主役を廻る争いの哀しい結末「MotoGP 2015 第17戦マレーシアGP」

あ、しまった。

MotoGPの再放送を録画し忘れた!

と思っていたら、珍しく3度目の放送があって小躍りしつつ予約しておいたマレーシアGPでしたが、あまりにショックな出来事が起きて一晩明けても憤りが収まりません....





今シーズンのMotoGPは、そろそろロードレースでのキャリアも終わりに近づいているバレンティーノ・ロッシが、去年同様の好調さを維持し、シーズン頭から良いレースをしていて古参ファンの一人としては大いに盛り上がっていたのですが、第16戦オーストラリア後にマルケスがロレンソを援護しているとロッシが非難し出して一気におかしな空気になり、今回の17戦では抜きつ抜かれつの見ている側からしたらハラハラしっ放しの面白いレースであったにも関わらず、いよいよマルケスの執拗なアタックに腹を立てたロッシがコーナーでマルケスをアウトへ追いやりわざと転倒を誘う真似をしてしまいました。

マルケスがロレンソを援護したしない、ロッシがマシンを蹴った蹴らない、その辺りはとりあえず置いておくとして、何故こんな事態に至ってしまったのか?が気になって仕方がない。

ロッシの言い分としては、後半戦に入り追い上げを見せているロレンソをなんとかしなければいけない場面で、今期のチャンプはもう無いであろうマルケスが空気を読まずにレースを掻き回すのは我慢出来なかったということでしたが、これも案外根の深い話で、第3戦で不可抗力とはいえマルケスをリタイアに追い込んでしまった負い目がロッシの心のどこかに残っていたから、マルケスのしつこいライディングに自責の念が追い立てられ有りもしないマルケスの悪意を夢想し被害妄想を膨らませてしまった可能性も否定出来ません。

遡れば二人に軋轢が生まれてしまったきっかけがいくつか思い浮かぶし、こればっかりはサーキットでギリギリのやり取りをしているライダー同士で無ければ確かなことはおいそれと言えないことでしょう。



結局、ロッシの紳士的では無い態度を問題にされ次戦は最後尾からのスタートとなり、実質ロッシの2015年シーズンは終わったと言っても過言ではありません。もしもロッシの言い分通りマルケスにも含むところがあって意図的に絡んでいたのだとしたら、まさに彼の思い通りに事が運んだと言えます。

僕が思うに、ロッシがあれだけマルケスを非難したのは、既に2年連続のチャンピオンを獲得した一人前のライダーとして認めているからだと思うのです。お前ほどのライダーなら俺にとって今1番大事なのは何か分かるだろう?と言いたいのでしょう。ロッシのやったことは残念でなりませんが、"死なば諸共"と言わんばかりにロッシの足を引っ張ったマルケスも褒められたものではありません。

モーターレースは操縦する者の技量やマシンの性能以上に、エゴの大きさが勝敗を分けます。だから今度のようなことがどうしても起きてしまうものです。後味が悪いしこんなことはそう何度も起きて欲しく無いけれど、チャンピオンを争う者ならこれくらいの負けん気が必要なのも確かだなと思いました。



こうした衝突を繰り返して世代交代は進んで行くのでしょうね。はたしてロッシは最終戦出場するのか?来期以降もMotoGPで走り続けるのか?

若手ばかりのサーキットに彼の居場所は無くなってしまったかもしれません.....









2015 MotoGPの前半戦が終わって思ふこと。

 あっちゅ〜間にMotoGPは折り返しを迎えたけれど、去年一昨年と違って実に今年は面白い。



 いよいよマシンが自分好みに仕上がりだしたのか、古巣での感を取り戻したロッシが力強い走りを見せたかと思えば、それに引っ張られるように目覚めたロレンソが本領を発揮。歯車が噛み合わず出遅れていたマルケスとHONDAも復活の兆しを見せるワンツーフィニッシュで前半戦を締めくくり、何から何まで良く出来たドラマを観てる気分になった。

 特に観てる側をどきどきさせたのは第3戦アルゼンチン。メンタルとマシンが高水準を保っている時のロッシらしいお行儀の悪いバトルで、まんまと自分のペースに持ち込み、お互い譲らない走りを続けた結果、接触してマルケスがリタイアに終わり、どちらのファンも二人の良好なライバル関係が壊れてしまうのでは無いか?と不安にさせられた。




 結局はお互いに攻めた結果だったとマルケスも表面上は納得しているようだった。無理にブロックラインを走ったロッシを悪く言う人もまあいるかもしれないが、マシンに絶対的な信頼を持てていないマルケスが無理をしたとも見れる。互いに余裕がある状況では無かったし、ロッシに経験と言う強みが無ければ逆の結果に終わっていた可能性だってある。あくまでも結果論なのだ。



 確かに気持ちの良い結末では無かった。けれどモーターレースの真の姿を垣間見れる素晴らしいレースだったとは思う。どれだけ小さい可能性でも勝利に近づけるならリスクを承知でチャレンジするのだレーサーの性であるし、それをこそ僕らは観たいのだ。お行儀良く走るだけなら教習所にでも行けば良い。こういった場面でちゃんとレースアクシデントであると裁定を下せるFIMはどこぞの金の亡者しか居ない協会とは違い話が分かるw




 さて、序盤良いところを見せていたので、ドゥカティがもっと絡んでくるかと思ったものの、結局HONDA対YAMAHAの構図になってしまったのはちょっぴり残念ではあるが、久しぶりのチャンピオン奪取を目指すロッシの道のりはスリリングな物になりそうで実に楽しみ。若きヒーローが圧倒的な強さで活躍するのも絵になるが、やはりヒーローにはピンチあった方が可愛げがあるし、そこに立ちはだかる存在だって強く無ければ面白くない。新旧入り混じって優勝を争うような構図になったら近年稀に見る盛り上がりをみせるかもしれない。

 ロッシファンとしてはマルケス大人しくしててくれよぉと、いう気持ちもあるが、ハラハラヒリヒリするようなレースが楽しめるのなら全然構わないからガツンと走って貰いたいものだ。



 まだ現役を続ける気満々のロッシではあるけれど、そろそろもう一度チャンピオン取って綺麗に引退なんていう道筋が頭をよぎっていたりもするのかもしれませんね( =3=)v コウハンタノシミジャ♡

これだからラリーは止められない「WRC第4戦 ラリー・アルゼンチン」

WRC
 何故自分はWRCが好きなのか?

 車同士が並んで走るわけでもなく、エンジン音がド派手と言うわけでもなく、スポンサーのステッカーはあちこち貼ってあるけれど、F1のように作り込まれた見た目とは違い外観も市販車となんら変わらない。

 にも関わらず何故好きなのか?


 その答えが第4戦アルゼンチンには集約されていたような気がしました。





 開始早々そこら中、石だらけなアルゼンチンの洗礼を受け、次々とトラブルに見舞われるドライバー達。昨年度から連勝を続けて来たセバスチャン・オジェさえ早々に戦線離脱を迎える。速くて上手い安定度抜群なドライバーでもどうにも出来ない事態である。

 優勝候補の本命が離脱後もイレギュラーなコース状況に悪戦苦闘する彼らの中で、たまたま運良く酷いトラブルに合わずに済んだ男クリス・ミークが首位を取る。同じマシンに乗る同僚オストベルグは体調不良。周囲のトラブルの多さに慎重になってしまったのか、ワーゲン唯一の星になっていたラトバラのペースはイマイチ上がらない。悪く言えば先が無い中年男が優勝するのに、これほどのお膳立てはなかなか無い状態でありました。

 ところがリタイヤ数が多いミーク相手だと、これだけの好条件でもヒヤヒヤ物。どんな些細なことが彼を地獄へと叩き落すフラグになってしまうか分からないから、各セクションでのインタビューシーンでさえ見ているこちらが緊張してくる(あと一本走れば終わりと言う場面で、彼はインタビューに無言で応え、これが初優勝の重みなのだと神妙な気分になりました。)



 35歳のクリス・ミークは、ラリーのキャリア自体は長いものの、正直華のあるドライバーではありません。自分が思っている以上に走りが好調だと、後半プレッシャーに負けてペースを崩しリタイアしてしまう「またか」を嫌と言うほど見て来ました。しかし自分のミスにトコトン落ち込んでいる彼の表情を見ていると、生き方が不器用な苦労人臭がして、なんだか放っておけないのであります。

 結局、自分以上に不甲斐ないライバル達を差し置いて優勝を決めたミーク。パワーステージでオジェがトップだったことを考えると、決してミーク本人の実力で手にしたポディウムの天辺ではありませんが、それは本人が重々承知していることであるし、彼は彼なりにベストを尽くした結果の優勝を喜んで良いのだと思いました。

 ミークがレースを終えた直後、涙を堪えながら「一番支えてくれた人はもういない」と自然に今は亡き恩人へ感謝をイタンビュアー相手に語っていたのも感慨深いものがありました。彼のおかげで久しぶりにコリン・マクレーの名が世界中に響いた気がします。もしかしたらミークは今年の運を使い果たし、二度と優勝することも無いかもしれない。きっとオジェとフォルクスワーゲンが持ち前の安定感で勝利を重ねて行くことだろうし。でも、時にはこんなドラマが生まれる日があっても良いじゃないか。

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 およそ日本の道路事情では理解出来ないような大自然の中をコースと呼び、アクセルペダルを床まで踏み込んで恐ろしい速度のまま突き進むWRカーの躍動感や、付き物である激しいクラッシュの数々も勿論見応えがあるわけだが、指標となるタイムも無いままベストを尽くすしか無いドライバー達の生生しい表情をSS終了直後に確認出来る点がWRCの一番の魅力かもしれない。コース上での抜き合いが観れるわけでも無いのに、これほどTVで見ていて面白いレースがあるだろうか?

 安定した環境下で順位を競うF1とは明らかに違い、ビジネス以上に人生や誇りを賭けて仲間と戦うラリー関係者の気持ちがモニターを飛び出して伝わって来るから、観客も深く彼らと関わっている気になれるのです。

 今回は富にイレギュラーが起き易いアルゼンチンでしたから、ラリーというのがいかに過酷で遣り甲斐も見甲斐もあるスポーツであるかが良く分かるレースでした。



※油断すると速攻でこれである



 レースも人生も、水平線の先に何があるかハッキリしているより、少々波風が立っている中船を出した方が燃えて来ると言う物です。どんなに楽でも平坦な道のりでは飽きてしまうもの。

 まあ、ある意味そんな飽き易い条件の中をモチベーション高く維持して進める人の方が凄いと言う見方も出来るやもしれませんがね(´Д` )