信じていない者も救われる「リルリルフェアリル」スタジオディーン(制作)/感想

いつの間にか幼児退行でもしてるかのように、子供向けアニメを観る頻度が増えてきた。別に子持ちだから一緒になって見てしまっているわけでもなく、ついつい観てしまっているのだ。頭でっかちな正しさの競い合いや、奇をてらったファンタジーに草臥れた脳には、王道路線の優しい世界がオアシスに感じられるのかもしれない。


「アニメを観て泣くのは思考停止だ」と、亡き高畑勲監督は言っていたそうだけど、その思考停止に拠り所を求めている自分がいるように思う。誰もが高畑さんのように強く生きられるわけではない。ぼーっと綺麗な世界を眺め泣くのが必要な瞬間も絶対あるはずだ。






”信じる者は救われる”だなんて書くと、どこぞの押し付けがましい宗教のようではあるけれど、夢のある世界というのは信じる者にしか門扉を開いていない節はある。そんな世界あるわけないと言ってしまえばそれでお仕舞いなのだ。


リルリルフェアリルは妖精のことをフェアリルと呼び、それを信じる人の前にはフェアリルが現れるという世界で、フェアリルの世界と人間の世界は密接に関係していて、人間がフェアリルの存在を信じなくなったら世界が滅ぶと言われてる。似たようなことを宗教家が口にしていたら相当怖い話だが、子供向けなら当然の設定だったろう。


様々な植物や生き物の特徴をもった可愛らしい(見た目が微妙な連中も心根だけは可愛かった)フェアリル達が、某魔法学校のような場所で魔法を学びつつ、フェアリルの世界だけでなく人間の世界とも関わっていくなかで、何度となく世界を危機に陥れようとする者が現れるのだが、その者達ですらこの優しい世界にとって大切な存在で切り離して考えることは出来ない、と収束していくから、すっかり淀んでしまった僕のような人間ですら受け入れてもらえているような気になっていた。ちょろいね自分…..





フェアリル達の人間に対する愛情表現のいじらしさや試練も素晴らしいドラマを生んでいたけれど、弱い自分との付き合い方もちゃんと演っていたのが良かったと思う。信じていないように見えて、実は信じてみたい人の心すら救ってくれるアニメになっていたのではなかろうか?2年前うっかり観始めて本当に良かった。


ただ、人間側の主人公である花村望は少々怖い男の子だった。中学生設定に思えない見た目と中身でフェアリルの存在を信じているのは良いとして、そのフェアリルに対する愛が大き過ぎて心の穢れた僕にはサイコパスにすら見えた。人間をやめてまでフェアリルになろうとする行き過ぎた愛情表現が怖かった。

CVである花江夏樹くんの色っぽい声色も影響しているのだろう。彼の声には得体の知れない誘惑を感じる。始まった当初も彼で大丈夫か?と考えたのを思い出した。女児向けアニメとしては正しい人選なんだろう。お客である僕が歪なだけで....



なんにせよ良いアニメでした。フェアリルにはいて欲しい。いたらいいな....

C3A9979D-71C0-4387-BECE-4EE5DC68C917.jpeg