ロクデナシ賛歌な映画ではない。だけど.....「悪の教典」三池崇史(監督)/貴志祐介(原作)

 昨日は6月9日”ロックの日”などとと、今年も盛り上がっていたようなので、僕は勝手に”ロクデナシ”の日にしておきました。




 あの伊藤英明が笑顔で人を殺す作品だと話題になっていた本作。出来れば今回こそ(「新世界より」のアニメがとても好きでした)原作を先に読みたいと思っていたものの、ついつい映画版を最後まで観てしまいました。

 ぶっちゃけこの映画で楽しい気分になれる人はまず居ないですよね。 サイコキラーである”蓮実 聖司”の計画性が有りそうで無さそうな行動の一つ一つが不快ではあるし、彼に殺されることになる連中も何処か不愉快。


 自分の娘が虐められていることについて、学校の責任ばかり追求し、いきり勃つ保護者

 女生徒の弱みを握り肉体関係をを強要する体育教師と、男子学生と密会を重ねる罪深い美術部顧問(♂)

 面白半分にケータイを使って集団カンニングをする生徒達


 無論上にあげたどうしようもない連中ばかりではなく、普通に普通の普通過ぎる思春期を過ごす生徒も大勢殺される。蓮実と言う神様気取りによって、公平に死を押し売りされるのだ。

 確かに何もかもくだらなく思えて来るような学校風景である。いっそ全て灰燼に帰してしまいたくなる気持ちも分から無いでもない。認めたくも無いが、蓮実が社会の代弁者的な存在だと見れなくも無い。

 「自分は絶対そんなことはしない!」

 そう口にして不安を跳ね除けたい人の気持ちも分かるが、自分の中に眠る衝動に無理矢理蓋をするよりは、蓮実の衝動の一片でも自分の中に在ることを素直に受け入れて行くことこそ、奴とは違う道を歩む一歩に繋がるような気もする。






 サイコキラー物は、実は案外犯人の生い立ちなどに同情を覚えたり、その背中に哀愁を感じることがあるけれど、本作は全然そんな物を感じない。サイコキラーは幼い頃の経験云々以前に、DNAの中に殺人衝動があるものだと言いますし、同情したくなるような要素が一切無いことはリアルだと思いました。

 唯一蓮実に同情するとするならば、自分と同じ価値観を持った生き物さえ、殺さずにいられ無いことかもしれない。


 それにしても途中からギャグに見えてしまったのが残念。ハリウッドや韓国なら、カメラワークや特殊効果でもっとリアリティのある嫌悪感を作り出せると思う。エンドロールで流れるEXILEの派生ユニットの歌も完全にミスチョイスで一気に冷めた。

 優しいように見えてその実黒い衝動を隠していそうな伊藤英明の生々しい表情や、引き締まった裸体、その辺りは非常に見応えがあったし、御馴染みの染谷翔太や二階堂ふみの演技も相変わらず良かったので、高級食材の味付けをほんの少し間違えたような作品に思えてならないです。



 まあでも、本当にロクデナシの日にぴったりな映画だったと思いますよ(´Д` )

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