メカや絵作りに関しては言うまでもなく素晴らしかったから何も書かない「ブレードランナー 2049」フィリップ・K・ディック(原作)/ドゥニ・ヴィルヌーブ(監督)/リドリー・スコット(製作総指揮)/感想

※ネタバレもあります




大昔から生命としての定義付けが難しい存在の物語は作られて来た。継ぎ接ぎの歩く死体、時を飛び越える驚異の鉄屑、愛らしいゴミ掃除係、挙げだしたらキリがない。

そんな中でも、ブレードランナーに登場する人では無い者達”レプリカント”の物語は格別で、人間よりも遥かに知能も身体能力も上回るレプリカント達が、自らに課せられた運命を呪い、足掻き苦しむ唯一無二の哀愁を僕らに刷り込んできた。


しかし、続編も同じように素晴らしい映画に仕上がるとは限らないわけで、2049が公開された時、劇場には脚を運ばなかったのだが、こうしてBDで鑑賞した今となっては、正直言って失敗したなぁと思っている....





舞台は前作から30年後の地球。環境は悪化の一途を辿っている。主人公はレプリカントでありながら同族を処理するブレードランナー。人間からは勿論のこと、レプリカントからも蔑まれる孤独な毎日。彼はいつものように逃げ出した旧式のレプリカントを処理するのだが、その現場で出産痕が残るレプリカントの遺体が収納された箱を見つける。子供の存在を隠蔽したい者、利用したい者、それぞれに翻弄されながら主人公は自分のルーツを追い求めるのだが......




物語としては目新しいことが一切ない。明らかにレプリカントより劣るくせに優位性を誇示する人類と、虐げられても人間に尽くすレプリカントとの関係性は親と子のそれであり、子供の成長と自らの衰えを受け入れられない自尊心の塊のような親と子の拗れたドラマそのものだった。いっそSFでなくとも描ける内容ではある。

でも、ブレードランナーの世界観で演るからこそ、唯一の優位性を失うかもしれないとなった時の人の惨めな姿や、その惨めな存在の言うことを聞かなければならない者の悲哀が浮き彫りになっているのも確かで、なんとも言えない生々しさが重苦るしくも切なかった。作り物である主人公がAIの女性を心の拠り所にしているのなんて、皮肉過ぎて他人事に思えない.....







最後まで貧乏くじを引く主人公だったが、自分が選ばれた存在ではないことが分かっても、前作の主人公であるデッカードを選ばれし娘の元に連れていってやる良い男だった。

彼はあのままどうなったかは分からない。おそらく死んだのだろう。

もしも更に続編が作られるとしたら、彼はもう一度命を手に出来るのだろうか?.....