旅は道連れ、世は情けねぇ「世界収束二一一六」amazarashi/感想

毎度のことながら、amazarashiの曲は一筋縄でいかない。聴いている場所・時間・精神、様々な要素で表情を変える。ライブ先行で聴いた時微妙に思えた曲も、改めてCDで聴くとまるで違うものに聴こえて来る。
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アーティストとファンの相互補完により真の完成をみると言っても過言では無い彼らの楽曲は、”楽しい”という気持ちには一切させてくれない。常にこちらの負の感情に働きかけて来るからだ。

おかげでウチに秘めた哀しみや怒りをバネにして生きる意地が湧いて来る。元々怒りは僕のエネルギー源。あまり精神衛生に良い発奮の仕方では無いが、空っぽの僕が前に進むには強い気持ちがどうしても必要だった。中年になった今なら、愛する人や守るべき物が無いのに何故戦えるのか?と問われたアムロの辛さが痛いほど分かる....



話は脱線したが、今回の「世界収束二一一六」でamazarashiはまた姿を変えたように感じた。一つの物語を感じさせる楽曲が更に減り、より断片的なメッセージの生臭さが増して語呂も少し悪くなるくらいだった。あくまでもぼんやりとした印象に過ぎないけれど、どうも満たされつつある自分を無理矢理奮い立たさせようとした反動が楽曲の不協和音に繋がっているように思えてしまうのだ。

売れれば売れるほど、自分達が歌って来た世界から離れて行ってしまう現状を前に、認知して貰える喜びとストイックな気持ちが失われてしまう恐怖が入り混じり、作中にある「分岐」と言う楽曲さながらの場所まで彼らは来てしまったのではなかろうか?そう考え出すと、自分と想いを分かち合ってくれる人々を大事にしたい気持ちを乗せた「エンディングテーマ」も複雑な心境で聴いてしまった。今までのamazarashiを知っていればこそ、”温く”感じたのだ。とても素直な感謝の言葉過ぎて、感動を通り越して唖然とした。良い曲だとは思う。ライブではお世話になった人々の名前をスタッフロールのように流していて演出も面白かった。けれど温いものは温い。

だが、そんな変化一つ一つが興味深いからamazarashiのファンはやめられない。この先どんな風に変化して行こうとも、僕は聴き続けることだろう。もしかしなくとも、ちょっと意地の悪い楽しみ方かもしれないけれど....






物語性が減ったとは書いたけれど、その分ブックレットの「花は誰かの死体に咲く」がとても良かった。実際の話なのかどうか分からないけれど、ストンと心に落ちて来て、ほんのり優しい気持ちにさせてくれる作品だった。出来れば、この感覚を楽曲で味あわせて欲しかったが、他にも「タクシードライバー」「吐きそうだ」などがあるから充分魅力的な1枚ではある。また違う気分の時にガッツリ聴きたいものだ。

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