とうとう馬すら萌えに還元してしまう優しい世界「ウマ娘 プリティーダービー」及川啓(監督)/P.A.WORKS(制作)/感想

今期のアニメの中で、真っ先に見終わったのがウマ娘だったのだけど、普通に面白くて無茶苦茶な擬人化すら、すんなり受け入れている自分がいた。


これは異世界から受け継いだ輝かしい名前と競走能力を持つ
“ウマ娘”が遠い昔から人類と共存してきた世界の物語。
田舎から都会のトレセン学園に転校してきたウマ娘・
スペシャルウィークは、チームメイトたちと切磋琢磨しながら「日本一のウマ娘」の称号をかけて
<トゥインクル・シリーズ>での勝利をめざす!
by公式サイト イントロダクション




何せ性別の改変どころか、競走馬を美少女に擬人化させ学園スポ根をやると云うのだから、少しでも競馬を知っている人からすると正気の沙汰ではない話(犬の散歩中のおじさんが、ウマ娘に人参を差し出すシーンに”お前いつもそんなもの持ち歩いてるのか!"と独り突っ込んでいた)なのだけど、70年代から2000年以降の名馬まで揃えたウマ娘達から滲み出る実馬の名残や、実際の成績、エピソードなどを放り込んでくるものだから、ついつい見続けてしまった。Cygamesブランドのアニメはどうしてこんなに出来が良いのか?


特に中心となるウマたちが90年代のウマなのが良かった。丁度あの頃は高校の同級生の影響で競馬中継を見たり競馬雑誌を購読するくらい競馬を楽しんいた時期だったので、それらの馬が登場する度懐かしさでいっぱいになってしまった。競馬を知らない人でも知ってるオグリキャップ(アニメではほぼ出番なし)、骨折という苦難を乗り越えG1の舞台へ返り咲いたグラスワンダー、三冠を決めるまでの強さが尋常ではなかったナリタブライアン、そして主人公であるスペシャルウィークもさることながら、絶頂期に粉砕骨折で予後不良となってしまったサイレンススズカの存在も見逃せなかった。だいぶ記憶は曖昧ではあるけれど、ライスシャワーとサイレンススズカの骨折だけは忘れられない。

確かあの時期は芝の状態が硬めで、スピードが出る分馬の脚への負担が大きかったのだと聞いた気がする。馬がびっこを引きつつ歩く姿には本当に胸が締め付けられる。人間の都合で走らせ、金儲けや娯楽として楽しんでいる僕らには、彼らの不幸に感傷を抱く権利すらないのかもしれないが、強く美しい馬の駆ける姿が損なわれるのは本心で哀しいのだから救いようが無い......







僕は一度も馬を賭けの対象としてみたことはない。純粋に馬たちのスピードに魅せられていた。後方から信じられない末脚をみせる馬にも痺れるが、逃げをうって二の足を使う馬はもっと好きだった。

結局、スズカの死のあたりから競馬を観なくなった。自分と競馬が抱える罪に嫌気がさしたのか、罪を背負ってでも競馬と向き合えるほどの情熱が無かっただけなのか、自分でももうよくわからない。


でも、サイレンススズカの行く末を改変したウマ娘のスタッフ達の気持ちは少し分かる。いや、僕以上に多くの競馬ファンがスズカのその後を見たかったはずだ。

ウマ娘に使われている馬達のほとんどは、既に鬼籍に入っているけれど、僕らが彼らを忘れ去るには途方も無い年月が必要になるのだろう。








追伸、実際のレースでの姿を一切見たことないゴールドシップが大好きです🐎


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