新旧魔女に中年が思うこと「リトルウィッチアカデミア」吉成曜(監督)/TRIGGER/感想

どんなに「もう一度やり直したい」と願っても、世の中そう上手くはいかない。


死んだ人は蘇らないし、詰んだ盤面は変わりようが無い。


大敗を喫した何処ぞの政党も、出来ることなら時間を戻したくて仕方ないだろう。




大人が子供に小言を言わずにいられない理由が、この世界の法則の中にある。なにせ生きた分だけやり直したい出来事が増えて行くのだ、同じ道を通ろうとする者を無視できるはずもない。中にはまたチャレンジすれば良いのだと口にする人もいるだろうが、その瞬間が最初で最後のチャンスであることだって実は多い。高3の夏の甲子園で負けたのち、大学やプロで活躍したところで、もう一度甲子園に出られるわけでは無いのだ。勿論、いくら自分が得た教訓を伝えたところで、自分の夢が叶うわけでもなんでも無い。悪くすれば若い世代に嫌われてお仕舞いだろう。


でも、だからと言って何もしないというのも違うように思う。血を分けた存在や、志を同じくする者が相手ならば尚のこと放っておけるはずもない。僕自身が大きな子供がいても可笑しく無い年齢になったからそう感じるのもあるけれど、自分の成し遂げられなかったことを教え子に託したアーシュラ先生の気持ちも痛いほど突き刺さった。





魔法の才能はからっきしだけど、憧れの魔女にいつか会いたくて魔法学校に入学した少女が、持ち前の根性で困難を乗り切り偉大な魔法を復活させるサクセスストーリーの王道っぷりも清々しいほどだったが、とにかく無駄(褒め言葉)に動くキャラを筆頭に、質量保存の法則を無視した作画の数々には思わず日本アニメの真髄を見せられたような気になった。


腕が動く限りは妥協はしない!


そんな気持ちが伝わって来るアニメは、今じゃ片手の指を数えるほどしかお目にかかれない。








作画は素晴らしいのにストーリーが(逆も然り).....なんてことがアニメではよくある話だけど、本作はそのどちらとも素晴らしく1クールでは絶対不可能なバリエーションの多さで最後まで楽しめた。そしてしつこいけれど僕はアーシュラ先生の存在が大きかったと思う。アッコを見護っているうちに、救われてゆく先生の姿を見ていたら我が事のように思え、アッコに真実を知られた時の落ち込みようや、その後のシーンは涙なしに見れなかった...




「でも大人の言うことを聞け」


「決して言う通りにしろじゃない」


とNakamuraEmiも歌っているが、まさにその通りなのである。話は聴くだけでも聴いた方が絶対糧になる。聴いてくれれば僕ら大人も少し救われるのもある。聴いた話を実際に活かすかどうかは本人が決めれば良い。


でもまあ、聴いてしまったがために前に進む気持ちが揺らいでしまうなんてこともあるから難しい.....




あれこれ悩んだ時は、大人も子供もアッコの元気さを分けて貰うに限るよね.......







TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』公式サイト