それでなくとも自由なのに、空まで飛べちゃう贅沢さ。僕も猫になりたい...「素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち」&「空を駆けるジェーン - 空飛び猫物語」アーシュラ・K・ル=グウィン(著)/講談社/感想

とある筋によると、猫は犬より世界的に人気のペットへとなりつつあるとのことですが、真偽のほど置いておくとして、確かに猫好きが日本でも増えたような気はします。僕の周囲で実際に猫を飼っている人は、犬のそれと比べるとまだ少ないですが。

猫好きが増えた理由を母などに言わせれば「自分勝手な人が増えたから」でばっさり切られてお仕舞いで、流石戌年は猫にライバル意識があるなと思ってしまうわけですが、確かに一理あるような気もしなくもないです。猫同様に個人主義で気に入らない事はしたくない人で今の世は溢れております。アメリカの新しい大統領でさえ利己的で協調性の無い人が選ばれる時代ですしね。僕自身も凄く心当たりが.....



でもまあ、そんな人間様の醜さと引き合いにされては、猫も迷惑でしょうなぁ。猫は猫なりに情を持っているだろうし、自由奔放に見えてちゃんと猫達も気を使っている面もあるのかもしれない。そもそもアレが彼らの標準仕様なのであって、その時々の自分に対する言い訳次第で宗旨替えする我々と同じであるわけがありません。

そもそも何故好きなのか?を解き明かすなんていう野暮は要らないですよね。可愛いと思うから愛でたい。ただそれだけがあれば充分です。つべこべ言う暇があったらル=グウィンさんの空飛び猫シリーズを読め!僕はそう言いたい(やっと本題)




都会の喧騒の片隅で、羽根を持って生まれ出た猫達が親元を離れ、猫であって猫でない自分達の個性と向き合いながら、それでも猫らしく生きて行く本シリーズの今回は3作目と4作目を一気に読んだわけですが、相変わらず村上春樹さんの訳が実に良い。何処がどう村上春樹なのかと言われればなんとも言い難いものの、ル=グウィンさんのティストをしっかり活かした翻訳になっていて、巻末にはどうしてこのような訳し方になったか?のも解説してくださっていますし、村上春樹さんがいかに本作を大事に扱ったかが隅々から伝わって来ます。原作、挿絵、訳者、どれを取っても幸福な作品だなと思わされました。

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羽根を持たない猫も三作目から仲間入り。C30FB3AD-2443-4704-8E87-FA96811D08AC.jpg
羽根の有る無しで優劣を測らない彼等からは、教えられる事ばかりだ。
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四作目の主人公は田舎暮らしに飽きて都会へと戻った1番幼くて1番気が強いジェーン。彼女は清々しいほど強かで羨ましい。どんな受難もなんのそのだ。


こうして村上春樹さんの翻訳に触れていると、村上春樹訳のゲド戦記も読んでみたくなります。岩波書店から出ている清水真砂子さんの翻訳版は間違いなく素晴らしいもので、それに不満があるわけではありませんが、訳者が違うだけでまるで別物になったマーニーの例もあるので、訳者としても定評のある村上春樹さんの解釈で読み解かれるゲド戦記には興味が湧いてしまいます。僕自身が英語に精通していれば、ル=グウィンさんの原文を存分に味わえるのでしょうけど、なかなかそう上手くは行かないものですね.....