失敗の無い人生なんてクソゲーだ。薬物でもなんでも、やらかしてからが本番じゃ無いか。

また後輩経由で芸能人の残念なニュースを知った。伊勢谷友介の大麻取締法違反である。



ろくに邦画を観なくなってだいぶ経つが、伊勢谷氏の演技に関しては印象深く残っていた。宇多田ヒカルの元旦那である紀里谷和明さんが監督した『CASSHERN』で初めて意識した役者さんだが、あの独特の作りと世界観の中で、あれほどの演技が出来ていたのだから十分素晴らしいものだった。作品自体はPVを主に作ってきた紀里谷さんらしいオナニーっぷりで賛否が飛び交っていたが、個人的にはその恥ずかしいまでの自己陶酔がたまらく愛おしかった。綺麗な物だけを集めても、決して映画にはならないことを世に知らしめる意味でも、ある意味大成功の映画だったろう。

その後彼の出演する映画に出会したのは2011年の「あしたのジョー」だ。






”ちばてつや”さんの漫画原作や出崎統監督によるアニメ版も不朽の名作として愛されている「あしたのジョー」の実写化と云うことで、勿論地雷臭しかしない(丹下段平のコスプレをする香川照之を直視するには相当な精神力が必要だった)から、本当に出来心でついといった感じの視聴ではあったものの、主役のライバルとして登場した伊勢谷くんの鬼気迫る演技に周囲が引っ張られたのか、試合のシーンが意外とよく出来ていて感心したものだった。漫画原作の映画に出演する機会が多かったように思うが、もっと本格派な作品だけに絞っても役者として食べて行ける人ではなかっただろうか?



あまりにも薬物関係で捕まる有名人が多いため、今回あまり動じていない人も多いようだが、個人的には少々寂しいニュースに感じた。役になり切る人と云うのは、それだけで心に負担がかかるし、演技をしている自分を本当の自分のように感じて接して来るファンなど、ただただ重荷でしかないはずだ。現実と乖離した自分が一人歩きして行くわけだから、役者と云うのは非常に辛い仕事である。自分を上手に俯瞰出来る人間でもなければ、まともな神経のまま偽りのイメージと付き合い続けるだなんて無理に決まっている。言うなれば伊勢谷くんは人間らしい人間だったと云うだけかもしれない。


こうした事態が起きると、彼に関する映像作品の扱いに影響が出てしまうものだが、それはそれ、これはこれである。彼にも良い頃があった。その頃の彼まで否定する必要などないのだ。

薬物は止めても止めてもキリがない場合が多い。彼が更生出来る保証もないだろう。

しかし、amazarashiもこう歌っているではないか。



”勝てない訳ないよ自分なら

 僕が一番分かってる僕の弱さなら”



ものは言いようである。考え方次第である。

自分などもそうだが、決めつけが先にあるから前に進めないだけなのだ。








素晴らしい演技が彼を苦しめるだけならば、もうそんなもの観なくても良い!そう本心から言えない自分がどうしても居る。それどころか身を削ってでも何かを残そうとする人の美しさに勝るものなど何もないとすら思っている節がある。芸の肥やしになるならと、様々なことに寛容だった時代の方が、遥かに凄みのある役者がいたのではなかろうか?

彼だけの話に留まらないが、会社やファンに好き勝手に消費された挙句、スキャンダルでハイさようならとなるのだけはやめて欲しいものだ。この経験が必ず役にたつのが役者という職業でもあるのだから。



サイヤ人でも無いが、一度や二度死にかけた方が強くなれるのが役者で間違いないだろう。