角に小指を打つけた寂しがり屋の神様「正解するカド」村田和也(監督)/野崎まど(シリーズ構成)/東映アニメーション/感想

※ネタバレ有り






大雨のニュースを見ながら、カドと異方存在も天災そのものだったなとぼんやり思った。




いきなりどでかいキューブ状の存在が空港に降って来てジャンボジェット機を飲み込んでしまっただけでも、物凄くポカーンとしてしまうほどの『SF』だったけれど、そこから異方存在と称する”ヤハクィザシュニナ”(いまだに字を見ながらじゃないと正しく発音出来ないこの名前w)が人類に提供してくる高次元の技術の数々の妙な説得力というか、喉から手が出るほど我々人類が欲している便利さだとか、流石は”野崎まど”氏はSF的風呂敷の広げ方がよく分かっている人だよなと思った。


もしも本当に高次元の存在があれらの技術を持ち込んで来たとして、これほど適切に対応出来るのだろうか?と訝しんでしまうほどの政府の動きに関する細やかな描き方も印象的な作品で、そもそも切れ者の政府の交渉官が主人公というのも、アニメ作品にしては珍しい人材配置で新鮮だった(こんなに各キャラの肩書きが長いアニメ見たことがないw)


やはり「シン・ゴジラ」の影響がそこそこあったりするんだろうか?と野暮な詮索までしてしまうほど異方存在に対する日本政府や海外の反応を中心としたドラマの見せ方だったわけだけど、個人的に凄く好きだったのは、何処にも負けない技術を持っているが新時代に乗り遅れている町工場の人たちが、ザシュニナに一泡吹かせてやろうとする真道の気持ちに応え良い仕事っぷりを見せるところなどがとても良かった。こういう一般人まで巻き込んだ総力戦みたいのは実に燃える。人間様の頭では想像すら難しいほどの先端をゆく存在に、まさか町工場が挑戦するとか熱いじゃないか。





結局最後は人間を好きになってしまったもう1人の異方存在の協力でザシュニナの暴走を止める幕引きとなったが、終わってみればSFがBLになっていたりもして、なんとも悩ましい作品だった。異方存在はあまりに情報処理が早すぎる存在のため、とにかく新しい情報に飢えていたというのもあるだろうけれど、第一の理解者である真道への執着がどんどんエスカレートして行くザシュニナの様子はどう見てもノンケのそれではなかった。初めは能面のような顔だったのが、最後には愛憎に歪み、女との幸せを選んだ姿を見せつけた真道に怒り心頭で荒れ狂うところなど完全に色恋の修羅場だった。


ザシュニナの最後の姿の儚い感じも実に胸を抉るものがあって、彼が自分の思い通りにならない真道の代わりに複製の真道を作って自分の相手をさせていた時の寂しげな様子なんかには、大勢がバブみを刺激されたことだろう。なんとも壮大で滑稽な異文化コミュニケーションだったものだ(褒め言葉)

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初めて手にした友人との距離感を測り損なったザシュニナは、まさに"途中"であった....


終盤は意外と派手なアクションシーンもあったものの、全体として優しい物語だったと思う。ありがちな侵略物であれば血みどろな内容になってもおかしくはない。よくグッズ展開も期待出来ない作品にこれほどの裁量を託したものだと感心する。こんなアニメを作ってくれた東映とスポンサーとスタッフ一同の選択にこそ『正解!』と言いたい気分でいっぱいだ。







正解するカド KADO: The Right Answer