もう一度この身が灼かれる本だった「塚本晋也×野火」游学社

滅多に実写映画の本買わないのだけど「野火」は買わずにいられなかった。

 全103頁。

 塚本監督本人の言葉は勿論のこと、様々な角度から「野火」と”塚本晋也”監督を考察する著名人達の寄稿が面白く、更にはあの大戦を知らない人、忘れ掛けている人が少しでもどんな戦争だったのかを知る(思い出す)ことが出来るように隅々まで構成されていました。ネタバレ必至な内容ばかりなので、スクリーン前で身動きひとつせず食い入っていた時の感覚が蘇ります......

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今まであまり好きになれなかった”田原総一朗”氏に初めて尊敬の念を抱いた

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図鑑や年表があるから非常に分かり易い

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台本の上には戦争を知らない世代に向け事細かに注釈が添えられている




 台本が収録されているので、この本を先に読んで映画を観に行くというのはあまり好ましく無い気がしますが、あえて本を熟読してから映画を観た時の感じ方がどのようになるか少し気になります。

 それはそうと、野火を見てからもう1週間が経ったと言うのに、まだあの島で佇んでいるような錯覚を覚える瞬間があり、そんな時は食べ物に困ることもなく銃弾もミサイルも降って来ない暮らしを送っていながら、何一つ満足に”生きて”いる気がせず、命があって安全が保障された何不自由無い生活と言うのは、逆に考えると不自由に生きる権利を奪われた生活だと言えるのでは無いか?とさえ思えて来ます。

 時代の波に飲まれ、普通に生きる権利を奪われた人々からしたら、本当に贅沢な悩みであります。のんべんだらりと生きている自分が情けなくて仕方なくなる。だがしかし、この世界で限りある命を余す事なく使い切れる人間なんてどれだけ居るというのでしょうね?...





 こんな遣り場の無い想いを多くの人々から引き出すことが出来る野火と塚本監督はやはり凄い。

 先端技術やお金ではなく、ただひたすら心と身体で映画を撮るタイプの監督だからこそ、出来上がった映画が単純な論評に収まる作品に成らないのだと思いました。


 これでまだ2つしか塚本作品を観ていないものの、既に僕の中で無くてはならない存在になりつつあります。

 今度は『鉄男』に触れてみようかしら?

 それとも『電柱小僧の冒険』....ゴクリ



 












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