僕には、是が非でも行く(ライブ)と決めているアーティストがいた。amazarashiのことである。
どんなに寒い時期の開催でも嬉々として開場待ちの列に並んだし、わざわざ3時間かけて来たら延期だった去年も、決してチケットの払い戻しなどする気にはならなかった。amazarashiの核である”秋田ひろむ”の歌に挑む真剣な姿勢が好きで、彼と真っ直ぐ向き合えるライブ会場の空間は、僕の中で掛け替えのないものになっていた。
ところが、今年は逢いに行かないことを選んだ。苦渋の選択だった。
”秋田ひろむが丸くなって来たから”
”他の中心メンバーが休んでいるから”
”また次も来てくれるだろうから”
理由は色々と思いつくけれど、1番の理由は”今1番観たい人がNakamuraEmiだったから”だろう。
もぎられることの無かったチケット....南無.......
このグサリと刺さる曲を軽快に歌い上げる彼女の声を初めて聴いた日から、ずっと生で観たくて仕方なかった。amazarashiにも通ずるところのある辛辣さと自分の弱さを認める姿勢の良さと、情感豊かでパワフルなボーカルは絶対ライブで映えると確信していた。
今回のツアーは、大都市以外二人で回るツアーであったから、アコースティックなライブになるのだろうと、なんとなしに思っていたのだけど、たった二人のステージとは到底思えなかった。ギターのカワムラヒロシさんのアレンジがキレッキレだったのもあるけれど、スピーカーが割れるほどのNakamuraEmiのボーカルの力強さが凄まじいうえ、ちょいちょい彼女が違う楽器を鳴らすものだから、一曲一曲の個性がしっかり見えて、アコースティックにありがちな単調さをまるで感じなかった。
やはり確信は正しかった。amazarashiと開催日が被っていることに気づいていたら、もしかしたら今年も彼女のライブを我慢していたかもしれないし、うっかりチケットをとってしまって本当に良かった。もしNakamuraEmi側がわざとamazarashiと打つけたのなら、とんでもない策士がいたものである。出来れば別日にお願いしたい(懇願)
それはそうと、これまで自分の為に歌を書いてきたと彼女はMCで言っていたが、全然そんな風には感じず、自分のことを歌っているであろう曲も人間味があって素晴らしく、ステージ上では自分以外への配慮に溢れた態度や、何より歌えることが嬉しいと言わんばかりの抜けるような笑顔も印象的だった。到底独りよがりなアーティストには出来ないライブで間違いない。
彼女は自分も含めた”誰か”の人生を歌にするのが上手く、直接的な手触りを大事にしたい人でもある。だからNakamuraEmiを好きになる層は同年代か年長者が多い。
Nakamuraemiのライブ層は大人の言うこと聞く層というより大人の言うことを聞いておけばよかった層だな
— AG⇛6月3日NakamuraEmi (@agsandayo) 2018年6月3日
でも、本当はもっと若い子にこそ聴いて欲しいような気がした。それこそ「大人の言うことを聞け」を聴けよと言いたい。そうすればもっと大きい会場でも演れることだろう。ただ逆に小さい会場で二人キリでお客と向き合ったからこその仕上がりだったのもあるから、大きな会場だから良い公演になるとは一概には言えない。とりあえず広い層に彼女の歌が届いて欲しいと心底思ったのは確かだ。
amazarashiとは似て非なるアイロニーな世界で待っている。NakamuraEmiと云う歌う女が。
後は君次第だ。
NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5~Release Tour 2018~
6/3 札幌cubegarden セットリスト
1.Don't
2.大人の言うことを聞け
3.かかってこいよ
4.N
5.スケボーマン
6.ヒマワリが咲く予定
7.波を待つのさ
8.星なんて言わず
9.新聞
10.メジャーデビュー
11.教室
12.モチベーション
13.YAMABIKO
アンコール
14.女子達
バンド編成のツアー日程
2018.6.22(金)@福岡DRUM Be-1
2018.6.23(土)@高松DIME
2018.6.27(水)@EX THEATER
2018.6.30(土)@大阪BIG CAT
2018.7.1(日)@名古屋CLUB QUATTRO