見たい、見たく無い、でも見なきゃ....「ウォーキング・デッド シーズン7」FOX/海外ドラマ/感想

FOX
※ネタバレ






毎日毎日、こうして生きていると、胃が重くなるような出来事に遭遇することが誰にでも時折あるかと思う。

大きな失敗を学校で、会社でやらかした。自分の過失で車両事故を起こした。家族や友人と引き際が見つからないほどの喧嘩をした。気になる異性が自分のことを本当はどう想っているのか思い悩む。それぞれ色々あることだろう。


それもこれも、”それら”が現実における自分の居場所を守る為に避けられない問題だからこそ胃が重くなってしまうわけなのだけど、作り物の世界であるウォーキング・デッドも、同じように逃げ込むことを許さないスタンスで現実の苦しみをこれでもかと落とし込んでいるから本当に胃が重くなる。

マンネリをぶち壊す覚悟が製作陣から痛いほど(文字通り)伝わってくるシーズン7の幕開けも、最恐で最良なものになっていた気がした.....





シーズン6だけでも問題が起き過ぎててんやわんやだったから、一年ぶりに見ると「なんでこんな状況になってたんだっけ?」と普通に思ってしまったが(同じように前回までの内容を忘れてる人は、公式のおまとめサイトが簡潔で分かり易い→http://tv.foxjapan.com/special-content/twd/season6.html) 救世主と呼ばれる集団に囲まれ、いつもの面々がずらりと膝をついて座り、革のジャケットを着た”にやけ面”の男ニーガンが有刺鉄線付きのバットを片手に誰を殺そうかと品定めをしている冒頭を見て、そうだ、とうとう親玉が出て来てヤキ入れられそうになってるんだった!と、記憶が蘇って来た。

どうなっちまうんだ?本当に誰か死ぬのか?出来れば誰も死んで欲しく無い。あいつだけは勘弁してくれ!!そんな気持ちでいっぱいで居ても立っても居られないまま、焦らされ続けること10数分、とうとう脱落者が分かる。一番タフそうながたいのエイブラハム・フォードだ.....お気に入りのバットで何度も何度もエイブラハムの頭をぶちのめし、原型が分からない肉塊になるまでやめないニーガンは酷く楽しげで、これまでの相手とは明らかに違う冷徹さが漂っていた。あぁ、でも言っちゃなんだけど、エイブラハムの死で済んだなら、まだ傷は浅いぞ!と、思ったのもつかの間、まさかのグレンが不意打ちでヤられて絶句......エイブラハム以上に無残な様を見せつけられ、彼の子を身篭っているマギー級に僕もショックだった......

何しろグレンはシーズン1からの初期メンバーの一人。絶体絶命のリックを助けた男でもあった。これで初期から生きているのはリック親子の三人とダリルとキャロルだけ。モーガンもそうだけど、過ごした時間の長さを考えたら、グレン達への思い入れに遠く及ばない。これが本当にコミック原作のドラマなの?そう思いたくなるほどおぞましい展開だ。いちいち比べるのもなんだけど、日本の漫画原作でここまでの実写化は見たことがない。日本がウォーキングデッドのよう物語が生まれる土壌では無いことは、ある意味においては幸せなことかもしれないけれど、いかに僕らが温い現実に絶望して生きているかが分かる話だなとも思った....





僕ら日本人と世界中の人達の立場の差を比べどうこう言うのはナンセンスとして、大きな岐路に立ったリック達がどんな選択をし、どんな風に生を全うするのか気が気では無い。

毎週また深い溜息を吐くことになりそうで気が重い。いっそ観なきゃ良いのかもしれないが、そうもいかないほど彼等を身近に感じる自分がいてままならない....

D937B15B-DE68-410D-81DA-CC3533274AD1.jpg




虚構に添い寝する現実「HOMELAND シーズン5」FOX/感想

FOX
 一昨日、シン・ゴジラは3.11(東日本大震災)を東京とゴジラに置き換えた作品だとする記事を見掛け、確かにそう言われれば陣地を超えた天災同然のゴジラが撒き散らすのは放射線だし、後手後手に回って国民や現場に被害をもたらしたのは政治家だったなと思った。しかし、おそらく自然と似通ってしまっただけなのだろう。ゴジラの撒き散らす放射線に関係する対処を考えた時、真っ先に見本となるのが3.11なのだから。



 近年、現実がフィクションを追い越してしまったとよく見聞きする。大規模なテロや、殺傷事件が頻繁に起こるからだ。日本でエアガン市場が成長したのも、現実に銃を撃てる機会がまず無かったからで、もしも銃が携帯可能な社会なら、ここまでエアガンが売れることは無かったかもしれない。要するに、冗談を言っている場合では無くなってしまうのだ。

 それでも物語を紡ぎたい。そう考えた時、兎に角ディティールがモノを言う。今回のゴジラも、政府がどう動き、自衛隊がどう戦うか、というのを実に緻密にやった結果、作中もっとも虚構な存在であるゴジラをリアルに感じることが出来た。日常が日常だけに、そんじゃそこらの嘘では現実を吹き飛ばせないアメリカにしても、「HOMELAND」のように真実より真実らしく感じる重めの作品にこそ魅力を感じる。





 つい最近シーズン5が終わったばかりのHOMELAND。帰還兵がスパイとして本国へ戻って来て、テロの片棒を担ぐことになるという衝撃の内容で幕開けした本作は、常に現実の厳しさを描き続けている。笑えるシーンなどほぼ皆無だ。CIAのギスギスした感じや仕事の進め方、更にはその罪の重さまで表現しているから、見終わった時誰が悪いのか分からなくなって溜息が止まらない。シーズン5では、慈善事業団体と機密の関係や各国諜報機関の共闘と反目、そして心揺れるテロリストに至るまで繋ぎ合わせ、主人公であるキャリーと友人達の感情を際立たせていた。

 勿論ドラマなのだから、綺麗事もご都合も無いわけではないが、あまりに救いが無い展開に打ち切りを望む声まで上がっているのだから、脚本と役者の質の高さは言うまでも無い。シーズン6の製作も決定していているから、本国以外での反応も悪く無いのだろう。願わくば、テロの温床になっているような地域の人達に見て貰いたい作品だ。何処でどう暮らしていても、人間は人間なんだと分かって貰えそうな気がする。



 アメリカのことを文化で他国を占領する国だと言うのも分からないでも無い。だが、彼らの文化に少しでも親近感を覚えるからこそ、恐怖し、反抗しようとしているのもあるだろう。文化も神も人の数だけ居て良いじゃないか。アッラーでもキリストでもゴジラでも。唯一無二の絶対で無ければならないだなんて狭量なだけだ。

 みんな仲良く。なんてのはありえないが、もっと今より争いの少ない社会が構築出来たとして、一体その時はどんな物語に人々は真実味を感じることになるのだろう?........







関連過去記事

週末に終末三昧とは救い難い阿呆である「ハンドレッド(The 100) シーズン1〜2」海外ドラマ/感想

子供頃、余計にお小遣いを貰うとロクなことに使わなかったものだが、普段なかなか有り付けない2連休を手にした途端、海外ドラマを29話分も観てしまうのも似たようなものかもしれない....




いわゆる終末物で、核戦争で汚染された地球に住めなくなった人類が宇宙ステーションで生き残っていたのだが、いよいよそのステーションにもガタが来て、あれから100年近く経ったし地球でなんとか暮らせないものかとお偉い方が考え、本来なら処分されてしまうところの若い罪人100人が試しに地上へ下ろされることとなり、お馴染みの酷い目に合いまくるストーリーなのだけど、とにかくシチュエーションの勝利というか、どいつもこいつも自分の気持ちを優先にするあまり噛み合わず、余計なことをして自滅し自己嫌悪に陥るというアメリカ脳が生み出す陶酔満載なのが凄いドラマだ(褒め言葉)。もう少しで上手く行くところで絶対ネガティブな力が働き、善人でありたいのに善人でいられない展開は非常に悪趣味。

心底悪人だと思える人間はほとんど居ないから、生き残る為、恐怖心を晴らす為、仲間の為にと殺し合いを演じる彼らに"もうちょっとやりようがあるのでは?"とモヤモヤしてしまう。宇宙ステーションでは限られた環境の中で啀み合い、地上へ降りれば降りたで異常発達した生き物に襲われ、原住民状態の部族と争い、シェルターで生き延びた連中にはモルモットにされそうにもなる主人公達だが、被害者が加害者に、加害者が被害者へと状況が動いて何処にも正義は存在しない。あるのはただ近しい人達と生き残りたいという一心だけで、そんな不毛なやり取りを延々21時間以上観ていたら流石にぐったりしてしまった.....

8A03A432-3DC3-479C-8868-D8761A2FD870.jpg





異なった環境で生き延びた人々それぞれにドラマがあるハンドレッド。シーズン3では、そこにAIまで絡んで来るようで先がとても気になる。回を追う毎に好きになって来たマーフィーというゴロツキと、宇宙ステーションの元議長でなかなか死亡フラグを受け容れないジャハの放浪の旅を個人的には1番楽しみにしているわけだが、既にレギュラー放送が終了しているシーズン3の視聴者数が僅かに減っているのが気にかかるし、地味にお金がかかっていそうだからファイナルシーズンまでちゃんと製作されるかどうかも気になる作品になりそうだ。





(´-`).。oOどうでも良いが"アレッサンドロ・フリアーニ"や"レカ・シャーマ"がゲスト出演しているせいか、妙にギャラクティカが観たくなって来るな......






続きを読む