高畑勲という自由人と遺された人

昨日は朝からショッキングなニュースが飛び込んできた。高畑勲監督の訃報である。

スクリーンショット 2018-04-07 6.07.46.png



何がそんなにショックって、常にあらゆるものに興味を持ち、どんな些細なことでも調べ尽くしてから前へと進む制作手法が許される唯一のアニメ監督だったのではないか?と思うからだ。

通常世の中でそんなことが許されるのは相当名の売れた芸術家だけ。高畑さんのアニメは確かに昔から素晴らしかったものの、70〜80年代は日本のアニメを芸術として認めて貰うには厳しい時代であり、ジブリの立ち上げに参加し、弟子であり盟友であった宮崎駿が大衆向けの娯楽作品を連発しなければ彼の道楽の為のお金など無かったはず。「ホーホケキョ となりの山田くん」も「かぐや姫の物語」も当然存在出来なかった。


何故ジブリと宮崎駿はそこまで高畑勲に甘かったのか?そう思う人も多いだろう。なにせ宮崎駿がナウシカで稼いだ金をドキュメンタリー映画に費やし宮崎が家まで抵当にいれる羽目になったことまであるのだ。どう考えても普通なら付き合いをやめるところだろう。それでも彼らはそうしなかった。何故か?

ジブリの2人の巨匠と付き合い続けてきた鈴木敏夫氏の話をラジオで聴いた限りでは、アニメーターとしての青春を全て高畑勲に捧げた宮崎駿の屈折した愛情が高畑の勝ち逃げを許さなかったという印象があるし、敏夫氏はそんな宮崎の対抗心を上手く誘導するため高畑勲監督に映画を撮らせ続けたように思える。物造りに携わる者達の愛憎関係は側から見る分には本当に面白いものだ。たかが数万円の損失で溜息を吐く僕など到底彼らの輪に入れないだろう。







高畑勲監督には色々と驚かされたが、やはり亡くなったことが一番驚いた。また鈴木敏夫氏の話になるが、氏のラジオで宮崎と高畑と健康診断を受けた時、一番健康だったのが高畑さんだったというエピソードも聴いていたし、何より髪が黒々としていて見た目も若々しく、あぁ、好き勝手に周囲を振り回す生き方してると若くいられるんだなぁと思っていたのだ。どんなに健康そうに見えても死ぬ時は本当にあっという間だ....

欲張りな高畑さんだから、悔いのない人生ではなかったに違いないが、これだけ沢山の作品を遺せているのだから素直に成仏して欲しいものである。



というか、むしろ高畑さんを失った宮崎駿の方が心配ではある。伴侶を失い気が抜けて自分もポックリ逝くお年寄りみたいになったり、せっかく立ち上げた新作「君たちはどう生きるか」がモチベーションの低下によりスッカスカの映画に仕上がったりするのではなかろうか?

風立ちぬの時、これが遺作になるだろうと思ったものだが、せっかく作るのなら悔いのないようにやり遂げてから高畑さんに文句の一つも言いに行ったら良い。まあ素人に言われるまでもなく、意地でも良い物にしてやろうと思っているだろうけれど.....




最後に、パクさんとパクさんを支え続けた人達全てにお疲れ様と有り難うを捧げます。