夏と言えば"暑い"だけになってから、どれだけ経ったのだろう?.....「マイマイ新子と千年の魔法」片渕須直(監督・脚本)/高樹のぶ子(原作)/マッドハウス(制作)/感想

今よりほんの少し昔、夏と言えばTUBEだサザンだと言われていたものだが、今の若い世代にとって、サザンは兎も角TUBEは伝わるのだろうか?同じように冬と言えば広瀬香美というのも、伝わり難いに違いない。




アニメの夏と言えば、長らくジブリが盛り上げていた。劇場で公開された20数作品のうち、約8割の作品が夏に公開されたものなのだ。高畑さんを亡くし、宮崎駿が製作ペースを保てなくなった今も、日テレは金ローでは当たり前のようにジブリ作品をお茶の間に届けてくれるし、好きでも嫌いでも夏と言えばジブリという印象はまだ根強い。

しかし、時代は流れ「時をかける少女」後は細田守氏の作品も夏の代名詞となった。「君の名は。」で一気に名が知れ渡った新海誠の台頭も含め、確かに夏はジブリだけの代名詞ではなくなった。


僕の中では、上映時期と関係なく夏の映画なら片渕須直さんになりつつある。夢想家少女が戦時中の苦楽を経験して成熟していく「この世界の片隅に」はお盆前後にぴったりな映画だし、今回観たマイマイ新子なんてモロに一夏の思い出話だったから、自分が子供だった頃を存分に思い出してしまった....





大好きなお爺ちゃんから自分の暮らす街の1000年前の姿を聞かされ、その情景を思い浮かべなが元気いっぱいに過ごしていた少女が、都会から越して来た少女と打ち解けて、田舎の子供らしい遊びに興じつつ、大人の弱さと自分達の未熟さを知っていくお話だったわけだが、兎に角子供が子供らし過ぎて癒される。ただ見た目が可愛いだけではなく、何が楽しいのか分からない子供らの奇行の数々や、大人に対する理屈じゃない好意と嫌悪感、そして根拠の乏しい自信など、僕のような中年がすっかり失ってしまった子供の現実が、作品の中にしっかり存在しているのが素晴らしかった。

舞台となる昭和30年の風景や、交わるはずのない1000年前の情景描写も片渕さんらしい細やかさで、土地とセットで人が愛おしくなってしまうのがなんとも言えない。時空を超えたかもしれない絆の匂わせ方や、地元の子供である”新子”が転校生の少女“貴伊子”と入れ替わるかように越していく時の笑顔も最高で、コトリンゴが流れるエンディングへ雪崩れ込むのは反則ものだった。片渕さんの次回作にもコトリンゴさんは関わるのだろうか?だったら良いなと個人的には思う。







今まさにお子様の皆んなには、この夏を新子や貴伊子に負けない夏にして欲しいものだ。

いや、ほんと、そう出来たら良いね.......

僕も子供に戻りたい.....







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