神様にはなれなかった男の未練は酷く虚しい「神様になった日」麻枝准/浅井義之/P.A.WORKS/感想

ぐだぐだ生きているうちに、成人の日を通り過ぎて早20年以上が経ってしまったけれど、自分の何がどう変わったのかは、心身の衰え以外に心当たりが全く無い僕は、きっと何処かに青春を置き去りにして生きて来た残念男なのだろう。


もしもあの頃、完全燃焼するくらい何かに打ち込めていたなら、違う自分になれていたのだろうか?

もしもあの頃、好きだった子に好きと言えていたなら、諦めるのが上手な自分より、諦めない自分になれていたのだろうか?

そんな”もしも”を忙しさで振り払いながら生きて来たものの、未だに後悔は消え去りはしない。どんな現在を迎えていても、過去はいつまでも付いて回るのだ。


だから、せめて逃げない人には、ご褒美があって欲しい。どんな些細なものであっても....





「神様になった日」は30日後に世界は終わると云う自称神の少女に、なんの才能も無い少年が振り回される青春コメディ。彼女の云う通りに過ごしているうちに、平凡な日常が色鮮やかに変貌し、まさか本当に神なの?と思いきや、実は.....と、いつもの麻枝准らしい切ない展開が待ち受けている。

現代の男は間違いなく弱い。元々男のメンタルなんて弱かったのかもしれないが、昔の虚勢と腕力で生きて来た人達と比較しても、非常に弱い生き物になった。何方かと云うと、女性が強くなったと云うか、本性を現したと云うのが正しい気がするけれど、男が一方的に女性を護る世界は終焉を迎えている。当然本作でも主人公(♂)はヒロインから足蹴にされコケにされ、主従のような関係性になっていた。しかし、終盤になると男が根性を見せ、なけなしの勇気で大好きな少女の心を取り戻そうと奔走する。

そして、まさに奇跡のような瞬間を手にする彼。でも現実は残酷で、それ以上の”ご褒美”は叶わない。でも、そんな些細な救いであっても、本当に良かったと思えてしまったから、こんな粗末な場でも気持ちを残しておきたくなった。俺たちはどんなに弱くても、強くなりたい。其処に大事なものがあるなら、一歩を踏み出したい。自分に出来ないなら、やろうと頑張る奴を応援したい。それくらいの希望を持つことが、自分にも許されるのだと言われた気がした。




たとえ男の感傷だと言われても、夢も希望も無くなった中年に響く良いアニメだった。今となってはヒロインの底抜けに明るい笑顔が酷く愛おしい。自分の弱さで失ったものが多い人にこそ観て欲しい一品だ。

誰かの笑顔を本気で取り戻したいとか、一生に一度くらい体験してみたい人生だった..........






TVアニメ「神様になった日」公式サイト https://kamisama-day.jp