1年限定の復活劇「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 Blu-rayメモリアルボックス」高山文彦(監督)/感想

ガンダム初のOVA、しかも富野由悠季製ではないという点でも初(SDガンダムは除く)だった機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争が、とうとうブルーレイになった。


俺の誕生日に発売とか泣けるわ....



第1巻「戦場までは何マイル?」発売から28年目でのBD化だったわけだけど、何故このタイミングだったのか?いっそ30周年に合わせても良かったような気はする。とはいうものの、やっぱり0080は良い。4Kスキャニングによる元のフィルムの味わいも損なわれておらず、1年戦争の片隅で起きていたであろう人間ドラマとして今観ても泣けた。きっと本作のせいでジオニストとして生きる決心がついたガンダムファンも少なくないだろう。多分。


映像特典の面では微妙だが、今回のBDを買って良かったのは今まであまり触れてこなかった(当時の僕が0080絡みの本を読んでいなかっただけかもしれない)製作の裏話がブックレットで読めたこと。富野監督ではない監督を立ててガンダムを作ったプロデューサーの苦労話(高山文彦監督だけでなく、押井守監督にもガンダムの話を持っていったり、脚本を田中芳樹さんにお願いしてみたりしたそうな)であるとか、オジさんキャラを描くのが苦手だったと吐露するキャラデザの美樹本晴彦氏が語る高山文彦像や、制作進行が見た現場のぴりぴりした感じなどが存分に伝わるインタビュー記事が面白かった。インタビューを受けたどのクリエーターも高山監督から何かしらの影響を受けたと口にしているのが印象的だった。流石”仙人”と呼ばれる伝説の男である。


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業界から離れていると好き勝手に言われるらしいw




0080を境に、ガンダムは数多くの番外編、もしくは新規シリーズが作られることになり、それは未だに継続中だ。しかし、初代から連なる”宇宙世紀”物で無理のない外伝は0080ただ一つだと僕は思う。勿論多少強引でもシチュエーションが楽しい外伝は沢山あるものの、富野由悠季製ではないのに自然と受け入れることが出来るのはこの作品だけだ。今回のBDに付いていたブックレットのインタビューを読んで、その理由がよく分かった。ここまではありえたかもしれないという線引きをしっかりと考え仕事に挑んでいたのが大きかったのだ。特に高山監督がガンダムのファンでもなんでもなく、0080の仕事を引き受けてから客観的にガンダムを鑑賞したのも功を奏したように思う。アニメファンが作るアニメより、実写ファンが作るアニメの方が痺れる絵作りが出来るのと似ている。


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雨に濡れるザクのマニュピレーター。打ち捨てられた感が実に痺れる

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MSの出番は少ないが印象的なカットが多い


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おっさん2人の深刻な横顔が僕のお気に入り


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のちに「M.S.ERA0001~0080―ガンダム戦場写真集」として発売されたほどEDの絵一枚一枚にドラマがあって素晴らしかった




ガンダムがアホみたいに出て来る作品も、それはそれで面白いが、ガンダム=特別という感覚は薄らいで大量生産のお安い商品に見えなくも無い。NT-1アレックスも試作機という扱いで地味な点が良いと思っている。終盤まで見ていると、人間ドラマとしてじわじわ来るものがあった08小隊にしても、量産型のガンダムが大量に登場してゲンナリさせられた。なにせガンダムの量産機といえばジムなのだ。こういう整合性は案外大事だったりする。


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シンプルで雑味のないデザインが良い




とは言っても既に一人歩きしているものを止めることは生みの親にも無理な話だ。初代好きからしたらたまったものではないが、それぞれの世代がそれぞれのガンダムを愛するのを否定するのも何か違う。だから、僕は僕でアル少年の勇気とエゴを、バーニィの優しさと愚かさを、そしてクリスの知らない罪を代わりに胸に刻んで生きて行けば良いのだろう。


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大好きだよバーニィ....アル.....


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サイクロプス隊......





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戦いの跡には....「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争/高山文彦/サンライズ/1989年/アニメ」