2011年02月13日

なまえのないゆうじん

 今ほど今じゃ無い時代、彼の世界は小さなこの家の中にしか無かった。

 ぴこぴこぴかぴかした電子の世界なんて夢の話。彼の手で触れる事が出来るコトバだけが現実だった...

 そしてその現実から夢や愛を作り出した...



 町より外れた田畑が豊かな場所にポツンとたたずむ青い家。そこには両親と暮らす三姉弟がおりました。姉2人弟1人なので、弟君はいつも一人で遊んでいます。友達と遊ぶにしても、彼の家からは遠過ぎたからです。

 でも姉2人が遊んでいるのを見ていると淋しくなってしまいます...「ぼくもなかまにいれて」そう彼は御願いするのですが、「え〜、でも男の子が女の子の遊びは変だよ」と、仲間外れにする始末。しぶしぶ遊んでくれても、いつのまにか一人っきりにされてしまう....

 そんな時、彼がいつも話かけるのは、青い蝶ネクタイをした犬のぬいぐるみ。もの言わぬ彼の友人は、物心ついた時からずっと側にいてくれた掛け替えのない存在。ブロックで遊んでいる時でも、絵本に夢中の時でも、眠りにつき夢を見るときだって一緒。

 あるとき、そのぬいぐるみを姉達が耳を持って振り回した時なんて、泣きながら彼は「やめて!」と叫んだ...友人の痛みは自分の痛み、彼にとってそれほど犬の姿をした友人は大事だった...


 が、しかし、時が流れ沢山の人や物に魅せられていく彼は、いつのまにか幼い頃の友人を忘れてしまった。それどころか、彼は友人を捨ててしまう.....ホントにそれでいいの?


 更に時は流れ、彼も父親と呼ばれてもおかしくない年頃を迎えた。目にするもの全てが新鮮だった時代は終わり、彼は目に映る全てに新鮮さを感じなくなった....淋しさを分け合えた人間の友人達も、それぞれ事情を抱え彼の悩みに付き合う暇など無い...彼はまた一人きり......


 そんな生きる糧に飢えている彼の元に、また友人が戻ってきた。そう、あの寡黙な友人がだ。彼が捨ててしまった友人を、母親がいつか産まれるであろう子供達の子供の為にとっておいたのです。


 うれしそうに友人を抱きしめる姉の子供達。彼が一人きりにしてしまった友人は、もう一人きりじゃなくなりました。また愛してくれる友達が出来たから....


 そう言えば、彼はぬいぐるみの友人に名前はつけませんでした。不思議に思い聞いてみると、「彼は友人だから」それが彼の答えでした....

 青い蝶ネクタイの友人は、今もまだ彼にとってかけがえのない友人であり続けています........

 写真-224.JPG
タグ:ぬいぐるみ
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posted by lain at 15:04 | 北海道 ☁ | Comment(0) | 日記 昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年08月19日

しっぽを持つ友人の思い出...

 いつも僕らの近くで当たり前に暮らしている犬達。完全に人になつくわけでは無い猫と違って、犬は人のぬくもり無しでは生きていけないほどに、人と密接な関係を築いている。同じ様に人も犬がいなければ生きる事が困難な人さえいる事でしょう...

 twitterで、19年の長い時間を生きて来た愛犬が死んだ話を聴きました。最近ではオムツが必要なほどのおじいさんだったそうで、こんな日が来る事もうすうすは感じていたようですが、やはりその瞬間が訪れた時は涙が止まらなかったそうです。19年....そんな長い時間、”そこ”にいるのが当たり前だった”友人”がもういない。それはとてつもない喪失感を連れて来た事でしょう...

 僕も小さい頃は犬が近くにいる生活を2度ほどしていました。二度とも血統書付きのエリートではなく、近所に迷い込んで来た薄汚れた野良犬です。一度目の時は、僕が物心つく前に我が家の住人になったので、気づいたときから当たり前に彼はいました。彼は”コリー”の雑種、下手に吠えたりしない落ち着いた犬でした。姉達が大好きなお菓子の名前をとって”カール”と名付けたらしいのですが、後から思えばなんちゅうネーミングセンスww 子供だからこんなものですかねw
 そのカールは元々年齢が高かったせいか、僕らと出会ってから五、六年でこの世を去りました...ただあの時は不思議と納得してしまう僕がいたと思います。目が見えなくなったりし、元気が日に日に無くなっていくのを、目の当たりにしていたので、死が受け入れ易かったのでしょう...

 流石に一度彼等の死を経験したらもう犬は飼わない!そう皆が思っていました。が、しかし、今と違って野良犬の多い時代だったあの頃、田舎の一軒家にさえ迷い犬が餌を求めてやって来るのです。
 二度目の出会いはの親子でした。母と二匹の兄弟。早朝から窓の外で餌をねだる彼等...そうなると僕を含めた子供達が黙っていませんw3匹を飼って欲しいとだだをこね、仕舞いには名前さえつけだす始末w母親に”シロ”お兄ちゃんには”ジロ”おとうと君は”タロー” 
 しかし、3匹全部はウチの経済力では無理と言われしぶしぶ引き下がり、お兄ちゃんの方を我が家の家族に迎える事になりました。残された二匹は、知り合いに引き取って貰う事になったと僕らは言い聞かされていたのですが、何年か経った頃に、本当は遠くの場所へ置き去りにして来たのだと告白され、激怒した覚えがあります。 黙っている事が辛いのは分る!しかし、一度ついたウソは、最後まで自分の中にしまっておいた方が良い事もある...せめて、もっと大人になってから知りたかった。

 そんな経緯もあって、母親から引き離されてしまった彼...しばらくは、まったく餌に口を付けず、そんな彼の事を見ているのは本当に辛かった。年齢的にまだ2、3歳ぐらいだった彼には、親兄弟との別れは相当ショックだったのでしょうね。
 それでも時間が経つにつれて、僕らに気を許しだしたジロは、年齢相応に元気でやんちゃww犬小屋の周りに置いてある物は彼のカッコウのオモチャにされボロボロ...自分の小屋でさえ破壊しそうな勢いでしたw そんな元気いっぱいの彼を、子供が散歩に連れていくのですが、勢いを押さえられるわけもなく振り回され散歩用のロープを引きずったまま逃走〜〜〜〜3 探すのに時間がかかった事さえ今では笑い話ですねw
 
 家に帰ればいつもしっぽをふって元気いっぱいで迎えてくれた彼。そんな彼とは、別れが突然過ぎました。いつものように小学校から帰り、犬小屋に目を向ける僕.......あれ?いない!?不思議に思いながら家の中へ...すると母の書き置きがあり、内容をはっきりとは思い出せませんが、ジロの死について書かれていて、母がすでに埋葬してきたともありました... それを読んでからは涙が止まらなかった。カールの時とは違い突然だったので、”何故?”の思いが強過ぎ、どうせ死ぬならこうしてやれば良かった!何故もっと遊んでやらなかったんだ!と、自分を責めて泣き崩れる事しか僕には出来ませんでした........
 
 母が仕事から帰って来てから詳しい話を聞くと、 母がお昼に家へ戻った時、ジロが妙に静かな事に気付き目をやると、ジロ自身がボロボロにした小屋の屋根に首輪の鎖がからまり、首をつった状態で息絶えていたそうです。前前から、小屋を直して欲しいと父に頼んでいた事もあり、よりいっそう”ああしておけば”そんな想いが強くなり、ブログで当時を振り返っている今も涙が止まらないほどの特別な記憶として僕の中に留まっています。


 彼の眠る場所からは、僕らの家が良く見えているはず、僕らの気まぐれで親兄弟と引き離された結果、彼に死をもたらしてしまった事を、彼はどう思っているかな?本当はどう思っているかなんて分っていても、僕らに罪悪感はのしかかる...人間は本当に勝手なものだね。
 
 流石にあれ以来、生き物を飼うなんて言い出す人はいなくなった。でも本当はまだ、彼等に甘えたい僕がいる。本当に弱くて、だらしなくて、どうしようもなく感傷的な生き物だった事に気付かされるね..........
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posted by lain at 22:29 | 北海道 🌁 | Comment(0) | 日記 昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする