駄目男の人生はもう少し続く....「ベター・コール・ソウル シーズン5」AMC/海外ドラマ/感想

※ネタバレ感想









兄弟、もしくは姉妹、はたまた兄妹や姉弟、ほんの50年前はそれがいて当たり前だった。

70代に入った母は10人近い兄妹の家で、僕も3人姉弟。姉とは親や友達以上の身近な遊び相手であり喧嘩も腐るほどやった。何かと比較されることもしばしばで、愛憎の相手としても申し分なかったと言える。

総人口のうち、15%しか15歳未満の子供が居ない(50年前は25%ほど)今の時代において、そんな気分が分かる人はほとんどいないのかもしれない。逆もまた然りではあるけれど....




優秀な兄を誇りに思いつつも、自分の可能性を否定するどころか邪魔立てさえした兄への憎しみが募っていた男が、紆余曲折を経て麻薬ビジネスを支える弁護士となり、調子に乗りやすく詰めの甘い性格が災いして身を滅ぼすまでに至った顛末を描くドラマ「ベターコールソウル」。その新シーズンがしれっと始まっていたため、久々に海外ドラマを観る気になった。

元は自分が癌で死ぬと思い込んだ化学教師の男が、家族に財産を残すため死んだ気になって覚醒剤を作り、麻薬の世界での大物になってしまう「ブレイキング・バッド」のスピンオフ作品であるものの、普通に単独の作品として成熟しており、人気の登場人物だった弁護士の男ソウル・グッドマン(ジミー・マッギル)と寡黙な元警官の男マイク・エルマントラウトの愛すべきキャラクター性が実に味わい深く、今期もそれはブレることはなかった。

とうとう兄と決定的な決別を果たしたところに兄の死を伝える電話。自分が追い込んだのではないかと思い詰めるジミーは本当に辛そうだった。ところが直接的な死のきっかけを作ったのが自分ではないと分かった途端、ゲスな姿を見せる。それまで寄り添ってくれた恋人すら、その姿に思うところがあるようだった。こういう露骨な弱さの表現一つ一つが突き刺さる。



ジミーは悪いことにしか頭が回らない自業自得の最低男だ。でも根は優しい奴であるため誰もが彼を赦したくなる。取り返しのつかないことを繰り返し、惨めな自分を露呈しても尚、生き方は変えられないジミーに、つい自らを重ねてしまうのだろう。

ただ、彼の人生だけのドラマであったなら、自分の悪いところばかり思い知らされて辛いばかりだったかもしれない。職人気質なマイクのパートが良いクッション材になっているなとシーズン5でも感じた。盗人猛々しく、不法侵入した先でセキュリティ管理について説教をたれるマイクは最高だ。


”末路“で片付けるには忍びない二人の中年男の物語が、本編であるブレイキング・バッドの時系列にだいぶ近付いた今、死刑宣告を待つ気分で見守るしかないのは忍びないが、骨を拾うつもりで最後まで付き合う所存。





口髭を生やし名を変えファーストフード店で働く落ちぶれ後のジミーの運命やいかに.....