いつか解ける魔法ならば、今を精一杯生きろ「アイドルマスター シンデレラガールズ」高雄統子(監督)/A-1 Pictures(制作)

 いつもお気に入りの漫画やアニメが終わると、そこから動けなくなるくらい黄昏てしまうのだけど、「アイドルマスター シンデレラガールズ」を観終わった今まさにその状態にあります。



 アイドル物なんて所詮観客にとって都合の良い女の子像をあざとくアピールし、可愛さ以外何も残らない作品が多い中、デレマスは一人一人の個性が抱える弱みを丁寧にドラマへと仕立て上げ、ちゃんとリアリティのある躓きを経験しながら成長してゆく作品だったから本当に胸に響きました。アイドルは綺麗事だけじゃない。そう思い出させてくれたのです。

 ラブライブにもラブライブなりのドラマがあって、それはそれでとても良かったのですが、デレマスを観た後では『葛藤』という点で物足りない。最後の最後で”頑張る”しか能の無い普通の女の子”島村 卯月”の生々しい想いに触れた点でもデレマスは素晴らしかった。才能と確かな夢がある人間に囲まれ、その眩しさに目が眩み自分の素直な気持ちを見失ってしまう島村卯月の心模様は、磨けば光るかもしれない多くの原石の胸に届いたことだろう。


 女の子たちそれぞれに魅力があって、それを全て語るには頭の整理がつかないけれど、ただ一つだけはっきり言えるのが、彼女たちを輝かせていたのは彼女たちの努力や絆だけではなく、ファンの存在も大きかったということ。どうやって収録したのか気になる歓声やコールアンドレスポンスを鮮やかなケミカルライトを見つめながら聴いていると、まるで本物のライブに行っているような臨場感に包まれました。アイドル一人一人の動きを個性に合わせて少しずらしていたり、音の篭り方やスモークを焚いているステージの空気感を上手く再現もしていましたし、デレマスというステージでアイドルを輝かせるためアニメーターたちは情熱を持って心血を注ぎ込んでいたに違いありません。彼ら一人一人がまさにプロデューサーなのでしょう。大勢の魔法でアイドルはアイドルたり得るのです。




 ただ表向きの可愛さだけを愛でたのでは、ここまでデレマスのアイドルたちを愛しく感じなかったはず。その裏側に触れたからこそ、切なさで胸がいっぱいになる。我が子の成長を見守るような気持ちでお腹いっぱいです。

 目の肥えたファンは本物を求めています。努力や情熱は嘘をつかないのだから、リアルの世界でアイドルとして生きる人達は、346プロの女の子達に負けないように己やファンとの真剣勝負を忘れないで欲しいものですね。


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