2016年02月27日

旅は道連れ、世は情けねぇ「世界収束二一一六」amazarashi/感想

毎度のことながら、amazarashiの曲は一筋縄でいかない。聴いている場所・時間・精神、様々な要素で表情を変える。ライブ先行で聴いた時微妙に思えた曲も、改めてCDで聴くとまるで違うものに聴こえて来る。
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アーティストとファンの相互補完により真の完成をみると言っても過言では無い彼らの楽曲は、”楽しい”という気持ちには一切させてくれない。常にこちらの負の感情に働きかけて来るからだ。

おかげでウチに秘めた哀しみや怒りをバネにして生きる意地が湧いて来る。元々怒りは僕のエネルギー源。あまり精神衛生に良い発奮の仕方では無いが、空っぽの僕が前に進むには強い気持ちがどうしても必要だった。中年になった今なら、愛する人や守るべき物が無いのに何故戦えるのか?と問われたアムロの辛さが痛いほど分かる....



話は脱線したが、今回の「世界収束二一一六」でamazarashiはまた姿を変えたように感じた。一つの物語を感じさせる楽曲が更に減り、より断片的なメッセージの生臭さが増して語呂も少し悪くなるくらいだった。あくまでもぼんやりとした印象に過ぎないけれど、どうも満たされつつある自分を無理矢理奮い立たさせようとした反動が楽曲の不協和音に繋がっているように思えてしまうのだ。

売れれば売れるほど、自分達が歌って来た世界から離れて行ってしまう現状を前に、認知して貰える喜びとストイックな気持ちが失われてしまう恐怖が入り混じり、作中にある「分岐」と言う楽曲さながらの場所まで彼らは来てしまったのではなかろうか?そう考え出すと、自分と想いを分かち合ってくれる人々を大事にしたい気持ちを乗せた「エンディングテーマ」も複雑な心境で聴いてしまった。今までのamazarashiを知っていればこそ、”温く”感じたのだ。とても素直な感謝の言葉過ぎて、感動を通り越して唖然とした。良い曲だとは思う。ライブではお世話になった人々の名前をスタッフロールのように流していて演出も面白かった。けれど温いものは温い。

だが、そんな変化一つ一つが興味深いからamazarashiのファンはやめられない。この先どんな風に変化して行こうとも、僕は聴き続けることだろう。もしかしなくとも、ちょっと意地の悪い楽しみ方かもしれないけれど....






物語性が減ったとは書いたけれど、その分ブックレットの「花は誰かの死体に咲く」がとても良かった。実際の話なのかどうか分からないけれど、ストンと心に落ちて来て、ほんのり優しい気持ちにさせてくれる作品だった。出来れば、この感覚を楽曲で味あわせて欲しかったが、他にも「タクシードライバー」「吐きそうだ」などがあるから充分魅力的な1枚ではある。また違う気分の時にガッツリ聴きたいものだ。

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タグ:amazarashi
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posted by lain at 07:22 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 音楽 国内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年12月25日

歌と小田和正を愛するすべての人へ「クリスマスの約束 2015」小田和正/TBS

 今年で15年目と聞いて、もうそんなに経つかと思いながら、今年も生ではなく録画で小田サンタをしみじみ味わっていたクリスマス。確かに終わってみれば小田さんの憔悴した様子が見て取れる、紛れも無い15年の月日を感じさせるステージでした。

 懐かしの洋楽が多かったり、小田さん所縁のアーティストの歌が多く、それはそれで往年の音楽好きには懐かしくて心地良い調べだろうし、若い人達は新たな発見の場になるやもしれないけれど、まるで最後に何か遺して行こうとしてるみたいに思えて来て切なくなってしまうのです。

 去年は自身のツアーなどもあって、十分な準備が出来ず総集編中心の番組構成になり、不満や小田さんの身体を心配する声も少なくなったが、実際齢68歳のアーティストが心身共にモチベーションを保つのは難しいことなのかもしれない。今年のクリスマスの約束でも、ステージに漕ぎ着ける苦労を吐露していたし、手を抜けない性格が更にアーティストとしての苦悩を深めさせていたことでしょう。


1.TODAY(The New Christy Minstrels)/全メンバー



2.なごり雪(かぐや姫)/小田和正



3.366日(HY)/小田和正/仲宗根泉(HY



4.Heal The WorldMichael Jackson

小田和正/和田唱(TRICERATOPS




5.The Girl Is MineMichael JacksonPaul McCartney

小田和正/和田唱



6.Old FriendsSimon & Garfunkel

小田和正/和田唱



7.The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) Simon & Garfunkel

小田和正/和田唱



8.恋するフォーチュンクッキー(AKB48)

小田和正/和田唱



9.よりそって二人(Hi-Fi Set

小田和正/和田唱/松たか子



10.Cruel War(Peter, Paul and Mary

小田和正/和田唱/JUJU



11.Hello,Goodbye(The Beatles)

小田和正/根本要(STARDUST REVUE)/スキマスイッチ/水野良樹(いきものがかり)



12.帰れない二人(井上陽水)

小田和正/根本要(STARDUST REVUE)/スキマスイッチ/水野良樹(いきものがかり)



13.トワイライト・アヴェニュー(STARDUST REVUE)

小田和正/根本要(STARDUST REVUE)/スキマスイッチ/水野良樹(いきものがかり)



14.How Deep Is Your Love(Bee Gees)

全メンバー



15.きっと同じ(オフコース)

小田和正


16.same moon(小田和正)

全メンバー









 「もうやれることはやってきたな」

 小田さんはそう口にしていた。僕もそう思う。ここらで小田さんを解放してあげるのも、ファンの在り方として正しい気がしてきた。

 でも、ぐいぐい引っ張る和田唱に触発される小田さんや、恋するフォーチュンクッキーを歌い切り、頭を掻きながら照れている小田さんを見ていたら、また来年もやってくれないかなと、欲が出て来てしまうから困ったものである。


 教会でクリスマスを過ごすのが当たり前のクリスチャンでは無いが、毎年クリスマスの夜に特別な予定が無い僕にとって、小田さんとクリスマスの約束は掛け替えの無い存在になっているのかもしれない。

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posted by lain at 22:00 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 音楽 国内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年11月17日

たけのこの里派ですが何か?「猫とアレルギー」きのこ帝国/感想

メジャーデビューアルバム


そう聞いて「まだだったのか」と意外に感じてしまった。

元々インディーズの時点で完成度が高かったし、存在感も素晴らしかったバンドでした。それは今回のアルバムでも変わらない。

でも、永遠に変わらない物など無いし、変わらないだけでは面白くはない。「猫とアレルギー」はそういった側面を大いに体現して見せた作品だったかもしれない。





 きのこ帝国を聴いていると、まるで"森田童子"が歌っていた時代の日本に帰ったかのような錯覚を覚える瞬間がある。陰鬱で虚構に満ちた世界をひたひたと歩く寂しげな歌声に、このまま身を任せたくなるのだ。

ところが今回のアルバムでは、そんな彼女等の世界が氷解し始めているように感じてしまう。「フェイクワールドワンダーランド」で絶妙な均衡具合だった陰と陽が、猫とアレルギーでかなり陽寄りになり、優しく、暖かく、柔らかな歌ばかりなのだ。

 無論歌詞にはまだ愁いが漂っているし、これまでのきのこ帝国を存分に味わえる楽曲も幾つかある。だが”You outside my window”で「阿呆くせえ」と尖っていたきのこ帝国は何処かへ行ってしまったようだ。


 これまでの流れに心底惚れていた人には若干肩透かし。ここから好きになった人にはど真ん中。アーティストにとって良いことなのか、悪いことなのか難しい話ではあるけれど、発展途上だからこその魅力と言うのも確かにあるし、それにCD音源よりライブの方が映える気もするのだ。予定が合わず諦めた対バンツアーでこそ本当の意味での真価が分かるアルバムなのかもしれない。


 




 なんだかんだと言っても、相反する想いが錯綜しているようなタイトルそのままに、諦めと憧れが綯い交ぜになった良いアルバムでした。

メジャーデビューしたからと言って、硬くなったり義務感に囚われず、形は変われど"らしい"楽曲と共に成熟して行って欲しいですね。







 きのこ帝国 OFFICIAL WEBSITE





タグ:きのこ帝国
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posted by lain at 07:21 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 音楽 国内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする