2016年11月28日

孤独の匂いが褪せないようにバンドを続けるのもしんどそうだ「syrup16g tour 2016 『HAIKAI』」11月27日(日)札幌・PENNY LANE24」/感想

 人間が生きる為に最低限必要なのは衣・食・住だと昔から言われている。要するにそれだけあればスマホも高級なバッグも音楽だって必要無いという訳。でも、本当にそれで生きて行けるのだろうか?

 少なくとも僕には無理だ。音楽だけは駄目だ。手放せない。理屈に合わないから無駄だと切り捨てるなんて出来ない。音楽は僕に命をくれた。生きる意味を見失いそうになる度、背中を支えてくれた。親や兄弟以上に自分の気持ちの整理の仕方を教えてくれた。それをあっさり手放すだなんて絶対ありえない。

 そしてsyrup16gも、そんな手放すことの出来ない存在で間違いなかった。




 不遜で不穏な曲名や、ダジャレのようなフレーズの陰から真顔でガツンと殴りかかって来たかと思えば、憂いを携えた甘い声で愛を歌う.....syrup16gはそういうバンド...かな?自虐・自制・自称・自笑・自慰・自覚・自衛・自我・自戒・自壊・自由・自失....などなど、あらゆる自分が点在しているように感じられる五十嵐隆のぐちゃぐちゃな内面が爆発している歌詞や、すぐにそれとわかる特徴的な音作り、どれをとってもsyrup16gは格好悪くて格好良い。これがロックというものなんだろう。

 僕がsyrup16gを好きになったのは、「リアル」からだった。それこそ頭からガツンと来るこの曲があったからこそ聴き始めた。
命によって 俺は壊れた いつかは終わる そんな恐怖に でも命によって 俺は救われた いつかは終わる それ自体が希望

 こんなフレーズに何も思うところが無い人などいるのだろうか?




 手に入るアルバムは全部聴いた。ことあるごとに何度も頼った。どんなに場を盛り下げようとカラオケでsyrup16gを歌った。そうこうしているうちに夢は覚めた。あっという間に解散してしまったのだ...

 正直あの頃はライブ欲と云うのが無かった。わざわざ見に行かなくともライブはビデオで観れてしまうし、綺麗に整ったCDの音源こそ一番だと感じている節さえあった。でも、syrup16gの解散ライブをWOWOWで眼にした時、彼らの圧倒的な存在感に打ちのめされ、もしもこれを生で見たらどんなに凄いのだろう?と思う自分がいた。解散後どれだけ後悔したかしれない。


 そんな訳もあって、再結成した時は本当に嬉しかった。彼らのライブを見れる可能性がゼロではなくなったのだから。そして0が100になった昨夜は、ただただ幸せだった。再結成後のアルバムの仕上がりを素直に受け入れられずにいたのもあって、ライブが始まるまでは少々怖かったが、やはりライブは別物でスタジオ音源だと微妙に感じた曲達が次々と光り輝いていった。特に"I'll be there"ではウッカリ鼻の奥がツーンと痛くなった。歌詞を無理矢理捻り出している感は拭えない新譜ではあるものの、ライブに行かずして駄作と決めるにはまだ早い。僕と同じような不安に襲われライブに行こうか迷っている人がいるなら、その眼で、その耳で、その肌で、その心で、今のsyrup16gを生で感じて欲しいなと思った。




 どんな存在も時の流れからは逃れられない。永久不変な瞬間は、今この刻限りの儚い幻に過ぎない。だから、これまでのsyrup16gをこれからのsyrup16gに当て嵌めても意味はないのだ。だが「仕方ない」という気持ちで今の彼らを聴いたところで、誰も幸せになりはしないのだから無理強いは出来ない。

 一つだけ確かなことは、syrup16gを、五十嵐隆を、今後どう愛して行けば良いのか、長い時間をかけて僕らファンは考えて行かなければならないという事だ。


 なんとも悩ましいバンドもあったものである......






セットリスト

1.Cassis soda & Honeymoon

2.I'll be there

3.Find the answer

4.Father's Day

5.Missing

6.Murder you know

7.タクシードライバー・ブラインドネス

8.うお座

9.Share the light

10.My Love's Sold

11.神のカルマ

12.Deathparade

13.Drawn the light

14.落堕

15.リアル


アンコール1

16.遊体離脱

17.パープルムカデ

18.Sonic Disorder

19.天才

20.coup d’Etat

21.空をなくす


アンコール2

22.She was beautiful

23.Rookie Yankee





今後のツアー予定

■12月02日(金)福岡・DRUM LOGOS
OPEN 18:15 START 19:00
INFO:BEA(092-712-4221)

■12月04日(日)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN 17:15 START 18:00
INFO:夢番地 岡山(086-231-3531)

■12月07日(水)大阪・なんばHatch
OPEN 18:15 START 19:00
INFO:キョードーインフォメーション(0570-200-888)

■12月09日(金)名古屋・Zepp Nagoya
OPEN 18:00 START 19:00
INFO:JAILHOUSE(052-936-6041)

■12月14日(水)東京・Zepp Tokyo
OPEN 18:00 START 19:00
INFO:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)

■12月15日(木)東京・Zepp Tokyo
OPEN 18:00 START 19:00
INFO:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)



タグ:syrup16g
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2016年09月25日

時間の死んだ街で”あい”を叫ぶ女優『安藤裕子 2016 ACOUSTIC LIVE 旭川 島田音楽堂 9/24』感想

 僕の住む北海道の旭川と云う場所は、正直真ん中辺りに在ること以外特徴の無い中途半端で地味な街だ。人口が札幌に次いで多いから、北海道第二の都市だなんて言われることもあるけれど、3位の函館との差は7万人ほどで札幌に比べれば1/5しか無いし、盆地のおかげで空気の流れが悪く、蒸し暑くて空がすっきりしないうえ、寒暖の差が激しく夏の最高気温と冬場の最低気温とでは50℃も差があるから生活し易い場所とは到底言えない。

 旭川を舞台にした作品「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の主人公になんて僕は時間の死んだ街でうまれた。 良くも悪くもマイペースで強情で、変化を嫌うこの街では、澱んだ時の流れすら平穏だとか、安寧と呼ばれる。変えられない、変われないのでは無く、そもそも変えたいと思わないのだ。』と、言われる始末。これで旭山動物園が無かったらどうなっていたことだろう.....



 そんな残念な街だから、まさか安藤裕子が来てくれるとは露程も思っていなかった。それでなくとも久しぶりの北海道上陸であったし、”お金”が目的ならもっと効率の良い場所が在るわけで、ライブスケジュールの発表があった時”旭川”の名前を見つけた時は本当に嬉しかった......

 しかも島田音楽堂というチョイスがまた彼女らしい。前回訪れたのはbonobosのライブの時で、お世辞にも客の入りは良く無かったが、逆に少人数だからこその贅沢さがあって素晴らしかったので、今回も普通に期待を膨らませ足を運んだわけだけど、本当に島田音楽堂という場所の雰囲気は格別だった(怪しいミサでもやっているみたいな場所だと裕子ねぇやんも楽しんでいた)。防音処理のために音を吸収してしまうライブハウスとは違い、音の反響がすこぶる気持ち良い。聴いているこちらがこれほど気持ち良いのだから、歌っている本人はもっと気持ち良いに違い無い。実際、彼女も伸び伸びと歌っていたように思う。感情が乗った伸びやかな声を聴いていたら、身体の芯から溢れるように涙が止まらなかった。

 初っ端から”はっぴぃえんど”のカバー曲や「森のくまさん」で客を怖がらせたかと思えば、魔女っ子みたいな光るステッキを持ち出して観客の気持ちを解し、お客の中からラップ部分を担当してくれる有志を募って「霜降り紅白歌合戦」を盛り上げて見せれば、曲作りが難しい状態にあったことを告白したうえで、やっと作れるようになった新曲を披露してくれるという、フルアルバムに絡めたツアーでは絶対味わえない構成で本当の本当にお腹いっぱいに安藤裕子を詰め込める2時間半だった。




 1曲歌い上げるまでに、これほど感情の揺れ動きを表現出来る歌手は滅多に居ないと思う。ころころと表情を変え、最高潮へと辿り着いて行く彼女の存在感は半端ではない。歌手と言う括りで定義するには勿体無いほど、髪の先から指先まで身体全体で歌を演じているように感じるのだ。やはり歌手である前に役者なのだと痛感する。歌を休業して舞台を演るのも良いのでは無いだろうか?

 僕はいつも、ライブはアーティストとの真剣勝負の場だと思っている。特にamazarashiや安藤裕子のように抜き身で立ち向かって来る人とは命懸けで、それこそ腹が減る。生きている実感とは、ただ優しいだけでも温かいだけでも得られない。自らを切り刻むくらいの代償があってこそ、人は人であることを思い出せるのではなかろうか?



 この先のことなんて分からない

 悔いなんて後にならなきゃ生まれない

 笑いたければ笑えばいい

 泣ける時には泣けばいい

 ただただ今ある感情に嘘を吐かない人生にしよう




 そんな気持ちでいっぱいになる夜だった。また何処かで彼女に逢いたい.....





セットリスト

01 抱きしめたい(はっぴいえんどのカバー)

02 森のくまさん

03 お祭りフェンスと唱おう

04 のうぜんかつら(リプライズ)

05 ほととぎす(レキシ Feat. 聖徳ふとこのソロアレンジ)

06 霜降り紅白歌合戦

07 雨とパンツ(新曲)

08 少女小話(新曲)

09 隣同士(新曲)

10 溢れているよ

11 忘れものの森

12 たとえば君に嘘をついた

13 グッド・バイ

14 Last Eye

15 Touch me when the world ends


アンコール

16 アメリカンリバー

17 問うてる


タグ:安藤裕子
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2016年03月22日

君と見つけてみたい風景がある『"きのこ帝国"ワンマンツアー2016『きみと宝物をさがすツアー』3/21 札幌 cube garden』/感想

昨年彼女らがメジャーデビューした際は、何処か売りだった”陰鬱”さが薄らいでしまい、これはどうなんだろうか?と、首を傾げたものだけど、やはりライブでは生の本性が湧き出すというか、アルバム「猫とアレルギー」の垢抜けた感じなど何処吹く風で、得も言えぬ世界観を会場いっぱいに届けてくれていたから本当に良かった。


会場に着いた時は、若い子ばかりなことに気後れしたし、中に入れば直ぐ後ろの方で外人さんがデカイ声で会話してて、ライブ始まったら始まったで人一倍暴れてて気になったりもしたけれど、それを差し引いてお釣りの来るステージだったと思う。

普通にしてたら芸能人オーラ0の”佐藤 千亜妃”は歌い出すと人一倍存在感があったし、ギター兼鍵盤で大忙しだった”あーちゃん”は笑顔で弾いてるな〜と思った瞬間スイッチが入ってヘッドバンギングしながらキレッキレの演奏でノイズを出し始めるギャップが萌えた。ベースの谷口氏の穏やかな雰囲気も良かったし、掴み所が無さそうなドラムス”西村コン”も面白い人っぽい。きのこ帝国はまだまだ大きくなれそうな予感がする。


作詞作曲を手掛ける佐藤千亜紀は融通の利かない職人気質なのかMCや客弄りも慣れていなくて、バンド全体からも ”歌いたい” ”弾きたい” ”叩きたい” ”聴いて欲しい” そんな想いがこちらの五感にビンビン伝わって来た。気持ちが先行して余裕が無い感じも含め、曲で勝負だと意気込む若いバンドは面白い。

落ち着いた中に狂気が入り混じっているような雰囲気がとても大人っぽく感じる曲が多いので、40代、50代になった彼らのライブを見てみたいなと思った。きっと今以上に味のある”きのこ帝国”になれているはず。

だから、それまではバンドを続けて欲しい。今だから出せる空気というのは間違い無くあるだろうけれど.....




みんな、会場で「クロノスタシスって知ってる?」って聞かれたら、ちゃんと「知らない」と答えなきゃ駄目だぜζ*'ヮ')b








セットリスト

1.ひとひら
2.海と花束
3.怪獣の腕の中
4.35℃
5.スカルプチャー
6.YOUTHFUL ANGER
7.Donut
8.クロノスタシス
9.ドライブ
10.夏の夜の街
11.パラノイドパレード
12.風化する教室
13.東京
14.桜が咲く前に
15.ハッカ
16.猫とアレルギー
17.名前を呼んで

アンコール
18.スピカ
19.ありふれた言葉
20.明日には全てが終わるとして

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posted by lain at 06:59 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 音楽 LIVE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする