2017年02月05日

普通が普通であるために「この世界の片隅に」片渕 須直(監督)/こうの史代(原作)/MAPPA/感想

※ちょっぴりネタバレ(?)注意





僕は、右を向けと言われれば左を向きたくなる天邪鬼だが、こればっかりはどうしても皆と同じ方角を向いてでも避けては通れない道だと思い、映画館へ足を運んでみた。

最後の最後で、鼻水ダラダラ流しながら泣いてしまった.....



18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

※公式サイト”ものがたり”より





最近はすっかりアニメ映画も観に行くようになったものの、本作は、はっきり言って予告やポスターの絵がピンと来ず、いずれ何処か(TV、ネット配信等)で観れれば良いかくらいに思っていました。しかし、あまりにも”映画”としての評価が高く、僕にとってネックだった予告やポスターなども良い意味で詐欺だと聞き及んで、居ても立っても居られなくなり、衝動に身を任させて観に行くことに....


結果、鼻水と涙とツィートが流れ落ちる惨事賛辞と相成りました。「君の名は」を作った新海誠のことをポスト宮崎駿と世の中は大きく触れまわりましたが、すばり次代の宮崎駿は片渕 須直さんの方だとさえ思った。味のあるキャラ絵や美術もさることながら、とにかく当時の生活描写や演出が素晴らしく、キャラクターのほんわかさとフィルム全体を包む寂しげな情緒が掛け合わさり、後半部分の辛い現実の連続へと結びついて、全てが終わる頃には普通の生活への愛おしさでいっぱいになりながら結実するのが本当に良かった....

フィルム全体を見事に一貫した情緒でコントロールしてくれた音楽についても素晴らしかった。今はKIRINJIでも活動しているというコトリンゴさんによる今回の仕事っぷりにすっかり惚れてしまい、彼女の歌声を生で味わいたくて仕方なくなった。KIRINJIは札幌によく来ているし、まずは彼らのライブでコトリンゴさんに逢ってみようかな?




今のようにお金さえ出せばあっさりなんでも買えてしまったり恋愛結婚が普通の世の中ではなく、道端の草さえ創意工夫して食し、家同士が勝手に縁談を組むような時代であっても、それはそれで幸せをちゃんと見つけられるものだったのでしょうね。笑顔さえあれば何処でも関係なく。勝手に流転する世界に翻弄されながらも、ただひたすら目の前にある生活を見つめ続けるちっぽけな女性のでっかい幸せが素敵でした。

上映が終わっても直ぐ席を立つ人が居なかったのも印象的でしたね「この世界の片隅に」

皆、普通の毎日の有り難さを噛み締めていたのかもしれません......





原爆で焼け落ちた広島で、主人公である”すず”が、旦那さんに「この世界の片隅に、うちを見つけてくれてありがとう」と口にするシーンがあるのだけれど、この作品を見てくれてありがとうとか、クラウドファンディングに参加してくれてありがとうとか、様々なありがとうが重なっているように思えてぐっと来ました。

こちらこそ本当にこの映画を作ってくれてありがとうございました.....







posted by lain at 13:59 | 北海道 ☔ | アニメ 劇場版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする