俺の夏アニメベスト1位「メイドインアビス」つくしあきひと(原作)/小島正幸(監督)/キネマシトラス(制作)/感想

僕にとっての良い作品の定義として、真っ先に浮かぶのは『感情を揺さぶるのが上手い作品

幸せな時間と不幸な時間の振り幅が大きい物になればなるほど好きかもしれない。



あんなに幸せそうだったのに

こんなに不幸だったのに...


そういう状況にガンガン振り回されることで、幸福な時間の貴重さが骨身に染みる瞬間がたまらない。だから無条件でツボに入った「この世界の片隅に」に比べ、「君の名は。」に若干の不満を覚えるのもそういった事情によるのだろう。主役の2人がすれ違う歩道橋のシーンで終わっていれば、不満など微塵も残らなかったはずだ。

9月いっぱいで放送を終えたメイドインアビスにも、同様の振り幅の残酷さを感じ、当然のように涙腺が決壊したことは言うまでもない......




いつ出来たかしれない深い縦穴”アビス”から見つかる遺物で成り立っている街”オース“。主人公はその街の孤児院で見習い探窟家をしている少女リコ。とある日、好奇心旺盛な彼女がいつものように仲間と遺物探しをしていると、少年の姿をしたロボットを見つけ、腕が伸びたり掌から強烈な熱線を発したりするロボットのレグを、リコは探窟の仲間として迎え入れる。

そんな矢先、リコの母親であり伝説的な探窟家であるライザの白笛(適正や練度によって異なる色の笛が探窟家に与えられる。白笛が最高峰)が見つかり、一緒に見つかったメモを見たリコは、アビスの底で母が待っていると信じ、レグと共にアビスの深淵へと旅立つことになる.....
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子供達が可愛いということ、劇場版のように音が良いこと、そして避けたくなることをしっかりやっていることが良いな、という初回の印象を一切損なうことなく最終話までやってくれたのが本当に嬉しい作品だった。少々倫理面で横槍が飛んで来そうな性的な描写やグロ表現、そしてトラウマ物のシビアな展開に毎回激しく感情が揺れ動き、可愛い生き物さえ食料として見てしまうリコが、いつのまにか2次元の人とは思えなくなっている自分がいた。

菅野よう子のサントラでも馴染み深いRaj Ramayyaがボーカルをつとめる「Underground River」も最高なOST




アニメは本当の意味での命を登場人物に宿すのは大変だ。予算や技術の問題でキャラに動きが少ないことが多いし、原作自体が人が生きるために必要な行為の描写に乏しかったりすると、受け手が所謂”中の人”ばかりイメージしてしまうなんてこともざらである。しかし本作はそういった”生きる為に”の部分(生き物を捌いたり、食物連鎖で自分達が食われる側になりそうになったり)をしっかりやっているため、彼らに対する気持ちはどんどん膨らんでいった。誰がこのキャラの声をやっているんだろう?だなんて、僕はひとつも考えなかった。あくまでもリコはリコであり、レグはレグだったのだ。

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リコの孤児院仲間
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旅で出会った少女少年や”成れの果て”


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優しい大人もいれば

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怖い大人もいる...



夏アニメの中でも、本気で多くの人に見て欲しいと思える作品だったから、これ以上のことは話さない。

幸せな時間だけのお話ではないし、辛いシーンの方が多いような気もするが、まだ見ていない方達にはメイドインアビスの振り幅の絶妙さを是非とも自分の眼で確かめて欲しいものである。

お願い、この通り

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美術も最高だよ.....