僕でも知ってる凄い人「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(原題 Night of the Living Dead)」ジョージ・A・ロメロ(監督)/1968年/感想

せっかくの連休を当然のように棒に振ってダラダラ過ごしていたところに、ゾンビ映画の先駆者である”ジョージ・A・ロメロ”監督の訃報が届いた。享年77歳である。宮崎駿(76歳)も危ないな...




僕がゾンビ映画をまともに観るようになったのは20代半ばのこと。友人が兎に角ロメロゾンビが大好きで、あれこれ見せられているうちに自分からゾンビ物を観るようになっていた。それまでもホラー映画は沢山観ていたものの、素人目に観てもロメロ映画は一味違い、醜く粘着質なゾンビの圧力以上に人間の悍ましさこそ恐ろしいかった。それはロメロ作品第一号の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」でも存分に描かれている。






七人の男女が、夢遊病者のように歩き回り襲いかかって来る連中から逃れ同じ民家に逃げ込み、それぞれ生き残るための行動を取ろうとするのだが、意見がぶつかったり決死の脱出計画を実行しても足並みが揃わずピンチに陥って行くという、端的に説明するとありきたりなプロットだが、制作されたのが1968年であることを考えると、黒人の男が保守的な白人の男と衝突することには違う意味があるように思えるし、ヒロインに思えた白人の女が生き残らないことにすらなにかしらの意図を感じてしまう。

映画の中で、登場人物達が情報を求めてテレビやラジオをつけると流れるニュースのリアルな作りや、終盤のゾンビ(本作ではリビングデッドと呼ばれている)を処理する警備団と黒人男の最後、そしてエンドロールに至るまでの渇いた空気感にはなんとも言えないものがあり、ありがちなホラーの後味とはまるで違うから、今見ても価値があるなと思った。

本作にはロメロ本人も脚本・総指揮で参加しているリメイク版があって、ついでにそれも観直してみたのだけど、オリジナル版より娯楽性が増している分失っている物もあるが、より生者の負の感情の流れが鮮やかになっており、人間の醜さが存分に表現出来ているから、これはこれで面白いなとも思った。




ゾンビは社会的弱者そのものであると誰かが言っていたが、ウォーキングデッドを除けば今主流になりつつあるゾンビは少し様子が違い、脚が早く超人的な動きで人間を追い詰める姿は強者そのものだ。しかし、少し見方を変えれば、それだけ弱者が攻撃的にならざる得ない社会になってきている証拠とも言えるだろう。

ロメロ監督は、今のゾンビに、今の社会に、どんなことを感じていたのだろう?

そんな野暮を考えた。



どうか、映画が撮りたくなって墓穴から這い出ることがありませんように。

安らかにお休みください........🎥