した。エッチな漫画を毎日のように求めていたのが嘘みたいに、どうしようもなくムラムラするようなことも減り、そんじゃそこらのネタでは“ちんぽ”は立ち上がらない。


でも、ゴトウユキコさんの漫画ほどのネタになると、僕のちんぽも黙っていない。羞恥と本能がローションまみれになりながらも、それを冷静に見つめているような独特のエロ描写がたまらなくツボに入るのだ。今回読んだ「夫のちんぽが入らない」でも、原作付きであるのを感じさせないくらいゴトウユキコさんの持ち味が出ていた。もしかしなくとも原作者の”こだま“さんと相性ぴったりなのではなかろうか?あとがきで繰り広げられた“ちんぽ”合戦も微笑ましい限りだった。









田舎出身の女性が、ずけずけと自分の領分に入り込む男を好きになり、男女の関係に及ぶようになるも、何かが邪魔するかのように”ちんぽ”が入らないというタイトル通りの話なのだが、笑いとエロと切実な悩みのバランスが絶妙で、エロをちゃんと描いた純愛物といった雰囲気が実に良い。純愛物というのは案外濡れ場をスルーしたり、綺麗なセックスシーンにしたがるものだが、これくらい泥臭い方が子供の教育に良いような気すらした。


そもそも子供向けは潔癖すぎて教育によくない。根性があればなんとかなったり、頑張れば夢が叶ったり、具体的な根拠が一切ないサクセスストーリーが多過ぎる。もっと必要なこと、そして避けられない事実こそ子供には提示すべきだ。そしてそのために何が必要なのかまでやらないと無責任でしかない。それでなくとも自分の至らない面を他人に転嫁する人が増えている昨今、死刑にして欲しかったとか、誰でも良かったとか、はた迷惑でしかない理由で周囲を害するニュースで溢れている。もうちょっと本当のことを子供に届けた方が、将来何者にもなれない凡人になっても、それを受け入れられる強さが身につくのではなかろうか?





ちんぽの話から一気に説教臭くなったが、言いたいのは”ゴトウユキコ”さんと”こだま”さんのちんぽは最高だというだけである。


ちんぽが有る人も無い人も是非読んでみて欲しいものだ📖



夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)
夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)



ゴトウユキコTwitter https://twitter.com/gotouyukiko

こだまTwitter https://twitter.com/eshi_ko

posted by lain at 10:03北海道 ☔漫画