2014年05月26日

またかっ!だなんて言わないで♡「神様が殺してくれる」/森博嗣/幻冬舎/2013年/小説/感想

どんなに聡明そうに見える人物でも、どうしてもこれだけは止められないって事の一つや二つあるもので、僕の敬愛する森博嗣さんも救いようが無いほど執着していることがある。触れる事さえ赦されそうにない唯一無二の麗人や、確固たる自我が揺らいでばかりの多重人格者を作品に登場させる点だ。

森さんのデビュー作S&Mシリーズでは”真賀田 四季”と言う森作品の中で1番恐ろしく、1番美しい女性が登場するし、スカイクロラも明言はして居ないがそれらを匂わす表現があった。

他にも短編やシリーズ外の作品で度々、麗人&多重人格者が登場しているので、もうどれがどれだったか思い出すのも難しい...



本作は多重人格とは少し違うわけだけど、正直同じようなものであるし、主人公が惹かれている人物の人智を越えるような美しさ共々、森さんの偏愛というか、拘りというか、実にそれらへの執着が出ている作品になってた気がします。ミステリーとしての驚きはやんわりで、後になって考えると主人公もっと早く気付いてあの人止めてあげろよっ!って内容でした。森博嗣作品特有の「聞かれなかったから言わなかった」という主人公のせいでどれだけ周りを振り回す結果になったことか.....



とはいえ森さんの美しい者を崇拝する感覚が心地良い本作、僕は好きです。

主人公の大学時代に同室だった美しい青年が、付き合っている相手を次々殺され、何度となく続く殺しに警察は魔性の美貌を持つ青年を第一容疑者として考えるようになるのだけど、兎に角男とも女とも思えない美しさを想像するだけで楽しい。

有名人との妖し気な情事

場末の夜の店

女性向けファッション誌の表紙

等々、作中の様々なシチュエーションで美しい青年がどんなプロポーションで、どんな仕草で、どんな表情をみせているのかが気になって仕方無かった。連続殺人事件もただ単に青年の謎めいた美しさを引き立てる添え物でしかなく、萩尾望都作品の信奉者である森博嗣らしい美学が本当に良いです。

それにしても青年がザーラ・レッシュと名乗り女装して写った写真集が見たい。TOYOTAオーリスのCMで有名になったStav Strashko(スタヴ・ストラスコ)より綺麗なんだろうか?.....





美しき狂気に魅せられ続ける森博嗣さん。

「またか」と何度ファンに言われようと、救い用の無い美学に傾倒し続けて欲しいですね (= ワ =*)

ザーラ・レッシュに会いたい....
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2014年05月16日

身を心を切り裂く筆の音が聴こえて来そうだ『フォグ・ハイダ』/森博嗣/中央公論新社/2014年/感想

今の”森博嗣”の本気を見たかったら、このシリーズを読むしか無い!と、言いたくなるほど大好きな森博嗣チャンバラ活劇ヴォイド・シェイパシリーズ。

先月出た第四弾「フォグ・ハイダ」もすこぶる時代劇で最高でした。

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少しだけ自分を取り巻く環境が見えて来た主人公"ゼン"は、今回盗賊の片棒を担いでいる凄腕の侍”キクラ”と関わったことで、剣術道場の跡取りを廻る策謀に巻き込まれることになるわけですが、相変わらず二律背反する想いを内に抱えながらも、美しい剣技を持つ侍と相対する事を止められないゼンの葛藤が森博嗣さんらしい流れの美しい文体で書かれていて実に面白い。

特に今回は大勢の敵と渡り合うことになる、林の地形を活かした斬り合いのシーンがとても印象に残りました。少ない言葉であそこまで読者に動きを感じさせる森さん流石です。命のやり取りでしかない剣の応酬の美しくも虚しい様子が実に森さんのテイストにマッチしてるんですよね。落ち葉の中に身を隠している時の回想も良かったなぁ.....

本シリーズは、主人公のゼンが自分の振るう刀の正しい在り方にあれこれと想いを廻らせ、命懸けの美しいやり取りの中で少しずつ成長してゆくのがメインなわけですが、ちゃんと女っ気も用意されてるのも上手いですよね。よく見ると可愛らしい宿屋の女性だの、忍仕込みの女盗賊だの、手の施しようの無い病いを患った美人だの、流しの三味線弾きのお姉さんだの、男ばかりでムサ苦しくなりがちな時代劇に外せない彩りだと思います。まあ、今回は特に女っ気が多かった気もしますけどね。ゼンを影で見守っているナナシという忍も女性でしたし(あ、ネタバレw)


さて、そんなヴォイド・シェイパシリーズですが、当初の予定していた全五巻にはまとまらないと森さんが言っているので、ゼンが都まで旅路でどんな善を育み、どんな剣を磨いてゆくのか?まだまだ先が読めるのは嬉しい。

剣を極めることの虚しさに思いを馳せるゼンに、筆を走らせる意義を模索している森博嗣さんの気持ちがダブって見える作品でもありますし、少しでも長く読んでいたいものです....
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毎度楽しみにしてる美しい装丁、帯を外すと更に美しいですよね(ウットリ)




関連過去記事

『素晴らしくベタな日本の様式美がここに「スカル・ブレーカ/森博嗣」/中央公論新社/2013年/小説/感想』
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posted by lain at 08:08 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 小説 森博嗣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2014年05月01日

キャラ読み&大学あるある「キウイγは時計仕掛け」/森博嗣/講談社/2013年/感想

前回の「ジグβは神ですか」 で、かなりあのお方に近づき弾けていた分、今回は番外篇色の強いマイペースさを感じ、祭りが終わってゆく時の寂しさというか、自分達で歩くことさえままならなかった子供が自分を当てにしないで巣立ってゆく時の嬉しさ半分悲しさ半分な気分というか、まだこの先3冊出る予定とは思えないほど文章の端々から「もう好い加減このシリーズはいいでしょ?」と言う森さんの気持ちを感じたように思いました。


本当のところは分りませんけど、このシリーズは既に編集者と約束であるのと、ファンへのけじめとして森さんは書いているように思います。このシリーズでは既にモチベーションが上がらないから、意味無しジョークを増幅させたような事件ばかりをネタをしてなんとかシリーズを続けているのでは無いでしょうか? 小道具にされたキウイにしたって、これが並みの作家の作品だったら「はぁ?」と思って終わりだったと思います。

森作品だから

ただそれだけで許せてしまう僕らも僕らという話です....


建築学会の準備中、キウイに缶のプルタブが刺さった物が大学に送り付けられ、その後の殺人事件に繋がってゆくと言うキウイγは学会ネタが多過ぎたので尚の事そう感じてしまったわけですが、Gシリーズらしい同窓会気分はやはり嫌いじゃ無いです。特に研究者としての道を諦めた”加部谷恵美”の恋と大学への未練が良い感じに書かれてて良かったです。雨宮純との絡みにもほのぼのさせられましたw

後はそう、今回の私的MVPは、国枝桃子先生ですねっ!

全然笑顔を見せないけれど、可愛くて可愛く仕方無かったwww



今回はインターバルな位置づけだったので、完結からガッツリ遠退いた気分で肩透かしを喰らいましたが、12巻予定のGシリーズも佳境へと向っているのは確かなので、次はまたギアを上げ始めるかもしれませんね。

真賀田四季に振り回される面々のままならない日常を愛おしく思いつつ、次は森流チャンバラ活劇の新作「フォグ・ハイダ」に凸入します (`・ω・́)ゝ

ほんとにキウイ関係無かったなぁw #森博嗣
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posted by lain at 07:24 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 小説 森博嗣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする