2016年01月18日

選択とは、より良い嘘に寄り添う事なのかもしれない「amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016 「世界分岐二〇一六」Zepp Sapporo」感想

今更自分を「空っぽ」であると言葉にするまでもなく、形振り構わず突き通せる夢なんて持ち合わせていない人生だから、たとえ自分自身がジレンマの痛みに晒されるとしても一歩も引こうとせず唄う”秋田ひろむ”には強く惹きつけられる。





現代は欺瞞に殺される人が大勢いる。ルールを作る側の都合の良い解釈に付き合わされ、さも、それが世界に必要だと言わんばかりの連中にいくらそれは『違う!』と誰かが口にしてもまるで届きはしない。51%の為に49%殺されるそれが民主主義の鉄則なのだから。

いっそ『俺たちの為にお前たちは犠牲になれ!』とでも言われた方がせいせいする。上辺だけの労いや哀悼を口にしたって、決して自分の血肉を裂いて与えようとはしない人々の嘘は聞き飽きた。僕らは真実、もしくは限りなく”本当”に思えるこそ欲している。同じ騙されるなら、空っぽのを今日も生かしてくれる嘘つきを信じたいのだ。

そして、僕にとって理想の嘘つきに当たるのがamazarashiである。それこそ今更言葉にするまでもない話であるけれど、昨夜のライブの余韻が残る今だから口にしたい想いが溢れて来るから仕方ない。


今回は整列の時からなんだか面白かった。他のアーティストのライブでは絶対にお目にかかれない静かで大人しい行列だったのだ。客層は勿論若い人ばかりなのにである。それこそ切実な想いを抱えてamazarashiのステージを待ちわびている本物のファンの姿だったのかもしれないが、これほど思いを持て余す若者がいるというのは良いことでは無いだろう。中にはカップルでやってくる強者も居たが、彼らが本当のファンならば、きっと近日中に破局するか二人に大きな試練が待ち受けているに違いない。だってamazarashiの曲にただただ平坦で幸せなばかりと言う愛の歌など一つも無いのだから。




もうこれで何度目かのamazarashiのライブになるけれど、今年のは少し落ち着かなかった。なにせ新譜が出る直前のライブは初だったのだ。これまでは、それこそ洗脳されるくらい聴き込んでからのライブだったから、心から一曲一曲を愛した状態で生歌を聴き感情の波に飲まれていたのだけど、完全に初めて聴く曲をぽーんと投げつけられることになった今回は、正直上手く波に乗れず、ライブが終わり帰路へ着く頃になってようやくじんわり来た感じだった。メジャーデビュー5thと新譜発売前と言うことで、セットリストが新旧バラバラになってしまったのも少しチグハグで、イラストや3DCGメインだった昔の映像演出と、生身や現実世界を扱った現在の映像演出が共存するには、色が違い過ぎたようにも思う。メジャーになった弊害だとは思いたくは無いが、手作りの良さが着実に彼らから減っているのは確かだろう。大いなる矛盾にどう向き合って行くのか?これから先のamazarashiの動向が気になる。

贅沢を言えばキリが無いが、「あんたへ」を引っ提げたツアーの時のような、まとまりの良いamazarashiが見たい。定番にしたいのかラストに「スターライト」をまた持って来たのも僕的に満足だったとは言い難い。ステージ前後のスクリーンを使った奥行きのある映像演出には磨きがかかっていて良かったとは思うけれど、一冊の物語を紐解くような味わい深さが少し物足りなかった。序盤のセットリストの流れが良かった分、終盤のモヤモヤが僕の中で燻ったのかもしれない。

ちなみに涙腺は「名前」で早々に決壊していたけれど....








なんだかんだ言っても秋田ひろむの一曲一曲に対する姿勢は感服するしかない。新譜からの「エンディングテーマ」で歩み寄ったかと思えば、これまた新譜の「多数決」で突き放し、「無題」の画家同然の孤独であろうとする。秋田ひろむの歌が全て終わり、彼がステージから去ってから流れた「多数決」の原曲が終わった時の観客の複雑な反応一つ取ってもそれを雄弁に物語っているように感じた。一人一人に何かが灯る夜になったことだろう。





少子高齢化
痩せ我慢に支えられる企業群
崩れ去った未来のエネルギー
迫り来るテロの恐怖

到底明るい未来など思い描けない今を生きる全ての人にamazarashiを聴いて欲しい。

きっと苦渋の味に慣れ過ぎた人々にも生きる意地を植え付けてくれるはずだと、僕は勝手に信じて止まない。


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タグ:amazarashi
posted by lain at 07:00 | 北海道 ☔ | Comment(0) | 音楽 LIVE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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