我が青春のOVA1987 #3「妖刀伝」山崎理(監督)/大貫健一(キャラデザ・作監)

手描きの時代に無理が来て、今や3DCGを活かそうという動きが収まりそうに無い昨今、手描きならではの味わいが減って行くのは嫌だと言う人でも、一昔前とでは比べ物にならないくらい豊かな表現力を手にした今の3DCGアニメを無視することなどまず出来ないことだろう。僕も類に漏れず、それはそれ、これはこれ、と分けて考えられるほど3DCGに心を許し始めている。


だから30年前の妖刀伝を今観る事に"郷愁"以外の意味などあるのだろうか?と内心思わなくもなかった。思い出補正の残酷さを、ここ10数年の間にほとほと経験して来たこともあって、どんなに当時好きだった物でも素直に振り返ることが出来ない体になってしまったからだ。しかし妖刀伝は観始めると刻の流れも何処へやらで普通に楽しめてしまった。それこそ10年以上ぶりに観たせいもあるのだろう新鮮で仕方なかった。今の自分だからこそというのもあるに違いない。



バンダイチャンネル『劇場版 戦国奇譚妖刀伝』http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=2911

※正規のルートでの動画配信は劇場版のみ




里を滅ぼされた2人の忍が出会い、残されたもう一つの忍の里へ落ち延びるも、織田信長の裏の顔である朧衆の襲撃を受けその村も壊滅。どうやら各村に伝わる刀にとてつもない力があるようだぞというところで第1巻が終わるのだが、まるでお手本のような作りが清々しいほど懐かしくも新しかった。今時「彼奴(きゃつ)」とか「ならぬ!」というセリフが飛び出す作品なんて滅多に無いし、ロリではない美少女や、チャラくない美形を拝める点も新鮮だ。


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女であることを隠しているつもりの綾之介だが....


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こんな美脚が男で通るかw


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今時草を噛んで登場するハンサムはまずいないw


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絵に描いたような悪役ありがとう"○┓ペコリ



同年にダンガイオーの作画監督も務めている大貫健一氏のキャラクターは麗しい人も、そうでない人も、どこか味がある。井上和彦、矢尾一樹、若本規夫、小林清志、etc.....の声がこの絵に乗るのは反則だろう。まだアンパンマンになっていない戸田恵子の声の初々しさもたまらないものがあった。どうして現代は幼く見えるキャラばかりにアニメの世界はなってしまったのだろう?成熟した女性の色香に興味が無いのだろうか?非常に謎である......


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キャラクターが年相応の見た目で描かれる作品は落ち着く





大事な物を失った者達が、強い意思の力で悪を断つ妖刀伝の王道なファンタジー時代劇は、その後の「鎧伝サムライトルーパー」や「THE 八犬伝」のような作品の誕生にも少なからず影響したのでは無いかと思う。今年の頭に放送された「鬼平」も面白かったが、忘れた頃に時代劇は見たくなるものだ。


あまり売上の面で寄与しない中年が言っても栓なきことだが、大人による大人の為のアニメがもっと欲しい。若者向けのアニメを年寄りが一緒になって楽しむのも悪く無いが、心から望んでいる物が、過去にしかないようになってしまうのは実に寂しい。


それが幸か不幸かは別の話ではあるけれど......








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