これほどタイトルで一般客を逃してる秀作も珍しいのでは?「劇場版 幼女戦記」カルロ・ゼン(原作)/上村泰(監督)/NUT(制作)/感想

なんの予備知識も無く観だしたアニメがツボにハマる、なんてことが時折あるけれど、幼女戦記のTVシリーズもまさしくそれで、マトモな神経の持ち主ならタイトルの段階で接触を避けるであろうネーミングセンスとは裏腹に、実際の戦史を元にした骨太な戦局の描き方や、神に翻弄される主人公の変わりそうで変わらない性根と見た目とのギャップに心のスイッチをあちこち押されまくった。



そんな幼女戦記の劇場版が5月からNetflixに追加され、この度めでたく観てしまったわけだが、ちゃんとTV版を復習してから観て良かったなと思った。意外に内容を忘れている部分もあって、見直していなければ冒頭のシーンの段階で置いてきぼりを喰らったかもしれない。逆に復習しておいたからこそ、冒頭のシーンの痺れっぷりったらなかった。元々TVシリーズの作画は綺麗なので、劇場版だからの上積みはさほど感じないが、ここぞと言うシーン一つ一つを大事に刻んだ構成とカメラワークの良さがすこぶる良いのだ。動きの激しいアクションシーンにしても作画枚数に対する迫力のコスパが半端では無い。これぞ日本の伝統芸能だと声を大にして言いたいくらいの仕事っぷりである。




当たり前に観てしまいがちなシーンの一つ一つに実は良さがあるのだろう




幼女戦記と云えば、キャラの描き分けの良さもある。渋いオッさんから幼女まで、役所に関係無く個性を感じるのだ。みんな大好き女性キャラも某人気アイドルアニメとは違い、瞳からしっかり差別化されていて好印象しかない。ちなみに、個人的に大好きなのは瞳の大きさが特徴的なヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ。声が早見沙織さんであることも後押しになっているが、なんと云っても”あの”主人公の相手をいくら天然とは云えこなせている有能っぷりや包容力に惹かれてしまう。まるでいつも一緒にいてくれるワンコのような存在なのだ。

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ついでに主役の萌え話をしてしまえば、普段小さく描かれている口が豪快に馬鹿でかく開かれる瞬間もツボに入る。幼女の顔が悪魔の如く歪む瞬間がたまらなく好きと云う救い難い御仁だって多かろう。存在そのものが性癖である悠木碧の演技もすこぶる高回転だから仕方あるまい。全く何を演らせても面白い声優である。

それはそれとして、転生物で魔法が存在する世界観でありながら、魔法だけではどうにも出来ない現実的な戦争をメインにしたのは正しい選択だったなと改めて思った。正直主役の魔法が万能過ぎては面白くもなんともないのである。戦局が頭に入り易い構造と云い良く練られた作品だ。原作もさぞかし面白いに違いない。


ただ、おじさん的にこれから原作を追うのは流石に辛いので、是非とも更なる続編をアニメでやって欲しい.....が.....どうなることやら........