大人になってゆく”彼”を、誇らしく思う....なんて、素直に言えたら苦労はしない...「君の名は。(Blu-rayスペシャル・エディション)」新海誠(監督)/感想

毎日毎日、ただひたすら今日を生きていたら、終わらない夢でも見てるみたいだなと時々思う。


そのうち目が覚めて、長くて疲れる夢だったと、あっさり忘れてしまいそうな人生だ。




これまで何度も重要な決断を迫られる度、最後には押しの強い人の云うこと聞き続け、主体性など何処吹く風で生きて来たせいかもしれない。気付けば”何故こうなった?”などと、己れの不甲斐なさを棚に上げ、周囲に転嫁したがる自分がいて虚しくなる。汗水垂らして働くようになり、少しは戦う自分になれた気はするけれど、肝心なところで逃げ腰になるのは直りそうになくて、同じように先へ進めない人を見つけると安心してしまう。根っからの臆病者なのだ。


そんな樣だから、同志のように思っていた男が、どんどん変わっていくのもたまらなく寂しい....



「君の名は。」のメイキングドキュメンタリーや、メインキャストの神木隆之介と上白石萌音、それにRADWIMPSを交えたビジュアルコメンタリーだけでも満腹になれるのに、新海誠監督が新しく編集した「スパークル」のMVだの公開記念特番だの主題歌が英語になっているVerの本編まで見れて豪華過ぎる(僕が買ったのはBlu-rayスペシャル・エディション


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新海監督自らが観客の質問に答えているコーナーもあるブックレットも読み応えあり









まさかの大ヒットに繋がった本作を手掛けた新海誠は、元々ニッチな作品を作る監督だった。世間の需要云々より自分が見たい風景を優先する自己完結型の制作スタイルに勇気付けられた人は数知れないだろう。”叶いそうで叶わない”お得意の切ないストーリー構成は、裏を返せば叶えたく無いだけにも思えて、お祭り自体よりお祭り前夜が大好きな僕との相性も抜群だった。しかし、『君の名は。』はひと味違った。独特の美術センスや、もどかしい男女の関係はこれまで通りだったものの、キャッチーなOPや蛇足ともとれるラストシーンもそうだが、登場人物のコミカルなやり取りも新鮮だった。


僕は始め、劇場に行くのを躊躇った。新海誠作品を見た事もない人達が素敵なハッピーエンドだと口々に言っているのを知り、早々に腰が引けてタイミングを逃してしまったのだ。それでもどうしても観たくなって、最終的には映画館へと足を運んだわけだが、思っていた以上の充足感と、蛇足に感じる幕引きの板挟みに逢い、やはり予測通り複雑な気分になってしまった。これまでの彼ならば、歩道橋の上ですれ違うシーンで切なく終わったはずだ…..という気持ちは、いまだに変わらない。




だがしかし、BDまで買って本編そっちのけで特典映像の数々を見ていると、新海誠が実に嬉しそうに携わってくれた人達の仕事っぷりを話していたから、もう野暮なことは言わないでおこうと思った。柔軟に周囲の意見を取り入れつつ、自分の作家性もちゃんと残した彼は、着実に成熟した人間になりつつある。そもそも、あーしたいこーしたいという想いをちゃんと行動に移している彼に自分を重ねるだけ失礼な話であった。


前編新海誠によるビデオコンテもBDの特典に入っており、神木隆之介も真っ青な熱演もちらほら見られた。いっそ瀧くんのCVは新海誠でいけた(断言)









他者の強さを認め、己れの弱さを知る男だからこそ、この映画を生み出せたに違いない。


独りよがりで周囲の手を借りる=敗北などと思っているうちは、なにごとも成し得ないのではないかと思った。特に今のような時代ならば尚のこと厳しいだろう。






『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥』




そんな言葉がふと浮かんで消えた….





それにしてもスパークル.....





彗星、綺麗だったよな.......


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ぼくも、いつかRADWIMPSの「デート」が鳴り響く恋をしてみたいものだ.......








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