最高かよっ!と言いたくなるポンっ!映画である「カメラを止めるな!」BD/感想

今年は映画館にあまり行かなかった。いや、去年もかな?

観に行きたいなぁと思った作品も、思っているうちに上映が終わって”まあ良いか”と何度も流してしまった。

つい先日までやっていた「ボヘミアン・ラプソディ」や「万引き家族」、そして「野火」で大好きになってしまった塚本晋也監督の「斬、」まで観に行かなかったことが悔やまれる。塚本作品を上映すらしない地元の映画力に八つ当たりしたい気分だ。



そんな中、興行的にも健闘した「カメラを止めるな!」は話題に乗っかって観にいったわけだが、早くも発売された円盤でメイキングを堪能していると、やっぱりワンカットというのは大変なものなんだなとつくづく思わされた。






もう円盤発売でもあるし、ずばりネタバレで話をすると、クライアントからワンカットのゾンビ番組を作って欲しいと無茶振りされた冴えない映画監督が、一癖も二癖もある役者&スタッフと”それ”をやり遂げるまでのドタバタコメディで、冒頭37分間の超超B級ゾンビ映画を真顔で見させられた後の開放感が最高の作品。

はっきり言って素人には冒頭の凄さはイマイチ伝わらない。映画を撮ったことが無いため、ワンカットの重みが分からないのだ。しかもこの映画は撮影の裏で起きていたことを前提に映画内映画が進行するわけで、初見では演技が微妙だの、間が悪いなどとしか感じず、なんのこっちゃ分からない。しかし、37分を超えた先に待っている解答と照らし合わせ出したら、もう頬は緩みっぱなしで戻らなくなり、観終わった頃には、映画ってすごいなぁ、面白いなぁ、撮ってみたいなぁ....とすら思うようになっている。

本編を観ただけでもそうなのだから、円盤に収録されたメイキングや、リハーサル映像(Amazon特典で現地リハ通しが観れる)を見たら更に映画への認識が変わることだろう。実際特典映像はどれも面白かった。”不器用そう”で選んだ12人の役者を2チームに分け、ゾンビをモチーフにした短編映画を実際撮って(特典映像に2作品とも入っている)貰うワークショップの様子から、何度もリハを繰り返し(リハ中カメラマンが本気で息を切らしている音がなんとも言えなかった)現地で6度もワンカットで撮ったという現場の状況まで、作中の面白おかしいメイキングとはまるで違う現場の雰囲気が伝わってきた。

何より秀逸だと思うのは、ワンカットの表と裏の齟齬がほぼ皆無なことだ。撮り直している違和感がないからこそ映画が成立していると言っても過言では無いだろう。エンドロールでメイキング映像が流れなかったら、そのまま信じてしまいそうな仕上がりである。





幾つになっても青春は出来るのだと、本編同様に清々しい現場の雰囲気から感じとれた。組体操でカメラのクレーンの代わりをやるシーンが終わった後の役者達の笑顔は演技を超えた何かだったのだろう。数年前に海外で140分近いワンカット長回し映画が作られたが、37分でもイレギュラーが起こるのに、どれだけリテイクを繰り返したのか想像するだけで恐ろしい。カメラを止めるな!くらいが日本には丁度良いだろう。

500万もかけずに、これだけ見る側と作り手が幸せになれる映画はそうそうない。

某アイドル事務所の顔だけ役者を多用したり、コスプレ感が否めなかったりする映画に何億も投資するなら、もっとインディーズ畑のアイデアにこそお金を落とすべきだと改めて思った。

最高だよこの映画は。