安全を第一とするなら、モータースポーツの存在意義とは?

なかなか根雪にならない雪に翻弄されているうちに最早12月。モータースポーツも軒並み閉店模様だ。2輪最高峰のMotoGPはいつも通りマルケスが頂点に立ち、4輪も同様に代わり映えしないハミルトンだったらしい(F1見てない)



正直同じ人間、メーカーが勝ってばかりでは面白味が無い。シューマッハが毎年定位置に納まっていた時など、何かトラブルが起きないものかと思いながらF1を見ていたものである。命に関わることだから不謹慎ではあるけれど、モータースポーツを見る者はトラブル込みでレースを楽しんでいる節はある。そもそもF1など毎月、毎週のように人が死んでいるのにレースを続けて来たスポーツだ。人一人の命程度では中止にすらならない。あのセナが亡くなった時も、先にローランド・ラッツェンバーガーが亡くなっていたのにレースは開催され、ショックでモチベーションが上がらないセナが、彼の死に引き摺られるかのようにこの世を去った。果たして”死”というリスクこそモーターレースの隠し味だと言われて、妄言だと言い切れる人が幾人いることだろう?

そういった意味において、もっとも観客を狂喜させているのはWRCだと思う。サーキットではなく、普通の道路や大自然を有り得ない速度で駆け抜けるラリーは、兎にも角にも事故が付き物。ドライバーやコ・ドライバーの安全はかなり高いレベルで守られているため、どんなに恐ろしく激しいクラッシュでも怪我一つなく生還するが、開催地によって観客がコースの近くまでやってくる場合があり、ラリー車が吹っ飛んだ先に観客がいて亡くなるという事故は近年も起きている。その時はレースも中止になったのだが、事故を起こした当人はセナ同様モチベーションが上がらず、前年の輝きを完全に失っていた。どんな理由であれ、誰かの命を奪ってしまったという事実は重たくのしかかるのだ。




本当はこんなレースと死の話など書くつもりではなく、ただただトラブルが起きるくらいに熱いレースが見たいということを書きたかった。F1はもう少し本気でメルセデス以外のチームの育成に手を差し伸べるべき(ウィリアムズの現状など90年代F1ファンとしては見たくも無い)だし、MotoGPはマルケス以外のライダーの奮起を期待したい。彼の無邪気さは負けた者のプライドをズタズタにするから良い加減うんざりしている。WRCに関しては今年ドライバーズの頂点を手にしながらもコンストラクターズのタイトルを失ったTOYOTAの刷新されたドライバーラインナップが楽しみ過ぎて今が辛い。ライバルチームに移籍したチャンピオン”オィット・タナック”の走りも気になる。

誰も死なないにこしたことはない。でもTV越しに伝わる熱は欲しい。レースの合間にドライバーのコメントを表情付きで味わえるラリー。マシンをぶつけ合っても道を譲らない二輪レース。そこに4輪最高峰レースの熱さが加われば最高だろうと思う。熱さだけならフォーミュラ1よりフォーミュラEの方が余程熱くて面白い。


蓋を開ける前から中身が分かっているレースなど、もう真っ平御免だ。

表向きは安全第一で良い。でも本音と建前を混同しては存在意義すら無くなってしまうことだろう。




危険の無いレース。そんなものを本当に愛せるだろうか?