人とAIが仲良く暮らす未来など俺には見えない 「ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity?」森博嗣/講談社/感想

ひと月ほど前にひいた風邪が、まだ完全に治らない。それどころかぶり返して来たような節もある。

いくら不摂生な生活をしているとはいえ、こんなにも免疫力が下がっている自分にがっかりする。

早く本作のような人がなかなか死ねない時代が来て欲しい........かな?






ウォーカロンと呼ばれる人口細胞を使った存在を切り口にして、自然の摂理に逆らい続けた結果子供が生まれなくなった人類と、それを観測し続けるAIの在りようを森博嗣先生らしい価値観でまとめあげている本作、今回も実にSFで面白かった。

ざっくりと説明すると、禁じられているクローンを擬似的に出産することが出来るウォーカロンが存在するのでは無いかという情報を”ペガサス”というスーパーコンピューターから得た主人公が、そのウォーカロンが居る可能性の高い富豪の家に赴き、そこで家族の噛み合わない愛情の結果に打ちのめされるという展開なのだけど、どれだけ“死”から遠退いても人間は愚かで、それに近づいているAIも同じように愚考している所に現実味を感じたのと同時に、やっぱり畏怖を禁じ得なかった。

まるで賢過ぎる子を持った親の気分である。いつ「こんな親は必要ない」と言われるか分かったものではない。しかも本作に登場するAI達はウォーカロンの身体をコントロール出来るから、精神的に不完全で子も産めない人間など彼らからすると邪魔でしかないのだ。

最高峰のAIであるペガサスは人類を減らすべきだと提言する。これまではなんだかんだ言っても人類に敬意を払ってくれているAIばかりだったが、そろそろAIと人の生き残りをかけた辛い展開になって行くのだろうか?人が儚い命に一喜一憂するのも良いが、人類が居なくなった地球で、AI達が何かを創り続ける姿なんかも面白そうではある。森先生はこのシリーズをどう終わらせるつもりなのだろう?







無性にブレードランナー2049を観たくなった。でももう今週で上映も終了だろう。肝心な時に風邪などひいてどうする俺.....