自分は残念ながら燃えない人だった話「プロメア」今石洋之(監督)/中島かずき(脚本)/TRIGGER(制作)/感想

去年の6月頃、ツイッターではプロメアの話題で持ち切りだった。





作画がすげぇ!キャラに萌える!音楽も刺さるぞ!



誰の呟きを見ても絶賛の嵐で、予告しか知らない自分は火消しの何がそんなに熱い話なのだろうか?と思ったものである。高評価の異常な多さは逆に見る気を失うほどであった。

で、1年以上経ってようやくアマプラで見る機会を得て、その評価が相応しい作品なのか自分の目で確かめたわけだが、確かに絶賛されていた部分は本当に素晴らしいことが冒頭で直ぐ実感出来た。ベラボーな躍動感のアクションシーンは日本随一だなと思ったし、それを支える澤野弘之さんの音楽のキレたるや、よくぞここまでブレない作家性を毎回出せるものだと唸ってしまった。キャラにしてもライバル的な登場から共闘する者同士になっていくガロとリオの関係が腐れ心を非常に擽る。そりゃあカプ萌えしてる人が大勢居たわけである。正直女性キャラが邪魔に思えるほどだった。

ただ120分と云う長いようで短い尺の中で手広くキャラを並べるのは愚作に感じた。トリガーらしくどのキャラも個性的であるのに、登場する必然性を感じないキャラも数人いた。見せ場を用意しているならキャラの背景をしっかりやらなきゃストーリーもキャラも活きて来ないのだ。もっと焦点を絞り、野郎同士の譲れない物をぶつけ合う展開だけで良かったのではなかろうか?王道展開であればあるほど、サクッと終わらせて欲しかった。90分に纏めるだけでだいぶ違う映画になっているかもしれない。






あまりにも無我夢中と掛け離れた視聴になってしまい、余計なことを沢山考えてしまった。プロメアが初めてのアニメ映画視聴の人であったり、他のじっくり見せる演出や脚本が秀逸な作品を観たことがない人であれば当然ハマって然るべきだと思うものの、トリガーほどの会社になるとこれくらいのパッケージングでは満足出来ない自分がいる。炎炎ノ消防隊のような人体発火ネタの世界観が合わなかった(炎炎ノの方は暗い話で大好き)のもあるし、良いセリフ言わせようとするのが見え見えの脚本は鼻についた。作画も展開も壮大なことになって行くのに、やっていることはミニマムに感じる中島かずきさんの脚本。BNAの方がよほど良かったような気がしてならない。良い加減”偉い人”が黒幕設定は飽きて来たのもあるなと独り言ちていた。







一度ハマった状況を求めてしまうことは、ままあることではある。でも同じようにやってみても最初の感覚は絶対に訪れないものだ。いつまでもグレンラガン、キルラキルを例に上げて期待されるトリガーは正直可哀想ですらある。プロメアに関してはキャスト選びでの挑戦(実写畑からの選択は集客の面も関係していそうではあるが、意外と良いアクセントになっていた)簡単そうに見えて実は難しい技術を結集した作画の数々で挑戦する姿勢を忘れていないところも感じたが、もう一つや二つ壁を打ち抜いてくれないと満足出来ないほど、彼らは自分でハードルを上げてしまった。近年の仕事を眺めてみるとトリガー縁のスタッフだけでやっている仕事ではない方(ダーリン・イン・ザ・フランキスやSSSS.GRIDMAN)がストーリーを楽しめていた事実は覆せない。

演出論は良いのに、それを纏める方法や作画スタッフが揃わない巨匠監督や、絵を描く技術は凄いのに行き当たりばったりなストーリーしか浮かばない監督も業界には多い。規模の大きい作品を作ると云うのは本当に難しいことなのだ。



でも、完全な物が作れないからこそ、次があるのだから悩ましい話である。







posted by lain at 18:00北海道 ☔アニメ

アニメ会社が潰れた日

よく声優さんが亡くなってから、あの役もこの役もこの人が演っていたのか....と気づくことがあるけれど、アニメの制作会社でも同じことが起きるものなんだなと、株式会社コモンセンス解散に思った。




正直コモンセンスの制作組織である”アームス”の名前は頭の片隅にすら残っていなかった。いつものように後になってからWikipediaを眺め、ようやっと彼らの仕事が身近に山ほど転がっていたことを知ったのである。

たとえば高校生の頃大変お世話になったのは、アームスが初期にメインのお仕事としていた18禁漫画&ゲーム原作のOVAタイトルの数々で、他の淫獣シリーズはそれほどハマらなかったのにくノ一があられもない姿を晒す「淫獣学園 La☆BlueGirl」は何度も見直してしまったし、館物エロゲーであった「河原崎家の一族」などは媒体を予約購入するほど、ゲーム共々どハマりしていた。我ながら下半身が元気であったのだ.....

何度か見ていたはずの梅津泰臣さんの「MEZZO」も、調べるまで彼らの仕事だとは知らずにおり、岡本倫氏の作品の映像化や、ウイルスにより精神的高揚(要するに欲情)をすると身体が武器化してしまう百合エロ「VALKYRIE DRIVE -MERMAID」もしょーもない男にはご馳走であったが、まるで制作会社の名前は覚えていなかった。流石にここまで記憶にないのは不思議である。






結局のところ、他の会社と比べアームスの仕事はどう違ったのか?と云う答えを持ち合わせていないから、名前を記憶に留めておけなかったのはあるだろう。一騎当千など根強い人気作も抱えていた会社だったが、エロだけでは長持ちしないものらしい。潰れるときはあっさり逝ってしまうものである。

2019年の段階で、日本には250社以上のアニメ制作会社が存在し、そのほとんどが2000年以降に出来たものだそうだ。海外に人材が流出している中でも、それだけの会社が乱立しているのは驚きではあるものの、会社の解散や廃業も少なく無い状況らしく、相変わらず日本のアニメ業界が不安定であると云うことの証明みたいな出来事だった。




こう言ってはなんだが、アームスレベルの会社が倒れる程度で済んでいるうちはマシなのだろう。そのうちもっと「まじかよ...」と言いたくなる解散、倒産騒動が起きそうな予感がして仕方ない。

兎に角会社を整理するにしても、版権問題は綺麗にしていって欲しいものだ。この配信全盛になりつつある世の中で、版権問題がクリアにならないからVHSやLDでしか見ることが叶わない作品が生まれてしまうのは非常に忍びない........


posted by lain at 22:59北海道 ☔アニメ

不満と不満が溢れそうな夏アニメ

コロナが流行る前から、今年の夏は暑くなると言われていたが、まさかここまでとは思っていなかった。各地大雨に見舞われている中、我が旭川では去年同様7月は全然雨が降らず、会社の敷地も渇き切り、ちょっとしたことで埃が舞って不快極まりない状況である。

そうは言っても北国はお盆までが勝負。終わってみれば、この暑さもあっという間に感じるに違いない。これから夏本番と言う南の皆様には同情を禁じ得ない。このまま温暖化が進んで行ったとして、僕らは何処まで耐えていけるのだろうか?....




そんな暑い夏が運んで来た新作のアニメ達だが、個人的には不作としか言いようがなかった。Netflixで公開済みの作品の地上波放送であったり、コロナの影響で延期していた春アニメが沢山スライドして来たせいもあるが、それ以上に題材や質の面で納得の行く作品が少なく感じたのである。

たとえば「宇崎ちゃんは遊びたい!」は、”ぼっち”な先輩を見かねて後輩女子がお節介にもウザ絡みすると云うのが正にウザく感じて先を見る気にならないし、なによりロリ巨乳のリアリティを全く感じない作画が好みではなかった。「旗揚!けものみち」の三浦和也監督なので、続けて見ていれば何かしらの面白みは得られるかもしれないが、そこまでして観たい作品では無さそうだ。

同じように題材が嫌いと云う点で「彼女、お借りします」は駄目だった。あっという間に彼女に振られた大学生の男が、親から預かった大事な金でレンタル彼女に手を出し、その後ひょんなことから”その”彼女と再会して距離が縮まっていく、みたいな話なのだが、誰かの彼女のフリをして金を手にしようとする女と、金で彼女代わりを手にしようとした男の選択がある限り、それを純愛に変換していこうとする展開には嫌悪しか湧かなかった。その昔、赤石路代さんの漫画で「P.A.(プライベート・アクトレス)」と云う作品があって、主人公が依頼人の望む役柄を演じる仕事をしていたりしたが、その仕事っぷりはプロフェッショナルに徹していて、本作のような不純な動機をまるで感じないものだった。世代の差なのか、単純な好みの問題なのか分からないが、兎に角僕は「彼女、お借りします」を好きになれそうにない。




今回は”好き”な物ではなく、”嫌いな”物をあえて書いているが、質の面でアホかと思った物の話もしておこう。ずばり名指しになるが「異常生物見聞録」と「GIBIATE(ジビエート) the Animation」は非常に残念でならなかった。前者に関しては何がどう駄目なのかを口にすることすら嫌気が差すほど駄作で、後者は在り来たりな荒廃した日本に侍と忍者をぶち込んだSF作なので、見ようによっては、そこそこ楽しめるかもしれないものの、元々のキャラ原案である天野喜孝要素をまるで感じないことが鼻について見る気が失せてしまった。これではただの客寄せパンダである。結局天野喜孝氏の絵が自在に動くアニメーションなど、この先も見ることは叶わないのだろう。押井守氏の「天使のたまご」が如何に凄いかを痛感する一幕だった。






今期のアニメに満足している人達の中には、おそらくエロアニメの豊富さでホクホク顔になっている人がいることだろう。それぞれ出来不出来はあるが、人々からエロスを奪おうとする怪人キセイ蟲達と戦う高校生ヒーローがエロ可愛い「ド級編隊エグゼロス』や、地上最強の男になった主人公が、その子種を狙われると云う「ピーター・グリルと賢者の時間」、少々エロスのベクトルはマニアックだが前記の2作より、ちゃんとヒロイン達の特性を活かした作品作りをやっている「モンスター娘のお医者さん」など、ジャンルも被らない幅広さがある。個人的にはどの作品も最後まで見るかは怪しいが、ケンタウロスの娘に蹄鉄を打つシーンが案外まともな手順で作画されていたモンスター娘のお医者さんは、もしかすると最後まで見るかもしれない。






最後まで見るか迷っている作品は他にもあって、魔法学校入学早々問題児だらけの班に放り込まれた少女の歌と魔法の青春ストーリーらしい「Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)~この世界のアイドルは魔法が使える~」や、転生した魔王が自分の地位と名誉を大雑把に取り戻していく「魔王学院の不適合者」の扱いに困っている。ラピスリライツは売りである作中の歌唱シーンのテイストがまるで俺好みではないし、事あるごとにウチの母ちゃんの飯食べてくか?とやる魔王のキャラ設定に白目剥きそうな魔法学院の不適合者は良さと悪さが鬩ぎ合っていて、正直悩ましい.....



こうなって来ると、普通に何期も続いている続編勢に手を出したくなってしまうわけだが、まるで完全新作が無いわけではない。最強の高校生を決める大会という酷く分かり易い内容の「THE GOD OF HIGH SCHOOL」はMAPPAの仕事だけあって良く動くから大味なストーリーや設定など吹き飛ばす熱量が1話目からあるし、逆に1話目は一部のシーンを除いて”ありがち”なSFなのに2話目からのギアの上がり方が半端では無い「デカダンス」の段飛ばしな成長も見応え抜群だ。この二本に関しては見れる環境にあるなら是非とも見てもらいたい。










見る物が無いわけじゃないが、不満が先を行く夏ではある。

コロナの終わりが見えない現在、これから先もこのようなアニメ界隈を見る羽目になるのだろうか?








絶対見る



ネトフリでちゃんと見てなかったから見ようと思うやつ



多分見る



見たいけど現状2話以降、配信サイトに金を落とさないと見れそうにない.....









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posted by lain at 22:27北海道 ☔アニメ