この作品から救われて今ホっとしている...「ホサナ」町田康(著)/講談社/感想

読み終わって真っ先に思ったのは

「俺は一体何を読んだのだろう?」

だった....






とある女性に誘われ、主人公は犬好きと、その愛犬が集まるバーベキューに参加するのだが、それが運の尽きだったのか数奇な出来事に巻き込まれていく......という話。公園デビューしたばかりのお母さん的な立ち位置の主人公が、クセのある愛犬家集団に辟易しているだけかと思いきや、突如状況の掴めない事態に陥り、主人公が狂っているのか世界が狂っているのか分からなくてなっていくのが特徴的だった。

これまで読んだ「告白」「ギケイキ」もそうだったが、今回は一際おかしな文字の使い方や文法で読み難かったし、夢の内容を垂れ流したかのような自己完結展開だから、まとまりのあるストーリー性を期待すると肩透かしを食らう。

結局、自意識過剰な主人公が、周囲のエゴと自分のエゴを突き合わせて自滅していく町田康作品お馴染みの風景に落ち着くわけだが、どうも主人公が好きになれないし、無駄に思えるディティールや煙に巻こうとする言葉遊びも鼻についた。この人は「ギケイキ」くらいのボリュームでサクッと書いた方が後味が良いなと思った。





きっと、書こうと思えば「告白」のように書けたに違いない。でもあえてそれをやらなかったように感じる文字遊びだった。やはり同じような文章を書き続けるのは面白く無いのだろう。

中盤を超えてからが特に辛かった。暗喩的表現ばかりだし、ストーリーに関係ない予備知識やら、あまり使われない漢字を当ててくるからサクサク読めず、イマイチ山場も無いから先を読みたい気分になれなかった。なのに良くぞ最後まで読んだものだと我ながら思う。なんだかんだ言っても、自分の悪い面を映したような主人公ではあるし、このまま忘れてしまうのも忍びなかったのだろうか?.......


とりあえず、この先の作品に繋がる実験に付き合ったのだと考えることにした。自分好みの作品を求めるのも良いが、そのためには作者のモチベーションが肝心だ。書かぬ者は“座して待つ”これしか無いのである。




好きになった方が負けという真理だけは揺るぎそうに無い一冊だ。









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