バブル期の寵児らしい口癖「F」真下耕一(監督)/六田登(原作)/スタジオディーン/懐アニ/感想

3ヶ月を一括りにし、年間200本を軽く超える本数が作られるTVアニメ。何故作ったのかよく分からない出来の物も少なくないが、年間2兆円を超える金がアニメで動くというのだから”そういうこと”なんだろう。

一アニメファンとしては、なんでもかんでも収益のためにアニメ化すれば良いというものでもないだろうと思うものの、アニメになったお陰で素晴らしい原作・作者を知ることが出来た、みたいな場合も多々在るから悩ましい。

自分の後ろに立つことを許さないのがゴルゴなら、自分の前を行くのを許さないのが俺だ!と言わんばかりの男が主人公だった「F」も、アニメ化のお陰で知った作品の一つだった。




Fは単細胞で他人に迷惑ばかりかけ、唯一自分に付き合ってくれる友人の改造したトラクターでベンツに喧嘩を売るような阿呆の主人公が一人の男に路上レースで負けたことをきっかけにレーサーへの道を辿り始め、最後にはF1の舞台にまで立ってしまうというサクセスストーリー。

熱いレース表現もさることながら、主人公である”赤木軍馬”のドロドロな人間関係が生み出す哀しいドラマの数々が忘れ難い。愛人の子である自分と父との衝突。ライバルとの死闘や我が子のように思っていた少年との別離。傷口に塩を塗るかのように絶え間無く続く試練に何度心を抉られたかしれない。良くも悪くも昭和が産んだ物語だった。




「誰かのせいにするのなら その誰かに生かされてるんだ」

似た者同士でぶつかり合う赤木親子を見ていたら、何気なくamazarashiの「ヨクト」の歌詞が頭に浮かんだ。母が死んだことを父親のせいにしてしまいたくなる軍馬は、父親のおかげで生きる活力を持続出来たのだと言える。僕も「F」のせいで日々を乗り切ってこれた(かな?)

アニメ版は大事なシーンに修正を加えているため、原作を読んだ今観直すと少々残念に感じる面もあるけれど、要所要所で原作の良さを出せているし、関俊彦さんの若い声も新鮮で普通にまだ楽しめる。ネット配信は無いものの、ギリギリDVDのレンタルで観ることも出来るから、ここに迷い込んだFを知らない世代、もしくはアニメ版を知らない人は気が向いたら見てみて欲しい。泥臭く生きるのも悪く無いと思わせてくれるはず。監督はまさかの真下耕一さんだよ...w



ちなみに原作である「F」そして続編の「F REGENERATION 瑠璃」共に各電子書籍サイトで無料配信中。

良い時代になったもんだ.....






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