永遠に生きるとか社畜より辛いんじゃね?「吸血姫美夕(1988年版)」平野俊弘(監督)/垣野内成美(キャラデザ)/AIC(制作)/感想

オタクは、一つの創作物に触れると、その作者や提供会社や関わったスタッフの別作品だけでなく、類似作品を隅々まで追い続け、作中使われた場所を直に見にいくなんてのもざら。

中の下くらいのオタクの僕も例に漏れず、好きになった漫画家や小説家の作品は全て(同人までは手が伸びなかった)読んだし、アニメも好きになった監督のはトコトン遡って観たものだった。特に押井守作品は、コアなファンしか見ないような過去作品ばかりで、DVD化される以前は遡るのは大変だったものだ。

アニメで1番真っ先に目に付くのは、当然ビジュアルだから、監督を追う以上にキャラデザを追ってしまうこともよくあった。ガンダムの安彦良和さん経由で「クラッシャージョウ」や「ヴィナス戦記」を観たし、クリィーミーマミやパトレイバーの高田明美さんが参加した作品も山ほど観た。他にも石田敦子さん、後藤隆幸さん、貞本義行さん、美樹本晴彦さん、村瀬修功さん、結城信輝さん、いのまたむつみさん、挙げだしたらキリがない。そして、今回30周年を迎えたOVA「吸血姫美夕」のキャラデザである垣野内成美さんも他の仕事を追いたくなる対象の1人だった。


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垣野内成美さんと言えば、のちに結婚する平野俊弘氏との仕事が印象的で、絵の質感も近いから混同していた部分もあり、改めて仕事の一覧を眺めると作画監督は多いがキャラデザが少なくて意外だった。確かにアニメで追い続けたというより漫画を追いかけたと言った方が正しいだろう。特に美夕の漫画版は垣野内成美さんのライフワークで、本編だけでなくスピンオフシリーズが複数あり、追う側としても追い甲斐があった。

吸血姫美夕は、人と吸血族のハーフとして生まれてしまった少女美夕が、浮世に紛れ込んだ神魔を闇へと返す宿命を背負い、人と神魔の儚い想いを見届けてゆく物語で、自らの出自を呪いつつも使命を果たし続ける美夕とその眷属であるラヴァの終わりが見えない旅の切なさがなんとも言えず良い作品。

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髪がはらりと揺れるのが垣野内成美キャラの良さだと思う

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ミイラ取りがミイラになったラヴァさんの格好良さは本当に萌える



のちに作られたTVシリーズもファンは多いが、個人的にはOVA版がおすすめ。たった4話の中に、人と神魔と美夕の関わり合いが凝縮されているから。若干作画が落ち着かないところもあるが、平野さん成美さんの仕事だけでなく會川昇さん(本作製作時は会川昇だった)の脚本の良さも発揮されていたように思う。美夕の存在を際立たせる意味において、第三者である霊媒師の女性の存在が非常に大きく、最終話を見終わった後の取り残された感覚が今も残っている。

常人が望む永遠を、望まない者が続ける虚しさが上手く表現できている作品だと思う。男が思い描くハーレム物にも、こういった儚さが大事なんじゃないかと思った。しょぼい不幸を背負った気になって、大勢の女性に励まして貰いラッキースケベにあずかるのも、ある意味素晴らしく虚しい物語で儚いかもしれないけれど........