2017年03月22日

我が青春のOVA1987 #2「笑う標的」高橋留美子(原作)/高橋資祐(監督)/スタジオぴえろ

今年で30周年を迎えるOVAを振り返るシリーズ第2回は、幅広い世代に愛される稀有な漫画家”高橋留美子”さんの短編「笑う標的」。


主人公はちょっと弓道の腕に自信がある少年で彼女持ち。後輩の女の子にもちやほやされ、かなり羨ましい。

そんな彼には許嫁までいて、その子が身内を亡くしたことをきっかけに、主人公の家に身を寄せることになったからさぁ大変....


明るい路線の高橋留美子作品なら、ここから底抜けに馬鹿馬鹿しい付かず離れずのラブコメが展開するところなのだけど、古典ホラーの「笑う標的」はそうはならない。昔の約束を心の支えにして来た許嫁の少女が、主人公の今カノを亡き者にしようとするのである。

何をどうやって亡き者しようというのかは、とりあえず置いておくとして、本作の疎遠になっていた恐妻から愛人を守る的な構図と、恐妻が何故恐妻になってしまったのか?という過去描写のバランスが良いため、終わってみれば1時間に満たない尺でありつつも恐ろしいはずの恐妻がとても愛おしく感じてしまうことだけは伝えたい。彼女の生い立ちを考えると、本当に遣る瀬無い.....

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あまりにも子供の頃の話で許嫁にピンとこない少年と今カノ

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そこへ現れる色白の美人。まるで喪服のようなセーラー共々素晴らしい存在感

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そんな美人もこうなっちゃ台無しだ....



個人的にはかなり心に焼き付いている本作だが、ネット配信どころか実はDVDにもなっていないため、合法的に見る手段が非常に限られる(原作は直ぐ手に入る)VHS版はまだ手に入ると思うので興味が湧いたら見てみて欲しいものだ。

まあ、何度となく自作がアニメ化されて来た留美子先生である。マスターさえ残っていればいつかBD-BOXか何かで、他の不遇なアニメ化作品と共に発売されそうな気もする。

「人魚の森」もそうだけど、シリアス系の高橋留美子さんもやっぱり僕は大好きだ。





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2015年12月30日

大人にもガンダムを愛させて下さい「機動戦士ガンダム サンダーボルト 第1話」太田垣康男(原作)/松尾衡(監督)/サンライズ/感想

 好きなガンダムは?・・・・

 そう問い掛けられて全く答えられない人は、若い世代にそれほど居ないのでは無いかと思うほど、アニメファンに限らず一般的に受け入れられるようになったガンダムシリーズ。それぞれに一番しっくり来る作品があり、赦せない作品もあることだろう。


 僕にとって一番のガンダムとは初代ガンダム劇場版の3作目”めぐりあい宇宙”。おかげで”宇宙”と書いて”そら”と読ませる歌詞や文章を見掛けると、全てガンダムの影響だと勘ぐってしまうほど毒されている。兎に角アムロとシャアの因縁が大好きだから、当然Zや逆シャアも大好きだ。

 どれだけ後に作られたガンダムの方が戦闘シーンが綺麗でストーリーのまとまりが良かったとしても、富野監督だけの手腕では無く、安彦さんや大河原邦男さん達との仕事っぷりが上手く噛み合ったからこその奇跡とでも言うべき初代は永遠に特別なまま僕の胸に刻まれ続けることだろう。




 僕だけではなく大勢が愛して止まないであろう初代には外伝作品も非常に多い。

 最近なら、シャアこと”キャスバル・レム・ダイクン”とその妹である”アルテイシア”の過去話を安彦氏が新たに掘り下げた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」が映像化されたし、ジオンの工作員がガンダムの試作機との不毛な戦いに身を投じ、その一部始終を目撃してしまった少年がちょっぴり大人の階段を上る「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」や、ガンダムシリーズの中でも異色な主人公の一人であるシロー・アマダが理想と愛する女の為に命を張る「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」など、挙げればキリが無いほど様々な作り手が自分なりの一年戦争を描いて来た。

 そこに、太田垣康男さんも仲間入りしたわけである。





 サイド4”ムーア”があったと言うサンダーボルト宙域で、二人のエースパイロットが出会い、一年戦争後も長きに渡り因縁が続いて行くというストーリーなのだけど、もう隅から隅まで太田垣康男さんの持ち味であるSFな脚色が行き届いた、今までに観た事が無いガンダムになっていて、原作コミックを初めて読んだ時は本当に痺れたものだった。何より思春期の子供ではなく、人を殺すと言う事がどういうことなのかをちゃんと理解している大人の軍人を主役に据えているのが素晴らしい。”ニュータイプ”と言う言葉を使えば、便利に何歳でも許されてしまうというのは、やはり大人の目からするとリアリティに欠けるのである。

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タイトルコールのバックを彩る美術だけでも飯がお代わり出来る


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見るからに問題児なイオ・フレミング

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艦長と言う重圧に押し潰されそうなクローディア・ペール

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イオと最悪の出会いを果たす両足義足のもう一人の主役”ダリル・ローレンツ”

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ダリルに亡き恋人の仇を討ちを願う”カーラ・ミッチャム”教授


戦争に正義も悪も有りはしないことを痛いほど代弁してくれる4人である




 MSのデザインにしても、宇宙で運用する為にはこういう物が本当は必要だろうと言う細かな設定の付加が行われていて、特に特徴的だったのが様々な作業をこなす補助アームである。宇宙空間、特に戦闘宙域には当然デブリも多数あるはずで、それらを防ぎつつ戦闘をせねばならないと考えた時、両手に武器を持ったままデブリ対策は取れないわけで、じゃあデブリや敵の弾を防ぐ為に複数の盾を通常の腕とは別に取り付けたアームで操作すべきだろうと太田垣さんは考えたのだ。アニメ版の1話冒頭でも、スナイピングの姿勢時にカメラの視界へと入り込んだデブリを補助アームで取り除くシーンがあって、ついおおっ!と思ってしまったものである。

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 原作とほぼ同じではあるけれど、アニメとして分かり易くする為、セリフや場面構成がかなり弄られており、原作と比べるとスッキリシェイプアップされた印象を受けた(もしかするとこの辺りは賛否あるかもしれない)。元々ガンダムが悪役っぽく扱われているのもあるけれど、アニメ版の方がガンダムのパイロットである”イオ・フレミング”の性格が凶悪そうに描かれていてドキっとさせられる。知れば知るほどそこまで悪い奴では無いことが分かって来るイオだから、彼の二面性を出す為にもこれくらい派手に悪ぶらせた方が面白いかもしれない。

 作画にしても流石はガンダムUCを作ったサンライズの第一スタジオだけあって良く動く(MSが飛び回るシーンはなんと手描きだそうだ)。これまた太田垣ガンダムの特徴である主役二人がコックピットで聴いている音楽(特にイオが好きなジャズ)に乗せ、宇宙空間を自在に飛び回るMSの姿は圧巻だ。この先腐るほど、MSに生身で乗ることがいかに大変か伝わるシーンがあるし、サンダーボルト独特のギミックの数々が動くのが待ち遠しい。





 配信が開始しているアニメ版第1話は20分無いくらいの尺ではあるものの、『一年戦争に挑んだ者たち〜ドキュメンタリー オブ サンダーボルト〜』と題し太田垣康男さんの仕事現場を押さえた特典もあって充実していた。普通に有料配信で観るもよし、原作コミックの新刊第7巻の限定版に付属したコードを使用して鑑賞(限定版ではドキュメンタリーの半分ほどしか観れない模様)するのも良いだろう。レンタルで250円、何度でも観れるセル購入(こちらならドキュメンタリーもフルで観れる)も500円と言うから割安でもあります。


 これまで何度も大人向けを謳ったガンダムはあったけれど、本当に今度こそ大人が愛せる宇宙世紀であると僕は思う。

 『MOONLIGHT MILE』ファンも、今しばらくサンダーボルトにお付合い願いたい。

 紛れも無いガンダムで、紛れも無く太田垣康男漫画の真髄を楽しめる作品だと思うので。






 公式サイト http://gundam-tb.net/index.html

 機動戦士ガンダム サンダーボルト 外伝 http://www.ebigcomic4.jp/title/?title=340051 

 【インタビュー】大人が読んで共感できるガンダムが作りたかった 『機動戦士ガンダム サンダーボルト』太田垣康男【前編】 http://konomanga.jp/interview/4281-2 







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2012年04月06日

機械仕掛けの少女の名は...「KEY THE METAL IDOL」/佐藤博暉(監督)/スタジオぴえろ/1994年/アニメ/OVA/感想

貴島サリオついでに、今日は『KEY THE METAL IDOL』の想い出なんぞ書こうかと思います….



『山間の村・猯尾谷(まみおだに)。そこに住む17歳の少女・巳真兎季子は、自身を祖父の武羅尾に作られたロボット「キィ」だと信じていた。武羅尾はある日兎季子に「友を集めなさい」と言い残して、唐突な事故死を遂げる。本当にキィを思ってくれる友人を3万人集めれば、キィは人間に生まれ変われる、と。
祖父の遺言を実行するべく東京に向かったキィは、偶然に幼友達の厨川さくらと再会。更に、稀代のトップシンガー・鬱瀬美浦のライブ映像を見たキィは、3万人の友達を集める為にアイドルになる事を決意し、行動を起こしていく。
しかし、そんなキィの周囲で奇妙な事件が多発するようになる。夜の街を徘徊するロボット、PCスピーカーから聞こえる謎の歌、突如勃発する若木とDの死闘…。事件の裏にいるのは、巨大軍事企業を率いる蛙杖仁策であった。果たしてキィは、3万人の友達を集める事が出来るのか? そしてキィは本当にロボットなのであろうか?』
by wiki



KEYがOVAで展開を始めた頃は、やはり貴島サリオを知ったのと同じく僕は高校生。お小遣いもほとんど無いのに、毎日のように学校帰り本屋やレコード店やオモチャ屋を覗いていた。

そんな行きつけの本屋の階段付近に張られていたのがKEYのポスターだった。胎児のように丸まって物々しい装置の中で横たわる少女の裸体が印象的で、一体どんなアニメなんだろうかと、空想ばかりが先行していたものです。

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いざ蓋を開ければ、自らを機械だと言う片言の少女は出て来るわ、怪し気な企業のお偉いさんは人形フェチ変態だわ、イケメンで軽くマッチョなクセにアイドルオタクな奴まで出て来て、他にもわんさかワケ分らん人々が登場し、どうまとまるのかまったく分らない展開に思わず観続けていました。

しかし、主人公の”KEY”に課せられた運命に絡み合うストーリー展開や企業の暗躍っぷりはともかく、三万人の想いがなんちゃらで人間になれるとか、その為にアイドルになるとかならないとか、そういう設定なんかわどうにもピンと来ない面もちらほらw

アンドロイドとかサイボーグとか、人型ロボが丁度流行してた時期でもありましたし、アイドルとサイバーパンクっぽさを融合したかったのかもしれませんが、なんぞ想いの力がどうのこうのになってゆく終盤は展開が怪しくなり、ムサい男ばかりが独り言みたいに喋ってばかりになるのも微妙でした....

ビジュアルイメージは非常に優れていた分、僕のように本編の内容には若干首を傾げた人も少なくないでしょう。CDやビデオのジャケットや、ゼロGルームが担当したOPは凄く良かったですからね♪


今日も貼っちゃおw


あの書店で見かけたポスターに感じた僕の直感的なイメージと乖離したストーリー展開だったKEY。多々見られた悪趣味な表現方法と合わせて、当時仲間内でもかなり賛否が別れていました。今の若い世代が観たらどう感じるのか興味ありますねw

観る者それぞれに複雑な想いを遺すであろう、想い出深いアニメです(白眼
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posted by lain at 21:16 | 北海道 ☔ | Comment(1) | アニメ OVA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする