なかなか蹴らない殴〜るゲーム「ケルナグール」ナムコ/懐ゲー/感想

 今から20数年前、地元には数多くのTVゲームショップがあった。のちにコンシューマ向けにゲームの販売をするようになり、今年の春めでたく破産した”アルケミスト”の前身「ベイ・クリスタル」や、おそらく非公式にソニックをマスコットにしていた「ロムズ」、ドリキャスのロゴの色違い状態で関東から東北辺りまではまだ生き延びている「カメレオンクラブ」、そして販売価格も買取価格もユーザーに優しく地元民にとって一番馴染み深かった「夢工場」。他にも小規模なショップやゲームを取り扱う書店も含めれば、かなりの数のお店があったものだが、今ではどのお店も見掛けることは無くなってしまった(夢工場はカードゲームのショップとして生き残っている) 

 外来種である”ゲオ”や”ブックオフ”により食い荒らされ、スマホで無料ゲームをするのが当たり前になり、DL販売も加速している時代にTVゲームだけで勝負出来るお店などあるはずも無いのだろうけど、大事なお小遣いを抱えて一本のソフトを選ぶワクワクと不安を教えてくれた思い出の場所が無くなって行くのはやはり寂しいものがある。僕が初めて親と入ったゲームショップは夢工場で、何年か前にシアターカンダとして復活した元”国劇(旭川国民劇場)”の階段下にあった店舗だった。映画好きな父親らしい場所である。あまりにも昔のことなので、初めて買って貰ったソフトは曖昧なのだけど、よく覚えているのは「ケルナグール」だ。




 硬いケースに入っているというだけでもリッチな気分にさせてくれるナムコ製で、何処からどう見ても男の子二人のパッケージであるのに、道着の胸元が膨らんでいることにエロスを感じたかどうかは定かでは無いが、妙に惹かれて買って貰ったことだけは覚えている。簡素な対戦モードと修行モードとあって、もう兎に角RPG要素の修行モードが楽しかった。初めは老人よりも遅い足取りで、ケルナグールのはずなのにナグールしか出来ないというのに、各地に点在する寺を巡る武者修行を繰り返しているうちに「あれ?俺強くなったんじゃねぇ?」と成長を実感してゆき、ゲーム開始時が嘘みたいに軽やかな戦いが出来るようになると楽しくて仕方なくなっているスルメゲーでした。

 序盤の苦しみを乗り越えた者だけが見れる風景があるゲームだとでも言えば聞こえは良いが、何から何まで遊び易い現在に比べれば、1本1本大事に遊ぶ心を持った子供時代だったから許容出来るバランスだったのは否めない。ただ、TVゲームが当時これだけ実験的な場所であったのは幸せなことである。作る側も買う側もチャレンジする余地が残されていたということなのだから。今では過去の遺産に縋りつき、実績のあるビジネススタイルに乗っかっているだけだからゲームが本当につまらない。思い出を大事にしたいと思うことと、実際にそこから一歩も踏み出さないこととは全く別の話なのだ。





 あの時代に戻りたいと思う反面、戻ってはいけないとも思う。

 閉じ籠りがちな僕であっても、変化が無いよりは有った方が100倍人生を楽しめることを知っているから。

この記事へのコメント