うつのみこ日誌 七

本当に本当のようやくといった所で、地上編から合わせて16冊目を読み終えた宇宙皇子。本伝外伝合わせて全52冊読破への道は、主人公である皇子の抗いの旅以上に険しいかもしれない...


もう何度も似た事を書いているけれど、かれこれ2、30年前に書かれた作品のため、他の本をあまり知らない子供の頃の自分が感じた面白いとはギャップがあって、今読むとアレ?と感じる点がやはり多い。アニメや特撮を中心に映像物の脚本を手掛けて来た藤川桂介さんらしい、映像を意識した描写の数々が、少々蛇足と言うか、しつこく感じてしまうし、かと思えば大事なシーンをファンタジーの強みであるぼやかしで乗り切っていたりもするから、それはまるで、子供に痛いところを突かれた腹いせに、頭ごなしの難しい言葉を投げかけ勢いに任せる昭和のお父さんのようでもある。まだまだ自分の中の価値観が定まり切っていなかったあの頃は、一つも不可解に思わなかったのに、今となってはこれほど違和感を覚えるとは、ある意味感慨深い話だ。

これも藤川さんの言葉選びの問題なのだけど、大義のために生きる皇子達が、自分達より志の低い者に対し、存外言葉遣いが汚いのも時々気になってしまった。彼らの未熟さをアピールするため、あえてそうしているのならば、この先のシリーズで彼らの言葉は成長と共に変わって行くだろうから一概に変だとは言い切れないものの、自分の不甲斐なさを棚に上げ、宇宙皇子のマスコットキャラとでも云うべき落ちこぼれの元神様キジムナーを罵倒する皇子の姿が何度もあるから、つい皇子への気持ちが萎えてしまう。帝釈天に愛しい各務を奪われ、もしかすると清い身体では無くなったのではないか?と思った皇子が、怒りの矛先を帝釈天から各務に移す辺りにも、皇子の狭量さを感じるばかりで、現代女性からしたら、自分は童貞じゃなくとも、女は処女で無ければならないなんて差別だ!と、怒り心頭になり、皇子に申し訳ないなんて感じている各務にさえ、その怒りを向けるのでは無いかと思ってしまった。

良くも悪くもバブル時代を駆け抜けた男達の価値観全開な宇宙皇子。当時の女性達には大変ウケが良かったが、果たして今の女性達はどう受け取るのか興味深々であります。




毎度のことながら、もっとコンパクトにまとめても良かった気がする宇宙皇子。この長い長い旅の果てに、最後まで読んで良かったと、ちゃんと心から思えることを祈りつつ、今日も天上を流離う皇子達を小角のように見守ろうと思います....


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