夫婦という甘く切ない風景「青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light?」森博嗣/講談社/感想

やめるやめる詐欺ってわけでも無いけれど、嬉しいことに森博嗣さんはまだ本を書いてくれている。しかも物書きとしてのモチベーションを持ち直したかのように質も良い。新しいブログも始めたようだし、このまま生涯現役であってくれたら最高なのだけど、そればっかりは先生にも先生の人生があるから仕方なの無い話だ。




もう何度もここで書いているかもしれないけれど、森作品の中で今1番好きなシリーズは間違いなくWシリーズ。初の本格的なSFシリーズで百年シリーズとの繋がりもあるから実に楽しい。主人公は人間とウォーカロン(人工細胞によって作られた生命体)を見分ける研究をしている”ハギリ”という博士で、なぜか毎度のように命を狙われ騒動に巻き込まれてしまう。


人類がなかなか死ななくなり、子が生まれない未来を舞台に、人に取って代わるかもしれない存在(ウォーカロン、AI等)を交えた森先生お得意の命の定義を揺さぶる展開もさることながら、毎度命を狙われるハギリ博士と、そのボディガードであるウグイ女史との距離感の変化も見所で、最新刊である本作では夫婦同然の掛け合いに発展していて微笑ましかった。AIと人間の女性とを天秤にかけているハギリ博士を見ていると、Wシリーズは結構ラノベ気質なのかもしれないとか思ってしまった。実に羨ましい....


僕は女性に縁がない。というか、そもそもが縁を結ぶことが恐ろしくて仕方ない。でも、互いに想いあっているのに素直になれない者達の不器用なやりとりを見るのは大好きだ。ささきすばるさんとの夫婦仲も、ハギリとウグイのような距離感なんだろうか?気になる気になる.....






今朝テレビでニュースを見ていたら、長らくドラえもんを務めた大山のぶ代さんが認知症になってからも、ずっと寄り添っていて夫の砂川啓介さんの訃報が飛び込んで来た。大山のぶ代さんとの仲睦まじい様子や、妻を置いて先には逝けないと語る砂川さんの生前の姿に泣きそうになった。


「こんな夫婦にならなってみたい」


素直にそう思った....




どんな少子化対策よりも、こんな素敵な夫婦達を世に知らしめる方が効果的な気がしてならない。


まあ、あまりにも出来の良い見本を目にしてしまうと、「こうじゃなきゃいけない!」という気持ちが邪魔になって、逆効果かもしれないけれど........





青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light? Wシリーズ (講談社タイガ) -
青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light? Wシリーズ (講談社タイガ) -







関連過去記事

辛い時こそ生きている僕「私たちは生きているのか?」森博嗣/講談社/感想