30年程度じゃ色褪せない個性が此処にはある「AKIRA」大友克洋(原作・監督)/なかむらたかし(作画監督)/感想

丸々1ヶ月間、サッカーを楽しませてくれたロシアワールカップも、フランスの優勝で幕を下ろした。

正直言って、フルで見たのは日本戦を除くと、ほんの数試合でしかないないけれど、ダイジェストでもしっかり迫力が伝わって来て本当に楽しかった。いつか日本代表があの決勝の舞台に立ち、頂点の座を手にする光景が見たいものである。



次なるスポーツの大きな祭典は、勿論東京五輪だろう。それほど国民に望まれての開催で無い上、費用負担の問題でゴタゴタしたり、建設現場での労働環境の悪化など、マイナスな話しか聞こえて来ないが、やるからには盛り上げて欲しいし、選手たちが気持ちよく競技に専念出来るよう計らって貰いたいものだ。

話は変わる(戻る)けれど、その来年催される東京五輪が2020年に開催されることを30年以上前にAKIRAは予言していた。








若い世代はAKIRAなど知らない人が多いと聞くので、一応どんな話かざっくり説明すると、1988年7月、大規模破壊兵器により関東が壊滅し、第三次世界大戦が勃発。その31年後、翌年に東京オリンピックを控えたネオ東京の夜をバイクで疾走する若者たちの前に、奇妙な子供と軍が現れ、負傷した仲間を連れ去ってしまう。彼らは反政府ゲリラと共に仲間を助けに向かうのだが、特別なチカラに目覚め飲まれてしまった仲間に拒絶され、自体は収集の付かない事態へと悪化していく......という超能力話。

40歳前後の世代にとって、AKIRAは本当に衝撃的な作品だった。原作から入っても劇場版から入ってもそれは変わらなかったろう。僕はアニメ版から入ったくちで、とにかく情報量の多い細やかな美術と音楽、そしてリアルな重量等の描写と肉肉しいグロさに度肝を抜かれた。能力開発をされ過ぎた子供たちがまるで老人のような姿であるとか、彼らが能力で作り出したぬいぐるみのお化けや、軍に拉致された少年(鉄雄)が暴走していく様などトラウマでしかないが、その素晴らしい仕事の数々のせいで、絶対に忘れたくないトラウマであるのも間違いないから困りもの。

IMG_8269.jpg
このレベルの美術を全編に求められたそうだ.....
タイトルなし.gif




主人公たちは戦後の影響をモロに受けて落ちこぼれた少年達で、クズでしかないものの、彼らには彼らの絆や筋の通し方があったし、根はいい奴らだから嫌いになれない。鉄雄の自分に対するコンプレックスを受け止める金田も最高で、彼が乗るバイクには、鉄雄でなくとも憧れた。AKIRAでの共演が無かったら、「ここはグリーン・ウッド」で岩田光央と佐々木望が共演することも無かったんだろうなぁ....

タイトルなし.gif

タイトルなし2.gif




なんにせよ、AKIRAが手描きアニメの到達点であるのは紛れもない事実だ。

当時でも破格の制作費(10億円)をかけ、日本中から腕利きのクリエーター(なかむらたかし、森本晃司、山城祥二etc...)を集め、公開時に間に合わなかったものは、ビデオ版でガッツリ修正まで加えた。3DCGでは無理であろう味わいも含め、AKIRAには絶対の個性がある。

年寄りの思い出補正に過ぎないと一蹴せず、ほんの少しでも良いから見てみて貰いたいものだ。




今日は劇場公開から30年、来年にはAKIRAの世界に我々は追いつく。

キナ臭いところばかり追いついている気がしなくもないが、AKIRAの世界のように、どんなことが起きても最後には希望が残る世界にして行ければ良いなと思う。

そして50周年100周年も語り草となっていたら最高だろう。