”信用“を信用出来ない者達へ「ベター・コール・ソウル S4」AMC/感想

AMC
※ネタバレ感想






この世の中で生きていきうえで、もしかすると一番欠かせないものかもしれないのが『信用』という言葉。

どれだけ他人を疑わずにいられない人でも、ある程度他人を当てにするしかないし、他人に自分のことを当てにして貰えないと円滑に物事が進まない場合が多い。



僕は昔からあまり「信用」されない人間だった。

親になんでも後回しにしてしまうことを責められたり、先に悪口を言ってきた同級生を泣かせ先生に「あなたの方が大きいんだから」と、心の大きさを無視して怒られたりしているうちに、信用しない連中を信用しないという結論に達し、売り言葉に買い言葉状態の悪循環を糧にスクスクと今の自分に育っていった。

高校に入ってからは、だいぶ角が取れて周囲が望む者を装っていたものの、就職して会社や社会構造の無駄に散々付き合わされてからは何度となくブチ切れていた(家族に第二の反抗期が来たと言われるくらい)。こちらがいくら信用したくとも信用出来ない連中へ募る”上辺だけ取り繕っていれば満足なんだろう?”という気持ちが、プロ意識と狡い心を日々揺らし続けた。今も正直揺れ続けている。既に心は麻痺しかけているけれど....



弁護士資格を取り戻したいジミー

グスタボ相手にプロの仕事を見せたいマイク

二つの組織の板挟みにあうナチョ


三者三葉の葛藤が面白い本作だが、今回ほど『信用』という言葉を強く感じたシーズンは無かったような気がした。

張り合いのある兄を失い、自分の嘘に乗せられる連中に嫌気がさし、信用させたい相手を欺くことばかりに執着しだして、大事な女性の信用を失っていくジミーは泥沼過ぎて見てられなかった。

悪友とも言えるマイクとの距離にも切ないものがあったが、やっていることは麻薬業でもマイクの雇い主であるグスタボのきっちりした仕事っぷりと比べたらジミーのやっていることは ショボすぎて、そりゃ仕事を断られるだろうと思った。マイクの信用を裏切ってしまった眼鏡の男が処断されるシーンは暫く忘れられそうにない。


ボスを信用しきれず毒を盛ったナチョ。主要なキャラの中でも1番人情に弱そうな男の出番は終盤減っていったが、毒を盛ったことがバレないよう平静を装う姿には掛ける言葉も失ってしまう。向いてなくてもギャングしか居場所がない可哀想な男だ.....





信用すべき相手を信用しなかった者、いつまでも信用してもらえない者、信用してもらう気がない者、そんな『信用』に振り回される者達を見ていたら、つくづく心から人を信じる、信じさせるのは難しいことだなと思った。

信じて貰う必要などないと言い切れる強さがあれば良いのかもしれないが、それすら諸刃の剣に思えてならない。



次が最後のシーズンになるであろうベター・コール・ソウル。視聴者の期待を裏切るような幕引きはないだろう。

絶対の信用が出来るドラマの一つで間違いない。

秋刀魚に乗ってリックがやってくる季節がきた「ウォーキング・デッド シーズン9」FOX/感想

ネット配信で好きな番組を好きな時に見れるようになってきた時代に、僕はスカパーを止められない。


スカパーが始まった当初、兎に角番組数の多さに度肝を抜かれた。様々なジャンルに特化した専門チャンネルが多く、好きなものをどっぷり味わえた上、これまで興味が無かったものに触れるのにも良いサービスだった。既に”スカパーだから”見れるという感覚は無くなってしまったが、MotoGPが見れて、WRCが見れて、ついでにゲームセンターCXと”いいすぽ!”が見れる環境であるだけで、十分加入している価値はある。どうせ他の番組配信サービスに移ったところで、金銭的に安くなるわけでもないし。



毎年秋になると新シーズンが開幕する『ウォーキング・デッド』もスカパーを止めない理由の一つにはなっているかもしれない。ぶっちゃけ今年に入りスカパーで録画した海外ドラマは「HOMELAND」と「ウォーキング・デッド」だけである。Netflixなり、Amazonプライム・ビデオなりで最新エピソードが見れるようになったら、スカパーで海外ドラマを見るなんてことは一切無くなるかもしれない。アホみたいにスカパーで海外ドラマを録画していた時代が、酷く懐かしいものに思えてくる......

よくよく考えればウォーキング・デッドもシーズン1から数えて10年近く経っているわけで、そりゃリックも老けるしジュディスも言葉を喋るようになるはずだと独りで納得していた。ようやく血生臭い人間同士の殺し合いも収束し、やっと人間的な生活を取り戻せるかと思いきや、やはり新シーズンも人間の敵は人間のようで落ち着かない。そもそもゾンビ映画の生みの親であるロメロ監督作品の影響下にある本作は、当然のようにゾンビを人間の化けの皮を剥ぐツールとして利用しているだけで、一番の敵は己の心であることを大事にしている。人が人であろうとすればするほど争いは無くならないというわけなのだ。いっそ皆ゾンビになった方が地球は平和になることだろう。

今回は心の傷の深さに耐えかねたダリルとマギーが荒ぶることになりそうだし、既に退場が決まっているリックがどんな去り方をするのかも分からないから気が気ではない。早速一人ゾンビにやられ、もう一人は人間に始末された。死んで欲しくないけど死なないと不自然な人も数多くいる。もう新鮮さやリアリティなど一切ないが、ここまで来たら最後まで見届けたい気持ちでいっぱいだ。まるで幸せな風景など予測も出来ないけれど.....






(´-`).。oOゾンビの活動限界について、本気で分析してる人とかいそうでいないよね........人間を咀嚼したって臓器腐ってるんだからエネルギーに変換出来ないわけで、本当ならあんなに動けるわけないよね.........

流儀があるだけで”殺し屋”が夢の職業に見える「FARGO/ファーゴ シーズン1」FOX/Netflix/感想

FOX
Twitterのフォロワーの後押しもあって、また一つ海外ドラマを観だした。




前々から評判は知っていたものの、どうも七三分け状態の男が微妙なコートを着ている宣伝ビジュアルが引っかかりスルーしていたファーゴ。これが観だしたら続きが観たくなってたまらない代物だったから強制的にストップをかけた。

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うだつが上がらないだけで無害そうな男(右の帽子)が、見た目だけは無害そうな男(左のヒゲ)に焚きつけられ人生を狂わされる...というところから始まるのだけど、その焚きつける側の男が兎に角偏屈だけど間違っているようないないような口ぶりで論点をすり替えるのが実に上手い殺し屋で、普段は自分が悪いのだと言い聞かせて我慢しているような人間の野性を呼び覚まし、自制心を奪う様は悪魔そのもの。しかもその悪魔と来たら、最高に優しげな顔も出来るものだからタチが悪い...





アメリカのドラマは犯罪者に堕ちた者を主役にした作品が多く、幼い頃のトラウマにより人を殺さずにいられない警官が主役の「デクスター」や、余命わずかと告げられ少しでも家族に財産を残そうとドラッグ製造に手を染めた男の話「ブレイキング・バッド」など、あの国らしいバイオレンスな内容ばかりだ。しかし、そこで描かれるものは実に泥臭く普遍的なもので、人種や国が違ってもハマらずにいられない。

特にこういった趣向の作品は、日々の生活に押し潰されそうな男の心にはグサリと刺さる。目の前に居る、みっともない姿の犯罪者が、まるで他人に思えないのだ。「シャーロック」のワトソン役で一気に知名度が上がった気がするマーティン・フリーマン演じる腰抜け保険勧誘員の男も、散々身内や昔の苛めっ子に馬鹿にされた挙句の暴挙だったから、”お前が悪い”の一言で片付け切れなかった。そう言ってしまったら、安月給でも地道に頑張ってる自分を否定してしまうのと同じだからだ。

ぶっちゃけ出来るなら好き勝手にルールを押し付け、我が道をゆく殺し屋の男のようになりたいとさえ思った。このドラマを見た大勢が、同じように保険の勧誘マンを通して殺し屋の生き方に憧れを覚えていそうな気がする。



ただの狂人なのか?それともダークヒーロー足りえるのか?ほんの些細な出来心が、取り返しのつかない事態へと進展していく恐ろしいドラマだと思った。





殺し屋は、子供の夢にランクインしているのだろうか?......