2015年04月04日

まだ生まれ出ぬ貴方の誕生日「銀河英雄伝説 第三章 内乱」河村隆一、間宮祥太朗(主演)

今から1552年後の4月4日に誕生する予定の紅茶好き(ブランデーはたっぷり)寝癖男子ヤン・ウェンリー。

いまだに地球単位での平和もままならないのに、いつか銀河を二分する戦争を終わらせる立役者として、彼のような人物が必要とされる時が来るのでしょうかね?




銀河英雄伝説は、尋常ならざる数の登場人物が有能さと愚かさを遺憾なく発揮して物語を盛り上げてくれる群像劇として本当に素晴らしかった。特に主役であるラインハルトとヤンの対照的な生き方には色々と考えさせられました。

甲斐性無しの名ばかり貴族である父のせいで姉を皇帝に奪われ、姉を取り戻す為に銀河帝国を打倒すると決めた最強のシスコン男ラインハルト。彼の野心の大きさや非凡さと反比例して幼な過ぎる心が悲劇を呼び込み、半身をもがれ自己嫌悪の海に沈んで行くのを見ているのは実に辛かったなぁ。そしてある意味、ラインハルトが頭角を現わしたことで、表舞台へと出ざるえなかったというのがヤン・ウェンリーでしたよね。




「軍隊というのは道具に過ぎない。それもない方がいい道具だ」

天才的な戦術家でありながら、自己否定の発言を繰り返す矛盾の塊なヤン・ウェンリー。歴史家を志望していた彼の意に反した才能に死ぬまで苦しめられることになる彼の理想に殉じた生き方は、社会の有り様に疑問を感じモヤモヤしていた学生時代の僕の心の隙間を埋めてくれたものです。

好き勝手に力でのし上がるラインハルトに対し、あくまでも文民統制を貫き通すヤン。君主制と民主主義の良いところ悪いところを代弁してくれている二人には多くを教えられました。骨太なSFであり、壮大な歴史絵巻であり、当然ヒューマンドラマとしても見応えたっぷりな銀英伝ですが、特にヤン提督の教えには大勢が感化されたに違いない。





今回せっかく彼の誕生日であると言うことで、舞台版の第三章 "内乱" を見たのですが、何度見ても河村隆一の成り切り具合が良いんですよね。熱心なファンであることを公言しているだけあって、自分の中でのヤン・ウェンリーが出来上がっている感じが伝わって来ます。河村隆一の名前を見ただけでアレルギー反応を見せている銀英伝ファンも、一度で良いから舞台版を見て頂きたい。納得のヤン・ウェンリーがそこに居ますw

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ただちょっと帝国側の人事が怪しかったですね。1章からキャストが入れ替わったラインハルトや、少し幼な過ぎるように思うキルヒアイス、そしてクールなイメージが壊れてビッテンフェルトかと思ったロイエンタール(内浦純一)もあれ?っと、ほんの少し思いました(アイゼナッハとアンネローゼさんは良かったなぁ....)

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「姉上はキルヒアイスを愛していらしたのですか?」という問いに見せた表情。舞台だから観客からほとんど見えないというのにこの演技っぷり。流石の貫禄を感じました”白羽ゆり”さん....





逆に同盟側は面白いようにハマってる役が多くて良かったです。シェーンコップ役の”岩永洋昭”、オリビエ・ポプラン役"中川晃教"、イワン・コーネフ役”中村誠治郎”の三人が良いタイミングで寸劇を見せてくれるのなんて最高に笑えました。

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まさかのシェーンコップがこの顔w
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中川ポプラン突っ込まれ方が可愛いw





帝国同盟合わせて原作並みに登場人物が入り乱れていたのも豪華でしたし、複雑化して来た舞台セットや宇宙艦隊のCGを映すなどの演出も含め、どんどん拘りが増している舞台版銀英伝。

ひとまず大規模な公演は4章で終わった(なにやら脚本が不評らしい4章)と聞いていたものの、6月に特別公演があると聞いて、まだまだ銀河英雄伝説は続いて行くのだなと思いました。原作は読むの面倒だし、OVAは話数が多過ぎて嫌だと言う人は、舞台で銀英伝の片鱗に触れるのも良いかもしれませんね。



それにしても内乱パートはどちらの陣営も辛い話でしたね....グリーンヒルさん.....キルヒアイス.......








舞台 銀河英雄伝説 http://www.gineiden.jp
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2015年01月15日

犬好きには悪い奴は居ないって、ばっちゃんが言ってた「銀河英雄伝説 外伝|オーベルシュタイン編」舞台

数多の英雄が煌びやかに瞬いては散っていった銀河英雄伝説。

その中でも、泣きに泣いて惜しんだのはヤン・ウェンリーの死に他ならないが、昨日1月14日が誕生日であったジークフリード・キルヒアイスの死も、それに負けない衝撃的な出来事でした。



銀河英雄伝説は兎に角登場人物が死ぬ。戦争や政争について描いているのだから当然ではあるが、ファンが思い入れを感じている主役級の人物まで次々と死んで逝くから衝撃が大きいのだ。僕の影響でアニメの銀英伝を観るようになった友人などは、あまりにも主要人物に人死にが出るため、こいつはどんな死に方をするのだろうか?と、悪趣味に楽しんでいるような節さえあった。

ただし、ただテコ入れで奇をてらい殺しているわけでは無かったと思います。それなりの背景があって死に辿り着いていた気がします。その死を認めたくない、認めない!とファンが感じるのも、作者である田中芳樹氏が、ちゃんとファンに惜しいと思って貰えるだけのキャラ作りに余念が無かった証拠と言うものでしょう。

キルヒアイスにしても、皇帝に姉を奪われることとなるラインハルトと出会い、彼と共に彼女を奪還すべく打倒皇帝を胸に刻んでラインハルトと深い友情を育んで行く過程を嫌と言うほど見せられたがために、二人の友情にヒビが入った途端に訪れた悲劇にファンは慄いたわけです...




そんなキルヒアイスの死に、深く関わっていたのがパウル・フォン・オーベルシュタインでした。

先天性の障害で両目が義眼と言う彼は、自分の遺伝子を劣悪とみなす現体制を打ち砕いてくれそうなラインハルトの陣営へ政争のプロとして自らを売り込み、登用後は遺憾無くその冷徹な手腕を敵味方関係無く発揮した。

しかし、冷徹であるがゆえに人の心を軽視したオーベルシュタインは、No.2不要論をラインハルトに実践させ、式典にて常にラインハルトの傍で銃の携行を許されていたキルヒアイスの特権的立場の剥奪を行い、結果キルヒアイスは暗殺者との揉み合いで命を落とすことになってしまった。

これがただ単に凶弾に倒れただけの話であれば、これほどキルヒアイスの死を惜しいと思わなかったことでしょう。オーベルシュタインの進言により貴族連中の凶行を完全には防ごうとしなかったラインハルトとキルヒアイスとの間にギクシャクした空気が生まれて間も無く起きたことだからこそ、その死が重くのしかかることとなったのです。





その後も大勢の命を天秤にかけてラインハルトを覇王へと誘っていったオーベルシュタイン。やることはえげつないが、時折人間らしさを見せるから実に魅力的な人物でありました。見知らぬ犬を、自分の飼い犬だと勘違いされた時も、実際にその犬を飼うようになる辺り、無愛想な男の愛らしさが垣間見えて良いエピソードだった。

足掛け4年10作品に及ぶ舞台版銀英伝で、オーベルシュタインを主人公にした完全オリジナルストーリーがあるのですが、オーベルシュタインが何故その犬を可愛がるようになったかを、彼と彼の腹違いの兄(オリジナル要素)との愛憎劇で語る内容でなかなか面白かった。

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兄と一緒の時だけ柔らかい笑顔を見せるオーベルシュタイン

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オーベルシュタイン家の裏稼業を引き受けている兄

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貴水博之は普通に絵になる男だ

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赤毛の坊やもちょびっと出演





少しオーベルシュタインのイメージと違うようなウェットさもあるけれど、それについても上手く補足出来ていて、秀逸な銀英伝の同人誌を読んでいるような感じを受けました。

相変わらず貴水博之さんのオーベルシュタインは味があるし、舞台版は原作のセリフのイメージをしっかり踏襲しているから大きな違和感が無いのも良い。

演出面でも、過去話に切り替わる時、オーベルシュタインの両親が肖像画から登場したり、犬を伴って歩き去るオーベルシュタインの後ろ姿をスクリーンに投影しフェードアウトさせたりと凝っていて上手かった。

少しでも気になったなら、どうかDVDをチェックして頂きたい。銀英伝ファンなら必ず楽しめると思います♪

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どうやら今年も新たな公演が行われるようだし、まだまだ銀河英雄伝説は伝説のまま終わる気配は無さそうで喜ばしい限りだ。
そろそろ海外に進出して、全話ドラマ化してもらいたいですw





最後に、おなじみのアフタートークでオーベルシュタインの名台詞「そうか、私の犬に見えるか」を田中芳樹氏に向けて口にする貴水の図( = 3 =)
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2014年01月26日

ナマモノ注意だ演劇だっ「羊人間012」/森本晃司/保坂萌/劇団ムシラセ/2013年/演劇/感想

 いつ何処に飛んでゆくか分らないような、掴みどころの無い創作が得意なクリエーターさんて、皆一応に世捨て人のような風貌をしている気がする。

 国民的アニメを次々産み出して来た”宮崎駿”さんだってそうだし、押井守さんや数年前に亡くなってしまった”今敏”さんなども独特の雰囲気を醸し出していたし、顔出ししない”高山文彦”さんなんて既に殿堂入りと言っても良いでしょう。

 何故に彼等はここまで僕ら普通の人間と住む世界が違ってしまったのか?

 単純に見えている物が違うのか?感じ方が敏感なのか?頭の出来が違い過ぎるのか?


 ただハッキリしているのは、彼等全員終わらない夢を追い続けているという事。

 理想の少女を追い求め。永遠にお祭り前夜を愛し。混沌の中にこそ真実を追い求め。何度となく感情が揺らぐ刹那を描き続ける。それがクリエーターではなかろうか。 

  

 ”森本晃司”さんも、そんな名立たる変人達と並ぶ、世捨て人(見た目)クリエーターであるが、初?の舞台作品がスカパーで放送になっていたのを観てみました。




 元の1人の人間から11人分裂してしまったという”分裂人間”達の物語で、あーでも無いこーでも無いと面白可笑しく騒ぎ立てる内容なんですが、実際に居るか居ないか知れない自分達のオリジナルの話をきっかけに分裂したままで良いと言う意見と、元の一つの生命に戻るべきだという意見が対立する展開になってゆきます。

 この辺りから終盤まではエヴァっぽいテーマを感じてしまうわけですが、全体としては何処にでも飛び火しそうなコミカルさが非常に刺激的で面白い作品となってまして、水に濡れると融けてしまうだとか、感情や五感が全員に伝染するだとか、分裂だけじゃなくて統合出来るとか、分裂人間達の特徴一つ一つで舞台全体が動いているのが伝わって来ます。

 これは森本さんの突飛な引き出しの多さが素晴らしいのもあるでしょうけど、それを実行してみせる役者達の稽古の賜物でもありますよね。役者達を翻弄する側でも、翻弄される側でも、演劇を一から作るのはさぞかし楽しいことなのでしょうなぁ。

 場面転換を多用し、分裂人間以外の人間の配置で時系列を惑わせるなど、いたずら好きのオジさん達が考える演出は本当に面白い。森本さんの新たな試みであるので、少々まとまりが悪いところはありますが、感性をそこら中に引きずり回される感覚がすこぶる心地良い内容でした。ちょっぴり切ない終わり方も良いし、”たむらぱん”の田村歩美による音楽もピッタリ(公式HPでサウンドがONだとテーマ曲が聴ける)。

 またこういう機会があれば、もう一度演劇を森本さんには創って欲しいですね。


 
 アニメ監督で有名になった人っていうのも、たまたまアニメでの創作を認められたというだけの話しで、必ずしもアニメじゃなきゃ駄目ってわけじゃないなって、つくづく思いました。

 得手不得手はあるけれど、アニメ畑だから浮かぶアイディアは絶対にあると思います。昔演劇部だったと語る森本さんのように、演劇界からアニメ演出に進出するのだって面白い。

 アニメ好きだからアニメ。演劇好きだから演劇。そんな凝り固まった考えではクリエイティブは絶対行き詰まります。


 今の御定まりなアニメ業界にも、新しいジャンルからの刺激を取り入れて欲しいなぁ....




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