秋刀魚に乗ってリックがやってくる季節がきた「ウォーキング・デッド シーズン9」FOX/感想

ネット配信で好きな番組を好きな時に見れるようになってきた時代に、僕はスカパーを止められない。


スカパーが始まった当初、兎に角番組数の多さに度肝を抜かれた。様々なジャンルに特化した専門チャンネルが多く、好きなものをどっぷり味わえた上、これまで興味が無かったものに触れるのにも良いサービスだった。既に”スカパーだから”見れるという感覚は無くなってしまったが、MotoGPが見れて、WRCが見れて、ついでにゲームセンターCXと”いいすぽ!”が見れる環境であるだけで、十分加入している価値はある。どうせ他の番組配信サービスに移ったところで、金銭的に安くなるわけでもないし。



毎年秋になると新シーズンが開幕する『ウォーキング・デッド』もスカパーを止めない理由の一つにはなっているかもしれない。ぶっちゃけ今年に入りスカパーで録画した海外ドラマは「HOMELAND」と「ウォーキング・デッド」だけである。Netflixなり、Amazonプライム・ビデオなりで最新エピソードが見れるようになったら、スカパーで海外ドラマを見るなんてことは一切無くなるかもしれない。アホみたいにスカパーで海外ドラマを録画していた時代が、酷く懐かしいものに思えてくる......

よくよく考えればウォーキング・デッドもシーズン1から数えて10年近く経っているわけで、そりゃリックも老けるしジュディスも言葉を喋るようになるはずだと独りで納得していた。ようやく血生臭い人間同士の殺し合いも収束し、やっと人間的な生活を取り戻せるかと思いきや、やはり新シーズンも人間の敵は人間のようで落ち着かない。そもそもゾンビ映画の生みの親であるロメロ監督作品の影響下にある本作は、当然のようにゾンビを人間の化けの皮を剥ぐツールとして利用しているだけで、一番の敵は己の心であることを大事にしている。人が人であろうとすればするほど争いは無くならないというわけなのだ。いっそ皆ゾンビになった方が地球は平和になることだろう。

今回は心の傷の深さに耐えかねたダリルとマギーが荒ぶることになりそうだし、既に退場が決まっているリックがどんな去り方をするのかも分からないから気が気ではない。早速一人ゾンビにやられ、もう一人は人間に始末された。死んで欲しくないけど死なないと不自然な人も数多くいる。もう新鮮さやリアリティなど一切ないが、ここまで来たら最後まで見届けたい気持ちでいっぱいだ。まるで幸せな風景など予測も出来ないけれど.....






(´-`).。oOゾンビの活動限界について、本気で分析してる人とかいそうでいないよね........人間を咀嚼したって臓器腐ってるんだからエネルギーに変換出来ないわけで、本当ならあんなに動けるわけないよね.........

流儀があるだけで”殺し屋”が夢の職業に見える「FARGO/ファーゴ シーズン1」FOX/Netflix/感想

FOX
Twitterのフォロワーの後押しもあって、また一つ海外ドラマを観だした。




前々から評判は知っていたものの、どうも七三分け状態の男が微妙なコートを着ている宣伝ビジュアルが引っかかりスルーしていたファーゴ。これが観だしたら続きが観たくなってたまらない代物だったから強制的にストップをかけた。

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うだつが上がらないだけで無害そうな男(右の帽子)が、見た目だけは無害そうな男(左のヒゲ)に焚きつけられ人生を狂わされる...というところから始まるのだけど、その焚きつける側の男が兎に角偏屈だけど間違っているようないないような口ぶりで論点をすり替えるのが実に上手い殺し屋で、普段は自分が悪いのだと言い聞かせて我慢しているような人間の野性を呼び覚まし、自制心を奪う様は悪魔そのもの。しかもその悪魔と来たら、最高に優しげな顔も出来るものだからタチが悪い...





アメリカのドラマは犯罪者に堕ちた者を主役にした作品が多く、幼い頃のトラウマにより人を殺さずにいられない警官が主役の「デクスター」や、余命わずかと告げられ少しでも家族に財産を残そうとドラッグ製造に手を染めた男の話「ブレイキング・バッド」など、あの国らしいバイオレンスな内容ばかりだ。しかし、そこで描かれるものは実に泥臭く普遍的なもので、人種や国が違ってもハマらずにいられない。

特にこういった趣向の作品は、日々の生活に押し潰されそうな男の心にはグサリと刺さる。目の前に居る、みっともない姿の犯罪者が、まるで他人に思えないのだ。「シャーロック」のワトソン役で一気に知名度が上がった気がするマーティン・フリーマン演じる腰抜け保険勧誘員の男も、散々身内や昔の苛めっ子に馬鹿にされた挙句の暴挙だったから、”お前が悪い”の一言で片付け切れなかった。そう言ってしまったら、安月給でも地道に頑張ってる自分を否定してしまうのと同じだからだ。

ぶっちゃけ出来るなら好き勝手にルールを押し付け、我が道をゆく殺し屋の男のようになりたいとさえ思った。このドラマを見た大勢が、同じように保険の勧誘マンを通して殺し屋の生き方に憧れを覚えていそうな気がする。



ただの狂人なのか?それともダークヒーロー足りえるのか?ほんの些細な出来心が、取り返しのつかない事態へと進展していく恐ろしいドラマだと思った。





殺し屋は、子供の夢にランクインしているのだろうか?......






たまにはイギリスのドラマも悪くない『THE INNOCENTS/イノセンツ』Netflix/海外ドラマ/感想

ウチの母は自分の思い通りに子供が動かないと直ぐに腹をたてる人で、身体が元気だった頃は結構酷かった。

食事以外の家事全般は当たり前にやらせるし、結構な大きさの納屋を建てるのまで父親抜きでヒステリックに手伝わせた。テストで良い点をとってもケチをつけ、食事に使う調味料の種類にまで文句を言われた。それでも自制心が働いているうちはマシなほうで、自家製の果実酒を飲み出したら姉弟共々名前を呼ばれないことを祈るしかなかった。


心身が衰えた今は、だいぶ穏やかになった。お陰で身に付いたこともあるし、子供3人の世話を母に任せ切りだった父がそうさせていた側面も少なからずあるから憎悪とかそういう感覚はない。

だから、このドラマのお父さんが過保護過ぎるのも分かるし、子供達が解放されたがっているのも痛いほど分かるつもりだ。



娘のためだと家族揃って田舎へと引っ越そうとする父親の元から、16歳の誕生日を迎えた少女は愛しい人と共に逃げ出す。ところが逃避行の途中で、父に家を追い出された母の代わりに迎えに来たという怪しげな二人組の男に遭遇し、もみ合いの末、相手の一人を殴り倒してしまう。殺してしまったのではないかと項垂れる駆け落ち相手の少年をモーテルへ残し、少女は男の生死を確かめにゆくのだが、そこで少女は自分の隠された能力に目覚めることになってしまう......




1話の冒頭で分かることだからさっさと言ってしまうが、少女に隠された能力とは誰かそっくりに変身出来る能力である。しかも変身している最中は相手が自分といるような感覚があり、しかも向こうは身動きが出来ない状態に陥るというからタチが悪い。変身いうと、それを悪用しようとする組織が登場するような派手な物を連想するかもしれないが、そこは欧州らしく在るものを活かした地味な絵作りで、少女が元の姿に戻る場面以外特殊撮影もほとんどなく、シンプルに人間ドラマをやっているから逆に新鮮さを感じてしまった。


能力者である少女と、それを知って戸惑う少年共に、父親との関係に問題を抱えており、父親が望む自分ではなく、自分が望む自分になりたかっただけなのに、思いがけない試練が待ち構えていた2人がどう成長していき、周囲(家族や能力者を護ろうとする人達)は彼らの決断から何を学び取っていくのかが見所になるのかもしれないが、実は度々変身の被害者になってしまう髭モジャの男が1番の見所だと断言しよう。


使命を果たそうと必死過ぎて、自分が傷つこうと誰かが傷つこうと御構い無しに少女を追う姿もヤバイが、少女が髭モジャに変身した際の見た目は汚いおっさん、でも中身は16歳の少女という怪演が兎に角面白い。Jóhannes Hauker Jóhannessonという人らしいが、個人的にはこういうおじさん応援したくてたまらない。

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鏡の中では元の姿のまま

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いきなりこんな姿になったら気が狂ってしまいそう....




Actor Jóhannes Haukur Jóhannesson, 90 sec showreel. from Jóhannes Haukur Jóhannesson on Vimeo.


Jóhannes Haukur (@johanneshaukur) | Twitter https://twitter.com/johanneshaukur




結局おじさんに注目してしまうという暴挙に出てしまったが、たまにこういう短い話数のイギリスドラマを見るのも悪くない。


ほんと地味で地味で地味ではあるのだけれど、街並みや自然の見せ方がほんとに綺麗で、ちゃんとお国柄を出せているのが良いと思う。


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こういう生活に憧れがないと言ったら嘘になる



まだ2話までしか見ていないけれど、オチには期待せずマッタリ楽しみたいシリーズになりそうだ。